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はじまりは大阪にあり!(井上理津子)

はじまりは大阪にあり!新版
大阪発ビジネスに学ぶ発想のヒント30
井上理津子(著)
日本中で見かけるもの、いやいや世界中で流通しているものの中に、「え?!これって大阪発だったの?」というものが結構多いことに気がついた著者の井上理津子さん。

そこで、なぜそれらが大阪で始まったのか、そこにはどんな人間ドラマがあったのかを記したのが『はじまりは大阪にあり!』

雑誌『月刊大阪人』連載されたものをまとめた2007年にちくま文庫『はじまりは大阪にあり』を、章立てや、各章のキャッチコピーを改めるなどして今年(2016年)7月に改めて出版されたのが『新版 はじまりは大阪にあり!』です。

新版には〜大阪発ビジネスに学ぶ発想(アイデア)のヒント30〜というサブタイトルもつき、非常に読みやすくなっています。

大阪が発祥の30のビジネスの多くは、昭和(戦後)に産声をあげているので、とても親しみが持て、あっという間に読めました。

一部を挙げてみると、

日本初の「回転寿し」の元禄寿司。
世界初の「即席麺」チキンラーメン。
日本初の「レトルト食品」ボンカレー。
日本初の「うどんすき」 美々卯。
世界初の「焼肉屋」食道園。
世界初の「折る刃」式カッターナイフ オルファ。
世界初の「電卓」 シャープ。
世界初の「プレハブ住宅」大和ハウス工業。
日本初の「おまけ付き商品」グリコ。
日本初の「ビヤガーデン」大阪第一生命ビル屋上。
日本初の「スーパーマーケットチェーン」ダイエー。
日本初の「ターミナル・デパート」阪急百貨店。
日本初の「頒布会」千趣会。

どうです?
懐かしいわぁ〜。

特に関西人にとっては
「ああ、あれあれ。ああ、あそこにあるお店」
ってなものです。

それにしても、世界初だの日本初だのが、どうして大阪から生まれたのか?

著者の井上さんは、大阪人の気質が産んだのであろうと分析しています。

まずは根底に流れる「東京には負けへんで」というプライド。

もちろんプライドだけでヒット商品が生まれるわけはなく、高い技術力と人間力があったわけです。

チキンラーメンなどは、「世界では宗教的な理由で豚や牛を食べない国もあるけど、鶏を食べない国は聞いたことがない」だからポークラーメンでもビーフラーメンでもないチキンラーメンが誕生したというのですから、「東京には負けへん」どころか、最初から世界を視野に入れていたことになります。

なんて志の高い!

また、世界初や日本初が生まれた土壌は消費者側にもあると井上さんは分析しておられます。

大阪人は「新しもん好き」が多いので、それまで室内で飲むものと思っていたビールなのに

「え?ビルの屋上でビール飲むのん?」
「なんや 面白そうやん」

試験的に開いたビアガーデンに連日人が押しかけ、関係者はエレベーターが故障するのではないかと冷や汗をかいたそう。

とにかく新しくて珍しいものや面白いものが出来るとまずは 面白がって飛びつく。

でも、面白いだけ、新しいだけではすぐにそっぽを向くのも大阪人で、中身を充実させなければ定着できない。

だから作り手も必死になって研究開発し、良い商品、良いサービスを提供する。

大阪人はケチと言われるけれど、出費に見合う効果(味や効能)があれば、納得してお金を出す…その好循環があったというのです。

それに時代が良かったというのもあるかも。

1970年に開催された大阪万博がきっかけで、関西が活気付き、みるみるうちに発展していった、そんな時代の波が後押ししたことは間違いないでしょう。

昭和の右肩上がりの経済成長期に、自分自身の成長期があった私などは、どれもこれも懐かしく、楽しい一冊でした。

ついつい、夢よもう一度って思ってしまうなぁ。
はじまりは大阪にあり!新版
大阪発ビジネスに学ぶ発想のヒント30
井上理津子(著)
清風堂書店(2016)
回転寿司、ビヤガーデン、霊柩車、電卓、動く看板、カプセルホテル、レトルト食品…あれもこれもみんな!!今こそ、大阪的発想に学ぶ! 出典:楽天
profile
池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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