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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2023-12-20
お手紙とわたし~春瀬ゆうなさん編④~

私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。「お手紙ってかたい印象があったけど、いろんな楽しみ方があるんだ」「基本、書くことは苦手だけど、肩の力を抜いて書いてみようかな♪」と、お手紙を書いてみたくなるアイデアやヒントを教えていただきます。

7人目は春瀬ゆうなさんです。ライターでキャリアコンサルタントでもあり、現在は小・中学生向けの体験型ライティング教室「あすとれ」や大人向けにも文章教室を開いています。私のライターの先輩であり、現在もお仕事でお世話になっていて、実際にお会いする機会も多いのですが、時々お手紙でもやりとりしているんです。

春瀬さんが今年、小学生向けに読書とお手紙を組みわせたイベントを企画した背景や、ご自身の日常でのお手紙のやりとり、文章のプロが考える“話し言葉(話すこと)”と“書き言葉(書くこと)”の違いなどをうかがった、内容盛りだくさんのインタビューを4回に分けて紹介します。

1回目は「書くことに親しむ編」、2回目は「節目節目に届くお手紙&プチプレゼント編」、3回目は「お手紙という形だからこそ編」。今回は「自分の状況や気持ちに合う形を探して編」として、春瀬さんが自作している便せんのことやお手紙を書く時間の持ち方・過ごし方、楽しみ方についてお話をうかがいました。
春瀬さんは直筆のお手紙を書いてくださることもありますが、パソコンでかわいいレイアウトをつくって、そこにパソコンで文字を打って書かれていることも印象に残っておりまして。お手紙というと「レターセットに手書き」というイメージがありますが、人それぞれ、その時々にいろんな表現の仕方があることを感じたんです。

春瀬さん:あれは首を痛めて、手書きができない状態だった時ですね。内容はパソコン打ちでも、かわいく飾りつければ喜んでもらえるかなと、そんな気持ちからだったんですけど。ほかの友だちにも同じようにして送ったら、「かわいい!」と喜んでもらえたので、よかったです。
あんなふうにしてお手紙を書こうと思ったのは、文章教室で使う原稿用紙をオリジナルでつくっていたことがきっかけです。

文章教室を始めた頃は、一般的な原稿用紙を使っていました。そしたら、生徒さんが「原稿用紙って、なんかつまらない」と言うので、「じゃあ、なんかかわいいのをつくるわ! 何がいい?」と聞いて。子どもたちが楽しく書けるように、見た目から楽しいものにしようと思って、それぞれの好きなものをちりばめた原稿用紙をつくるようになったんです。

最初はwordソフトを使ってつくった原稿用紙に、素材集から集めた枠線で飾りつけたり、犬や虹、星などのイラストを配置したり。そしたら評判が良くて、「全種類、持って帰ってもいい?」「家でもコピーして使いたい!」という子もいて。書くのが楽しくなるアイテムは大切よねと思って、原稿用紙だけではなく、メモやシートでもかわいいものをつくるようになったんです。

そうしているうちに、私自身が自作するのが楽しくなってきまして。今は「Canva」という無料のデザインツールを使ってつくっています。

レターセットを買いに行くのも楽しいんだけど。自分でつくれば、その季節の好きな絵柄や、相手が好きそうな絵柄を取り入れながらつくることができるので、それも楽しいなぁと思っています。

自作するの、楽しいですよね。私も最近は、無地のレターセットに、下手なんですけど、その時々のつぶやきみたいな絵を描いて楽しんでいます。ところで、春瀬さんはお手紙を書く時によく使うアイテムはありますか?

春瀬さん:海系のアイテムが多いですね。これは郵便局で見つけたグリーティングカード。飾ることもできるようになっています。こうしてカードを手に取ってみると、一言で“ブルー”と言ってもいろんなブルーがあって、きれいだなぁとか。メールやLINEには、色味や質感があまりないですから。こうして、手に取って感じられるのは、お手紙のいいところだなと思いますね。
レターセットをわざわざ買いに行くこともありますが、用事があって文房具屋さんに行った時にレジで並んでいたら、レジ横でかわいいレターセットを見つけちゃうんですよね。春なら桜、夏ならスイカなど季節のものが並んでいて、かわいかったら、思わず買ってしまいます。そうやって買っておくと、「お手紙を書きたいな」と思った時に、たくさんあって選べる楽しさがあって。

切手も結構、買いますね。キャラクターのものは、コロナ禍で文章教室の生徒さんに宿題を郵送する時に買ったものです。子どもたちに送るから、かわいいものがいいかなぁと思って。

封筒や一筆箋も、今は100円ショップにもかわいいものがいっぱいありますから。封筒だけを買っているのは、自作した便せんを入れて送るためだったり、写真を渡したり。プレアデスという、児童文学の創作活動集団に入れてもらっているのですが、その活動仲間に原稿を郵送で送っていた頃にも使っていました。
忙しい日々の中で、お手紙はどんな時に書きますか?

