おてがみじかん
ライフスタイル 2024-08-21
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
旅先からお手紙◎2024年版「3通も書いてしまった日帰り旅」編 |
「お手紙そのものを旅のお土産&思い出に!」と時々、旅先からお手紙を書くことを続けています。
旅先でお手紙を書く時に使う便せんや葉書は、主に“その旅先で出会ったもの”。たとえば、旅先の郵便局にあるご当地フォルムカードやお土産店で見つけたその地域の景色などを描いたポストカードなど。ある時は、宿泊先のホテルでサービスとして提供されているメモや便せんに書き綴って、その地域で見つけたチラシに包んで(=封筒がわり)送ったこともありました。
今年も夏旅で「旅先からお手紙」を。その記録を「3通も書いてしまった日帰り旅」編と「届いた3通のお手紙を大公開」編の2回に分けて書き綴ります。
まずは「3通も書いてしまった日帰り旅」編。今回は、自分への旅のお土産&言葉のアルバムの1枚として、娘も含めての自分宛にお手紙を書きました。いつもは旅の終わりや1日の終わりに1通書くスタイルでしたが、思いがけず3通も書いてしまうことに。3通になったのには、旅先での出会い、ひらめきがあったからです。
どうして3通も? どこで、どんなふうに書いたのか? そんなことを紹介します。
旅先でお手紙を書く時に使う便せんや葉書は、主に“その旅先で出会ったもの”。たとえば、旅先の郵便局にあるご当地フォルムカードやお土産店で見つけたその地域の景色などを描いたポストカードなど。ある時は、宿泊先のホテルでサービスとして提供されているメモや便せんに書き綴って、その地域で見つけたチラシに包んで(=封筒がわり)送ったこともありました。
今年も夏旅で「旅先からお手紙」を。その記録を「3通も書いてしまった日帰り旅」編と「届いた3通のお手紙を大公開」編の2回に分けて書き綴ります。
まずは「3通も書いてしまった日帰り旅」編。今回は、自分への旅のお土産&言葉のアルバムの1枚として、娘も含めての自分宛にお手紙を書きました。いつもは旅の終わりや1日の終わりに1通書くスタイルでしたが、思いがけず3通も書いてしまうことに。3通になったのには、旅先での出会い、ひらめきがあったからです。
どうして3通も? どこで、どんなふうに書いたのか? そんなことを紹介します。
1通目「旅のメインである、近鉄の特急列車『青の交響曲』内で」
ある日「近鉄の観光特急列車『青の交響曲(シンフォニー)』に乗りたい!」と高校生の娘。通学途中に駅のポスターを見て、「なんか、かっこよさそう」と思ったから、乗車したくなったようです。近鉄大阪阿部野橋駅~吉野駅間を走っているということで、その列車に乗って奈良・吉野へ日帰り旅に行くことにしました。
旅のメインは、行きに乗る観光特急列車「青の交響曲」です。車内でお手紙を書きたいと思いました。
旅のメインは、行きに乗る観光特急列車「青の交響曲」です。車内でお手紙を書きたいと思いました。
事前リサーチで、車内販売で高価な和紙があることはわかっていたものの、オリジナルポストカードなどはなさそうだったので、無地の葉書とボールペン、色鉛筆、マスキングテープ、ノリ、切手を持参。記念乗車証をもらえることもわかっていたので、「無地の葉書に貼れば、この旅オリジナルの葉書になるのでは!」とひらめき、アイデアを試してみることにしました。
車内では、食事やドリンクメニューも販売中。お手紙を書く時間のおともに、マカロン&紅茶セットや豚まんも購入しました。出発後早々にも記念乗車証を入手し、アイデアを形にしてみたのが、こちらです。
記念乗車証の左上に押してあるのは、乗車記念スタンプです。車掌さんがスタンプ片手に車内を巡っておられたので、押していただきました。記念乗車証と向きがバラバラになっていますが、ここがポイントなのです!
