HOME  Book一覧 前のページへ戻る

64(横山秀夫)

64(ロクヨン)
横山 秀夫 (著)
出版社: 文藝春秋 (2012)【内容情報】(「BOOK」データベースより)警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。(出典:amazon
佐藤浩市さん主演の映画『64(ロクヨン)』見ました。
面白かったですよ。
後半は現在上映中です。  

そのタイミングで原作を読む私。
結末を先に知ってから後半を見に行くなんて、
我ながら なかなか ひねくれ者ですわ。

***
たった7日間で終わった昭和64年。
その最後に起こった誘拐殺人事件の通称が「ロクヨン」。
時効成立まであと1年となった。
当時 捜査一課に所属しており、
身代金受け渡し現場へ向かう被害者の父親を
追尾する任務についていた三上は現在D県警本部の広報官になっている。
仕事では、警察の報道管制を嫌う記者クラブの記者たちと、
それを抑え込めと命じる上司の板挟み。
家庭では我が子とわかりあえず、
ついに娘は家出をし、似たような年恰好の遺体があれば、
確認作業に出かける日々。
あらゆる意味で行き詰まりつつある三上は
広報官としての立場で、時効まであと1年の「ロクヨン」と
再び向き合うことになった。
そして、「ロクヨン」捜査中に起こっていた
大変な秘密を知ってしまう。
そんな時に起こった、「ロクヨン」を模したかのような誘拐事件。
新たな事件の犯人は?!
D県警の内部に淀んだ空気はどうなる?
三上は家庭の危機を乗り越えられるのか?
***
 
映画館で前半を見たときに、
「ロクヨン」を模した新たな誘拐事件の犯人が誰か、
予想がつきました。
それは正解でした。やっぱりねぇ。
でもね、犯人はわかっても、
その動機や目的がよくわからなったんです。

原作を読んで、新たな誘拐の謎が解けたとき、
ものすごい執念を感じました。
作者の、そして登場人物の。
むむむ、すごいなぁ。

ただね、ロクヨンの謎はわかっても、
この小説は何も解決されないまま終わるのですよ。
三上の刑事生命がどうなるのか、
三上の娘がどうなるのか、
旧ロクヨンの犯人はどうなるのか、
ロクヨンを模倣した犯人はどうなるのか、
他にもあの人この人がいったいどうなってしまうことやら。
心配なことが山盛りです。

はー。
映画館でこの結末を見せられたら
消化不良な気持ちになりそうだなぁと思ったら、
新聞の予告には「映画ならではの結末が」と書いてありました。
映画ではきちんと解決を見せてくれるのかもね。
それは楽しみ。

しかし、逆に言えば、この結末でも成立している
小説の力を感じます。
これだけ未解決事項が多くても、
事件の終わりを感じたし、
読後の満足感を得ることができました。

横山秀夫さん、すごいわ。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。

「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
『私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。』購入サイトはこちらAmazonでも購入できます


OtherBook

千波留の本棚

全てを笑い飛ばそう

尼崎ストロベリー(成海隼人 )

千波留の本棚

母から娘へ願いをこめて託されるもの。…

をんな紋~はしりぬける川(玉岡かおる)

千波留の本棚

82歳の敏腕セキュリティ・コンサルタ…

御社のデータが流出しています(一田和樹)




@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
[心に響く本]
橋本信子先生の
[おすすめの一冊]
絵本専門士 谷津いくこの
[大人も楽しめる洋書の絵本]
小さな絵本屋さんRiRE
[女性におすすめの絵本]
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(台湾)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(農業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME