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頑張らない台所( 村上祥子)

マグカップでお一人さまカレー?!

頑張らない台所
村上祥子(著)
昔、海軍では、洋上で曜日感覚を忘れないようにと、週末にカレーが供されていたそうです。

その習慣は戦後、海上自衛隊に引き継がれ、週休二日制になってからは「金曜日がカレーの日」になっているのだとか。

我が家ではこの春から、木曜日をカレーの日にしました。

私が担当しているエフエムあまがさきの番組「昭和通二丁目ラジオ」木曜日が終わるのが夜7時。

帰宅が遅くなるため、昼の間にカレーを作っておいて帰宅した夫が一人でもサッと食べられるようにしたのです。

ところが最近、私ばかりか夫も太ってきました。

おそらく、新型コロナウィルスのため、おうち時間が増え、運動不足なのが原因だとは思うのです。

が、夫は木曜日ごとのカレーも太る原因だと言いだし、ついつい食べすぎるカレーはもう作らないでほしいとのこと。

えー!!

番組が終わって帰宅して、ご飯にかけるだけで食べられる上に味に当たり外れのないカレーは大いに助かるのよ。

私としては夫が食べないと言っても木曜のカレーを続けたい。でも、夫が食べてくれないと、何日も一人で食べ続けないといけないし、悩ましいなぁ……。

そう思っていたら、この本に答えがありました!

今年(2020年)78歳の料理研究家 村上祥子さんの『頑張らない台所』。

『頑張らない台所』のサブタイトルは”60歳からはラクしておいしい”。

高齢になると、台所に長時間立って調理するのはしんどいもの。だからと言って、適当なものを食べていたら、体力(筋力)の低下を招き、ますます老化が進んでしまう。

だったら、手間が少なく短時間でおいしく仕上げられるやり方でちゃんとした食事を摂れば良いのよ、というのが村上祥子さんの考えです。

その代表とも言えるのが容量500㎖のマグカップで作るポークカレーです。

野菜、豚の薄切り肉、水、カレールウをマグカップに入れ、電子レンジ(600W)で8分加熱。あとはかき混ぜてご飯にかけるだけ、という、目からウロコのお一人さまカレーのレシピです。(分量は『頑張らない台所』P95をご覧ください)

え?!これでカレーができちゃうの?だったら、木曜日のお昼間にお一人さま用カレーマグを冷蔵庫に仕込んでおき、帰宅したらチンすればいいだけじゃない?!

煮込んだカレーがこびりついた鍋を洗う必要もなくなる!

わーい、わーい。

気になるのはお味。さっそく今週の木曜日に試してみましょう。(木曜日の夫の晩ごはんをどうするかは、まだ未解決だけれども)

『頑張らない台所』には他にも、電子レンジでゆで卵や味噌汁を作る方法や、シンプルな材料で作るプリンなども紹介しています。

レシピだけではありません。台所や冷蔵庫の収納方法や献立の立て方、完璧を目指さず、時にはコンビニの食材をうまく使うことなど、無理なくおいしい食事をとる方法がサラッと紹介されています。

村上さんの口調(文体)は、気取らず、押し付けがましくなく、まるでちょっと年上のお友達からアドバイスを受けているような感じなのが良いです。

すっと気持ちに入ってきて、さっそく、紹介されているいくつかのレシピを実践してみましたよ。

ところで、私にはまだわからない境地ですが、村上さんによると、高齢になると食事を作る気力・体力が落ちるだけではなく、「食べたい」と思う力も落ちるのだそうです。

でも「食べたい」こそ、活力の源。村上さんはそれを「食べ力(ぢから)®︎」と名付け、食育指導に情熱を注いでおられるのです。

この本を読むと、「手抜き料理」なんて言葉は意味がないなと思えます。

料理は結果です。下ごしらえを念入りにし長時間煮込んで仕上げたけれどおいしくない料理と、電子レンジなどを活用して短時間で仕上げたおいしい料理、どちらを選ぶか聞かれたら、私ならおいしい料理のほうを食べたいナ。

努力を否定しているわけではありません。工夫や理論により、最短距離で作り上げたものを「手抜き」だと格下に見るのはおかしいのでは、ということです。

特に、年齢を重ねて体力が落ちたあと、既成概念にとらわれて料理が億劫になるより、気軽な調理で食事を整えられれば、健康寿命が伸びるのは間違いない気がします。

村上祥子さんのレシピをもっと知りたくなりましたよ。
頑張らない台所
村上祥子(著)
大和書房
元気すぎる76歳、料理界のレジェンドが教える元気になるヒント!! 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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