車掌さんが回ってこられたのは、私が記念乗車証とおともを手にして席に戻った直後。どの向きで書こうかも決めていないタイミングで、慌てて「ここに押していただけますか」とリクエストしました。その場の出会い、ひらめきで出来上がっていくのが、「旅先からお手紙」の醍醐味。
車掌さんが回ってこられたのは、私が記念乗車証とおともを手にして席に戻った直後。どの向きで書こうかも決めていないタイミングで、慌てて「ここに押していただけますか」とリクエストしました。その場の出会い、ひらめきで出来上がっていくのが、「旅先からお手紙」の醍醐味。
まだ、旅は始まったばかり。「乗って早々、お手紙に書くことがあるの?」と不思議に思われるかもしれません。しかし、旅は計画を立てた時からすでに始まっています!
と、なんだか、かっこよく言ってみましたが・・・私にとって「旅先からお手紙」は、自分へのお土産であり、言葉のアルバムの1枚。数年後、この1枚を見て、「ああ、ここに行ったね」「そうそう、こんなところを巡ったなぁ」と懐かしく思い出せるものになればいいなぁって。一緒に行った娘と、未来のいつの日かに読み返しながら、おしゃべりできたらいいなぁって。
だから、「どうして観光特急列車『青の交響曲』に乗ろうと思ったのか」「乗ってみたらどうだったのか」「車内でどんなことをしたのか」など、経緯や出来事などを思い浮かぶまま、文字にしていきます。
と、なんだか、かっこよく言ってみましたが・・・私にとって「旅先からお手紙」は、自分へのお土産であり、言葉のアルバムの1枚。数年後、この1枚を見て、「ああ、ここに行ったね」「そうそう、こんなところを巡ったなぁ」と懐かしく思い出せるものになればいいなぁって。一緒に行った娘と、未来のいつの日かに読み返しながら、おしゃべりできたらいいなぁって。
だから、「どうして観光特急列車『青の交響曲』に乗ろうと思ったのか」「乗ってみたらどうだったのか」「車内でどんなことをしたのか」など、経緯や出来事などを思い浮かぶまま、文字にしていきます。
高校生の娘は「自分で1枚お手紙を書くのは遠慮しとくけど、ちょっとだけなら書いてみようかな」ということで、私が書き綴ったお手紙の空いているスペースに一言二言、追記。今回黒色のボールペンしか持っていなかったことを後悔! 2~3色ペンにしておいたら、書き分けしやすかったかもと思ったことを書いておきます。
終着駅の近鉄吉野駅に到着。駅前には、ご当地郵便ポストがありました。桜色&桜柄の愛らしいポストです。車内で書いたお手紙を早速、投函しました。
2通目「郵便局との出会い&平日というラッキーが重なり、入手できたご当地フォルムカードで」
近鉄吉野駅に到着したものの、ノープランだった私たち。そう、列車に乗った時点で旅の目的を実現してしまったのです。事前に、ふんわり「寄れたらいいね~」というカフェを見つけておいたくらいで、あとは着いたら決めようくらいでした。
困った時の、観光案内所。周辺ガイドを手にして、「これからどうしようか」と考えていたら、受付にいらっしゃった方から「今日はロープウェイの代わりのバスがありますよ。あと数分で出発しますから」と教えていただき、「???」となりながらも、とりあえずバスへ。乗ってから「寄れたらいいね」と話していたカフェにも近づけるようだとわかり、一安心。
バス下車後、カフェに向かう途中に、郵便局を発見。旅に出た日は8月1日(木)と平日だったので開いていて、ラッキーでした。ご当地フォルムカードを入手。
ご当地フォルムカードとは、各都道府県を代表する観光名所や行事、名物などのイラストと豆知識が描かれているポストカードのことです。1都道府県に数種類あり、「そうか、この県の名物はこれなんだ」「これが有名なんだ」と学びにもなります。各都道府県の郵便局で、その都道府県ならではのご当地フォルムカードが手に入るようになっています。
奈良・吉野といえば、桜の名所。桜が咲き乱れる山々が描かれた1枚。せっかくなので、ご当地フォルムカードに貼る用の、夏らしい切手も購入しました。
郵便局前を改めて見ると、木彫りの“ぽすくまくん”がいたので、思い出に1枚。
