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都道府県別にっぽんオニ図鑑(山崎敬子 )

青鬼さんのその後がわかった!!

都道府県別にっぽんオニ図鑑
山崎敬子(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、『にっぽんオニ図鑑』。

子どもの頃、本を読みながら泣いたことが何度もあります。

『かわいそうなぞう』、『ごんぎつね』などはその代表と言えます。

今思い出しても泣きそう。

「ごん、おまいだったのかい」

わー、やっぱり泣ける!!

そんな私が初めて泣かされた本は『泣いた赤鬼』でした。
人間と仲良くしたいのに、忌み嫌われる鬼。そこで青鬼が一計を案じる。

青鬼が人間の集落を襲っている(襲ったふりをしている)所にやってきて、追い払ってあげれば、赤鬼は人間に受け入れられるであろうと。

青鬼の作戦は当たり、赤鬼は人間の仲間に入れてもらう。

赤鬼は自分のために悪役を演じてくれた青鬼のことが気になって仕方がない。

ある日青鬼の住まいを訪ねて行くと、青鬼はすでにいなくなっていた。

「せっかく仲良くしてもらっているのに、僕と仲良くしているところを見られたりしたら、赤鬼くんも悪い鬼の仲間だと思われる。だから僕はいなくなる。人間と仲良く暮らしてください」

としたためた手紙を残して。

赤鬼は何度も手紙を読み返し、青鬼の心を思って泣いた。
(『泣いた赤鬼』を私なりにまとめました)
ああ、青鬼!!

なんていいヤツなんだ!

私は子ども心に、青鬼の優しさと寂しさを思い、涙にくれたものです。

その青鬼がその後、どこに行ったのかご存知でしたか?

私はこの本で青鬼のその後を知り、安堵しましたよ。

青鬼は、香川県高松市に行ったのですって。

全国を流れ流れて香川県にたどり着いた青鬼は、お遍路さんをもてなす接待の心に触れ、そこに住み着いたのだそう。

そして現在は、香川県観光推進マスコットキャラクター「親切な青鬼くん」になっているというのです。(『にっぽんオニ図鑑』P108「しんせつな青鬼」参照)

ああ、青鬼くんも人に受け入れられ、幸せになれたんだ!

良かった、良かった。

香川の皆さんはなんていい人なんだろう!

『にっぽんオニ図鑑』には、こういうオニの逸話が散りばめられていますが、メインは47都道府県ごとのオニ紹介。

北海道の湯鬼神から、沖縄のどろオニまで、地方ごとにユニークなオニがいるものです。

秋田のなまはげは最も有名なオニだと思いますが、山形にはアマハゲというよく似た名前の鬼がいるのですよ。

四国のオニは、基本的に牛鬼で、姿形がとてもユニーク。

「オニ」と言っても地方地方でこんなにもバリエーションがあるのかと驚きました。

そんな中、私が一番衝撃を受けたのは埼玉の鬼鎮神社の鬼伝説です。
ある青年が刀鍛冶の娘に恋をした。彼は、彼女のお父さんに気に入ってもらうため、お父さんのもと、刀作りを頑張った。

そして「お父さんのいう通りに、一晩で刀を百本作れたらお嬢さんと結婚させてください!!」と、申し出た。

しかしあまりにも必死に刀を作るうち、ツノが生えてオニになってしまった。おまけに100本作る前に鶏が鳴いてしまい、恋は成就しなかった。
(『にっぽんオニ図鑑』P41を参照し、内容を私なりに紹介しました)
なんてこと!

「稽古の鬼」「土俵の鬼」のように、何かに打ち込む人のことを鬼に例えますが、この青年は打ち込みすぎて、本当に鬼になってしまったんですね。

彼女と結婚したいなら、なぜ、できそうもないことを条件提示するのかしら。

一生懸命で、ズルすることを知らない、一本気な青年なんでしょうか。

もっと要領のいい青年だったら、うまくお父さんに取り入って、彼女をゲットできたかもしれないのに。

そんな不器用で一本気な鬼(青年)の純粋な想いを供養するための社が、鬼鎮神社なのですって。

私は訪問した都道府県を色鉛筆で塗り、日本の白地図を全て塗りつぶす旅をしています。

埼玉県はまだ色が塗られず、白いまんま。

この本を読んで、決めました。

将来埼玉県に行くときは鬼鎮神社に参拝すると。

ところでこの本の文章担当の山崎敬子さんと、絵を担当された スズキテツコさんは双子の姉妹なんですって。

どうりで、文章と絵の息がぴったりなわけです。
都道府県別にっぽんオニ図鑑
山崎敬子(著)
じゃこめてい出版
楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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