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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2024-05-22
浄化とクラッシュ

みなさま、ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか? 私は、断捨離計画は引き延ばしになったものの、仕事とピアノ練習、その合間の庭仕事で、大いに移り変わる季節を感じることができ短い春を満喫できた様に思います。

超アナログ派の私は毎日ノートとペンを手元に置いています。そうやってどんどんノート類がたまっていってしまうのですが。そんな私もタブレットは仕事で必需品であり、通信はもちろん教材管理から報告書作成まで、手元からほぼ片時も離すことなく愛用しています。

しかし、最近、最新の超薄型タブレットを紹介するビッグテックの “Crush!"と題されたコマーシャルには大きな違和感を覚えました。この広告の中では、ノスタルジックな楽器や道具、思い出の品々が次々と圧力を受けて派手に押しつぶされ破壊される様子が映し出されます。

創造性に焦点を当てて、クリエイティブな人たちにも愛されてきたビッグテックの会社が、皮肉にも思い出の詰まったアイテムを破壊しながら、最新のタブレットを「パワフル!」とアピールして売る姿勢に疑問と同時に恐怖を感じました。

私はアマチュアピアノ愛好家として、父が50年以上も前に買ってくれたピアノを今でも奏でています。それは私にとって楽器を超えた思い出の詰まった存在です。私の幼少期から現在まで、日本からヨーロッパ、そしてまた日本へと共に移動しながら家族の様相を見てきた存在であり、今では私の日々の心情の変化を一番よく知っているとも言える「物」なのです。

このクラッシュのコマーシャル映像は、まるで技術や芸術だけでなく、個人の物に対する、そして作り手の思いをも簡単に押しつぶすかのようで、ビックテックの傲慢なまでのパワーを象徴しているようにすら感じました。

生成的人工知能によって芸術がコピーされ、新しいものが作り出されるのが一瞬で簡単にできてしまう今。その一方で、本来技術の習得や、芸術への道とは一生の集大成であり、気の遠くなる様な忍耐と時間の先にあるものです。そしてそのまた遥か先にある崇高な領域に技術や芸術があるのではないでしょうか。

それにも関わらず、このコマーシャルには、物作り、道具作りに費やされた技術や時間、そして芸術に必要な道具を超薄型タブレット1つに置き換える事が可能だと言わんばかりのニュアンスが感じられるようなのです。

しかし、そんな違和感とは裏腹に、スピードと量、質の向上が常にAIと対抗するかの様に求められる現代社会で、ビックテックの進歩やそれに伴う文化や芸術作品への脅威を考えると、このコマーシャルは恐ろしいほどにリアリティーを含んでいるのではないでしょうか。

たかが物、されど物。

この広告から受け取った違和感と共に、「ゴールデンウイークはどうお過ごしでしたか?」との私からの質問に、「断捨離をして、不要になったぬいぐるみを全て和紙で包んで、塩で供養し、命を全うしてもらいました」と答えてくれた生徒さんの浄化の願いのこもった声を思い出しました。

profile
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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