困った時の、観光案内所。周辺ガイドを手にして、「これからどうしようか」と考えていたら、受付にいらっしゃった方から「今日はロープウェイの代わりのバスがありますよ。あと数分で出発しますから」と教えていただき、「???」となりながらも、とりあえずバスへ。乗ってから「寄れたらいいね」と話していたカフェにも近づけるようだとわかり、一安心。
バス下車後、カフェに向かう途中に、郵便局を発見。旅に出た日は8月1日(木)と平日だったので開いていて、ラッキーでした。ご当地フォルムカードを入手。
ご当地フォルムカードとは、各都道府県を代表する観光名所や行事、名物などのイラストと豆知識が描かれているポストカードのことです。1都道府県に数種類あり、「そうか、この県の名物はこれなんだ」「これが有名なんだ」と学びにもなります。各都道府県の郵便局で、その都道府県ならではのご当地フォルムカードが手に入るようになっています。
奈良・吉野といえば、桜の名所。桜が咲き乱れる山々が描かれた1枚。せっかくなので、ご当地フォルムカードに貼る用の、夏らしい切手も購入しました。
郵便局前を改めて見ると、木彫りの“ぽすくまくん”がいたので、思い出に1枚。
さらにてくてく歩いていると、ふんわり「寄りたい」と思っていた「TSUJIMURA & Cafe kiton」にたどり着きました。黒糖みるくかき氷とシャインマスカットの葛パルフェを注文。ひんやり冷たいかき氷が、暑くなった身体に染み渡っていく感じが、たまりません! 「こんなにも身体を冷ましてくれるなんて、氷の力ってすごい!」となんだか感動もしちゃったりして。
おしゃべりしつつ、ご当地フォルムカードでお手紙を。特急列車を降りてからここまでのことをつらつらと書き綴ります。
カフェのすぐそばにも、桜が描かれた郵便ポストが。ここで投函しました。
カフェのすぐそばにも、桜が描かれた郵便ポストが。ここで投函しました。
近鉄吉野駅前で投函したお手紙と、ここで投函したお手紙、同じ日に届くのかな、それともずれるのかな。そんなことを考えるのも楽しくて、なんだか夏休みの自由研究のようです。
3通目「『幸せの黄色いポスト』にお手紙を投函するために、近鉄橿原神宮前駅で途中下車して」
カフェを出た後は特に目的地もなく、てくてく歩いてみることに。それにしても、なかなかの坂道! 「ここから先はなんだか恐そう!」と途中で引き返したりも。結局、吉野での滞在時間は2時間くらいで、駅前に戻ることに。「私たち、滞在時間、短くない?」「さっき、バスに乗ったばかりなのに、また乗る感じ・・・なんだか、恥ずかしくない?」なんておしゃべりしながら。
それならば、せっかくここまで来たので、途中下車をして、これまた娘が数年前に話していた「近鉄橿原神宮前駅の駅前にある幸せの黄色いポストからお手紙を出してみたい」という“やってみたいこと”を叶えたらどうだろう? とひらめいて、実現することに。娘にとっては「え? そんなこと、言ってたっけ?」という、遠い昔に話していた“やってみたいこと”だったのですが。
近鉄橿原神宮前駅に到着後、幸せの黄色いポストに投函するお手紙を書くために、駅近くの「ギャラリーカフェ narairo」へ。ならいろぷりんとバスク風チーズケーキ、自家製レモネードをいただいて、まずはほっと一息。
同店はギャラリースペースを併設していて、カフェスペースにも一部の作品が展示されていました。座った席の近くに、確か『光のほうへ』というタイトルの作品が。光のほうに向かって斜めに育つ樹木の根本付近の絵が、とても素敵で気になって・・・ということも、ここで書いたお手紙を読んだ時に思い出すのかなと思いながら、書き綴ります。
近鉄橿原神宮前駅に到着後、幸せの黄色いポストに投函するお手紙を書くために、駅近くの「ギャラリーカフェ narairo」へ。ならいろぷりんとバスク風チーズケーキ、自家製レモネードをいただいて、まずはほっと一息。
同店はギャラリースペースを併設していて、カフェスペースにも一部の作品が展示されていました。座った席の近くに、確か『光のほうへ』というタイトルの作品が。光のほうに向かって斜めに育つ樹木の根本付近の絵が、とても素敵で気になって・・・ということも、ここで書いたお手紙を読んだ時に思い出すのかなと思いながら、書き綴ります。
