HOME  Book一覧 前のページへ戻る

姫君の賦 千姫流流(玉岡かおる)

改めて姫路城に行って千姫を偲びたい

姫君の賦 千姫流流
玉岡 かおる(著)
昨年12月28日に出版された、玉岡かおるさんの新刊『姫君の賦 千姫流流』を読みました。

千姫とは、二代将軍 徳川家忠とお江の娘。つまり、徳川家康の孫娘です。

7歳の時に、豊臣秀頼と結婚、大坂城に入ります。そして大坂夏の陣で炎上する大坂城から落ち延びる、というのは、色々な映画やドラマにも描かれていて、私も知っています。

しかし、その後の千姫がどのような人生を歩んだのか、私はほとんど知りません。興味がなかったというのが本当のところです。

私が大好きな作家さんである玉岡かおるさんの次回作が千姫だと聞いた時には、びっくりしました。

というのも、玉岡さんは関西それも播州在住で、地域性を生かした作品を書き続けておられるので、なぜ徳川の姫を?と思ったのです。

しかし、読んで納得。

千姫はその後、とんぼ切り本多忠勝の孫、本多忠刻と結婚。本多家が姫路に移封になった時、千姫も姫路城に入っていたのでした。

そういえば、以前姫路城に行った時に、千姫のために作られた回廊を見たことがありましたっけ。

こんなことなら、もっとちゃんと見るべきだったと後悔しましたよ。

それにしても、千姫の人生の波乱に富んだこと。

そして幼い頃から千姫に影のように寄り添い、共に歩んだ おちょぼの人生も、ある意味豊かだったと思います。

玉岡かおるさんの最近の作品は、歴史ものが多いです。

講演会で「歴史に埋もれている女性たちに光を当てたい」とおっしゃっていました。

この作品も、千姫とちょぼを軸として、様々な立場の女性の生き様が描かれていました。

また、太閤秀吉の朝鮮出兵についての解釈は、目から鱗でした。

いかに権力者が言い出したからと言っても、他の武将たちが揃って出兵したことの理由が、玉岡さんの説であれば納得できます。

むしろ絶対にその理由での出兵であってほしいです。

それから、千姫が産んだ子どもについての記述には、玉岡さんのお孫さん(初孫)への思いが感じられました。

赤ちゃんの可愛さ、罪の無さ、そして大人の心を動かす力について、きっと最近誕生されたお孫さんをご覧になっていてしみじみ感じられたことなのだろうと思います。

いつも玉岡さんの作品は、読み終わるのが惜しくてじっくりゆっくり読ませていただいています。

この本もそうでした。

そして読み終わった今、改めて姫路城に行って千姫を偲びたいです。
姫君の賦 千姫流流
玉岡 かおる(著)
PHP研究所
徳川家康の孫娘であり、2代将軍・秀忠の娘、千姫。天下の泰平のため、幼くして豊臣秀頼のもとへ嫁いだ千姫だったが、徳川、豊臣両家の争いを止めることはできなかった。そして大坂城落城。その後も、千姫の波乱に満ちた人生は続いていく。「夫である秀頼を見捨てた」「坂崎出羽守を嫌い、一目惚れした若侍を選んだ」など、いわれなき悪名がついてまわるも、再嫁した本多忠刻の愛に包まれて穏やかな日々が訪れたかに思えたがー。時代に翻弄され、いわれなき悪名を浴びながらも凛として生きた千姫の生涯を描く。 出典:楽天
profile
池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



OtherBook

千波留の本棚

あなただったら「あの日に帰りたい」で…

コーヒーが冷めないうちに(川口俊和)

千波留の本棚

たいていのことは何とかなる

魔法のコンパス(西野亮廣)

千波留の本棚

時は金なり。与えられた時間を大切にし…

聖の青春(大崎善生)




@kansaiwoman


■ご利用ガイド




HOME