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果鋭 ( 黒川博行 )

舞台は大阪。強面中年男子の食べ歩き?

果鋭
黒川博行(著)
黒川博行さんの『果鋭』を読みました。最後までドキドキした〜!!
主役二人は元マル暴。マル暴とは、暴力団捜査担当の刑事のことだ。堀やんこと堀内信也はヤクザとの癒着や情報漏洩が、誠やんこと伊達誠一は愛人のヒモにさされたことが監察にばれて、二人とも警察を追われる。堀やんは退職後にも暴力団ともめて刺され、脚に障害が残ってしまった。

互いに四十そこそこで道を誤った感がある。ところが二人は懲りない。今度はパチンコ企業を相手に、儲けようという算段。もともとコンビだった二人は息がぴったり合い、刑事時代に培った勘や捜査能力、人脈、機動力を生かして、やくざ顔負けの金儲けをやってのける。

出玉の遠隔操作や出玉の計数のごまかし、警察との癒着など、パチンコ企業は叩けばどんどん埃が出てきて、儲けのネタがいっぱいなのだ。しかし、やくざが絡んできて、ことはそう簡単ではない……二人は最後までしのぎきれるのか?!
(ざっくりとまとめました。ネタバレはしていないつもりです)

舞台は大阪。黒川博行さんの特徴とも言えるのですが、主役二人の関西弁の会話はテンポが良く、漫才のように面白いです。

パチンコ企業の内幕や、警察内部の話も興味深いし、最後まで「どうなるんだろ、この二人、どうなるんだろ」とハラハラさせてもらえます。

でも、筋立て以上に興味が尽きないのは、二人の食べっぷりです。

暴力団相手のマル暴は、パッと見た感じはヤクザそのもの。体が大きくて、力も強いのです。だから、食べる食べる。そして飲む。

朝昼夜お構いなく交わされることばは「めしでも食お」「なんか食お」。(食お=食べよう、食べましょう、の意味)

心斎橋宗右衛門町で鰻や焼肉を、今里筋で蕎麦を、神戸中華街で北京ダックを、東住吉の駒川商店街でお好み焼きを、阪急東通り商店街ではラーメンを……といった具合。

二人とも実においしそうに食べるんですよ。さすが食い倒れの街大阪。糖質オフダイエット中の身には読んでいて つらいものがありました。

真面目な話、場所を特定して、『果鋭』食べ歩きツアーをするのも面白いのではないかと思います。

黒川作品お馴染みの内藤医院は今回も出てきます。

内藤医院では警察沙汰にしたくない怪我を、黙って診療してくれるのです。治療費は医師の言い値。保険などは効きません。変わり者だけど腕は確かな内藤医師。

先に読み終わっていた夫に「ドラマ化するとしたら、この先生(医師)を誰にキャスティングする?」と質問したら「柄本明」と答えました。

ふーん、私は小林薫だと思ったんだけど。あなたなら誰をイメージされるかしらん。
果鋭
黒川博行(著)
幻冬舎
堀内信也、40歳。元々は大阪府警の刑事だが、恐喝が監察にばれて依願退職。不動産業界に拾われるも、暴力団と揉めて腹と尻を刺され、生死の境をさまよった。左下肢の障害が残り、歩行に杖が欠かせなくなる。シノギはなくなり、女にも逃げられる…。救ったのは府警時代の相棒、伊達誠一。伊達は脅迫を受けたパチンコホールのオーナーを助けるため、堀内に協力を求めてきた。パチンコ業界ー。そこには暴力団、警察も入り乱れ、私腹を肥やそうとする輩がうごめいていた。堀内は己の再生も賭け、伊達とともに危険に身をさらしながら切り込んでいく。ワルでタフなふたりがクズどもを蹴散らす痛快悪漢小説! 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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