ここまで、お手紙を書くことに乗り気ではなかった娘。しかし、橿原市観光協会のウェブサイトで「幸せを願う黄色いポスト」「ここからお手紙を投函すると、届いた相手にも幸せが届くと言われています」という紹介文を読んで、「私も自分に書くわ。見んといてな」とコソコソと書いていました。
そして、念願の黄色いポストに投函! この旅の締めくくりです。
そして、念願の黄色いポストに投函! この旅の締めくくりです。
自分宛でも“今の自分とは違う、数日先の未来の自分”に向けてだからこそ、書けることがある
私は今回、「自分宛+娘も一緒に読んでくれたら嬉しいなぁ」という感じで、お手紙を書きました。
自分宛なら「手帳や日記でもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、自分宛であっても、わざわざお手紙という形・手段にすることで、書く時の気持ちの向かい方が変わってくるように思います。
お手紙って、“自分とは違う誰か”に向けて書くもの、“誰かの手”を渡って届くものだからです。自分宛でも、“旅先から家に帰った少し未来の私”という今の自分とは違う存在に向けて書けます。そのお手紙が、郵便局の方々という“誰かの手”を渡って、また私の手もとに届くのです。なんだか、不思議ですね!
2024年8月1日(木)に書いたお手紙3通、それぞれ別々の郵便ポストに投函しました。私たちの手もとに届いたのは、2024年8月5日(月)でした。“5日前の私たち”から届いたお手紙がこちらです。
自分宛なら「手帳や日記でもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、自分宛であっても、わざわざお手紙という形・手段にすることで、書く時の気持ちの向かい方が変わってくるように思います。
お手紙って、“自分とは違う誰か”に向けて書くもの、“誰かの手”を渡って届くものだからです。自分宛でも、“旅先から家に帰った少し未来の私”という今の自分とは違う存在に向けて書けます。そのお手紙が、郵便局の方々という“誰かの手”を渡って、また私の手もとに届くのです。なんだか、不思議ですね!
2024年8月1日(木)に書いたお手紙3通、それぞれ別々の郵便ポストに投函しました。私たちの手もとに届いたのは、2024年8月5日(月)でした。“5日前の私たち”から届いたお手紙がこちらです。
「あの日、楽しかったなぁ」がたくさん詰まっていました。
あれ・・・同じタイミングで投函したはずの、娘が自分宛に書いたお手紙が届かない! ドキドキしていたら、翌日8月6日(火)に届きました。娘のお手紙は、またどこかを旅してきたようです。ほかのまちへの郵便物に紛れていたのでしょうか。人の手から人の手へとバトンのようにつながって届く、奇跡!
あれ・・・同じタイミングで投函したはずの、娘が自分宛に書いたお手紙が届かない! ドキドキしていたら、翌日8月6日(火)に届きました。娘のお手紙は、またどこかを旅してきたようです。ほかのまちへの郵便物に紛れていたのでしょうか。人の手から人の手へとバトンのようにつながって届く、奇跡!
次回は「届いた3通のお手紙を大公開」編です。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
フリーライター
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編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
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『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ
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