春瀬さん:仕事など何かが一区切りついたら、好きなお茶を淹れて、ゆっくりと書こうというふうになりますね。それが楽しみにもなっていて。毎日忙しくしているんだけど、メリハリというか、ゆっくりと落ち着いてという時間があるのは嬉しいんですよね。

書く時は、もらったお手紙の最近の分を取り出して、そこに書いてあることとか、メールやLINEでもやりとりしていたら、その最近の分を見たりして、お手紙を書いています。

春瀬さんは年賀状にも、いつも丁寧に手書きでメッセージを書いてくださっていますよね。そのメッセージが嬉しいです!

春瀬さん:年に1度のことだから、メッセージを書こうと思っています。

だけど、年賀状を送る時期は、特に忙しい時期でもあるんですよね。お茶を淹れてゆっくりという時間が楽しい半面、「この時期じゃなかったらなぁ」という思いもあって。前に、プレアデスのメンバーの中にも同じことを言っている方がいて、その方は「年賀状をやめて、寒中お見舞いにしている」と話していました。

私もそっちのほうがいいかな、暑中お見舞いや寒中お見舞いなど好きな時に葉書を出せばいいのかなと思いつつ。そうすると、これまで年賀状をくれていた方から「年賀状はやめたんや」と思われて、翌年から年賀状が減ったという話も聞いて。毎年「今年はどうしようかな」と思いながらも、年賀状を続けています。

わかります。書きたい気持ちはありながらも。目の前のやらなければならないことに追われてしまいますし、「書きたい」という気持ちが、いつしか「書かなきゃ」というプレッシャーに変わっていることも・・・

春瀬さん:お手紙を書こうと思うと、ゆっくりとした時間がほしいから。後回しにするわけではないんだけど、いつのまにか時間が経ってしまっていて、どんどん書きにくくなって、遅くなってしまうことがよくあります。

今も、ラムレーズンチョコを送ろうと、手紙を書こうと思っているんですけど。結構、日にちが経っていまして。物を送るだけならすぐに送れるんだけど、手紙も一緒にとなると時間がかかるんです。

友だちには、「ラムレーズンチョコを買ったけど、いつ頃に仕事の区切りがつくから。そしたら、手紙を書いて送るからちょっと待っててな」と、先にLINEで連絡しています。

友だちや親しい人とのやりとりなら、今はそういう予告ができるからいいですよね!
(2023年4月取材)

<お話をうかがって>

便せんや封筒を自作する楽しさ。私も、封筒には最近の出来事、その時に見つけた季節の風景を1コマ劇場のごとく描いて楽しんでいます。かわいい便箋を選ぶのも好きで楽しいんですけど。絵を描いたり、紙を貼ったり、シールやマスキングテープでデコレーションしたり・・・春瀬さんがおっしゃるように、「この人なら喜んでくれる!」と思うからできることでもあります。

あと、LINEで「お手紙を送るね」と予告ができるのはいいですね! 私もお手紙の返事で急いだほうがよさそうかなというものについては、メールやLINEなどで先にお礼を言ったり連絡したりすることもあります。

今は電話、お手紙、メール、LINE、Messengerなど、いろんなコミュニケーションツールがあって、それぞれによいところがあります。さまざまなコミュニケーションツールができてきて、選択肢やできることが増えてきた今だからこそ、それぞれのツールのよさを生かしながら、コミュニケーションを楽しんでいきたいなぁと思います。特にお手紙は、受け取ってから返事を書くまでの間、ほんのり相手を想う時間にもなっていて。そんな時間もお互いに楽しみ合えたらいいなぁと思います。

今回で春瀬さんへのインタビューは最終回です。これまで「書くことに親しむ編」「節目節目に届くお手紙&プチプレゼント編」「お手紙という形だからこそ編」「自分の状況や気持ちに合う形を探して編」と、お手紙にまつわるさまざまなお話をうかがってきました。

話し言葉と書き言葉は違うから、まずはテンプレートを活用して慣れることが大切だなぁ。季節を感じて、それを言葉にする時候の挨拶を書いていきたいなぁ。さまざまなツールがある今だからこそのコミュニケーションを楽しんでいきたいなぁ。・・・など、日常の中で実践していきたいアイデアやヒントをいただきました。

春瀬さん、お話をお聞かせくださり、ありがとうございました!
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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