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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2023-10-18
お手紙とわたし~春瀬ゆうなさん編③~

私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。「お手紙ってかたい印象があったけど、いろんな楽しみ方があるんだ」「基本、書くことは苦手だけど、肩の力を抜いて書いてみようかな♪」と、お手紙を書いてみたくなるアイデアやヒントを教えていただきます。

7人目は春瀬ゆうなさんです。ライターでキャリアコンサルタントでもあり、現在は小・中学生向けの体験型ライティング教室「あすとれ」や大人向けにも文章教室を開いています。私のライターの先輩であり、現在もお仕事でお世話になっていて、実際にお会いする機会も多いのですが、時々お手紙でもやりとりしているんです。

春瀬さんが今年、小学生向けに読書とお手紙を組みわせたイベントを企画した背景や、ご自身の日常でのお手紙のやりとり、文章のプロが考える“話し言葉(話すこと)”と“書き言葉(書くこと)”の違いなどをうかがった、内容盛りだくさんのインタビューを4回に分けて紹介します。

1回目は「書くことに親しむ編」、2回目は「節目節目に届くお手紙&プチプレゼント編」。今回は「お手紙という形だからこそ編」として思い出深いお手紙をはじめ、「これだけはお手紙で伝えたい」「お手紙だからこそ、伝えられた」という体験についてお話をうかがいました。
これまでもらったお手紙で、思い出深いものやその思い出がありましたら、教えてください。

春瀬さん:私の夢は児童文学作家で今、「プレアデス」という児童文学創作グループに所属しています。作品の勉強会前に、会員一人ひとりに書き上げた原稿を送ることになっていて、最近はメールで送るようになったんですが、これまではずっと郵便で送っていたんです。

原稿と一緒にお手紙も同封されていることがあって、ある1枚がすごく嬉しかったんですよね。

勉強会では「こうしたら、もっとよくなると思う」といった、作品に対する真摯な言葉をたくさんいただくんですけれども。1人あたりの時間は限られているので、端的にずばっと、びしっと言っていただくことが多いです・・・「3日くらい、立ち直れない」こともあります(笑)。言ってもらうことで、原稿がよくなるので、すごくありがたいんですけれどもね。

だから、「あなたの作品のこういうところが好きだと思っていますよ」といった手紙をもらえると、嬉しくて、生き返る感じがするんです。

これまで原稿を郵便で送り合っていたのが、最近メール送信に変わったのには、何かきっかけや理由があったのですか?

春瀬さん:2021年から普通郵便の届け日数が変更になったり土曜日の配達が休止したりして、郵送の場合は日数がかかるようになってしまったからです。原稿はぎりぎりまで時間をかけて書きたいので、メールで送ることが多くなってしまいました。便利な一方、これまでのようなお手紙のやりとりが減ってしまうのかなと思うと、ちょっとさみしいですね。

よく覚えているのは、入会して日が浅い頃にプレアデスの先輩からいただいたものです。本題のほかに、私の作品の感想や「ライターさんということを今回話して初めて知りました」「デビューにとても近いところにいらっしゃると思います」といった励ましを書いてくださっていて。会では、ずばっと的確な意見をくださる方だからこそのメッセージが嬉しくて。

その方は今、休会されているから、「また、お会いしたいなぁ」とかね。こうやって、お手紙という形で残っているから、「そうそう、あの時、ご一緒したんだ」「こんなことを思ってくださっていたんだ」と思い出せることがあって。こうして残っていなかったら、忘れていることがあるんだろうなぁと思います。

お手紙って改めて読み返せるから、いいですよね。

*「『おすすめ本の魅力をお手紙で伝えよう』イベントで、参加した生徒さんからもらったお手紙です。こんなふうに形に残るのが嬉しいですよね」と春瀬さん
お手紙という物の存在感がありますよね。そのお手紙をまた読むと、再び届く感じもして。

春瀬さん:キャリアカウンセラーとして業務委託で行かせてもらっていた大学のキャリアセンターの方からいただいたお手紙も印象に残っています。任期満了でやめることになった時にくださったものです。目の前の就職先ではなく、長い人生を見据えて学生と熱心に向き合っておられる素敵な方だったな、その方にこうしてお手紙をもらえたことが嬉しかったなということも、この一通から思い出せます。

もらったお手紙ではないんですが、手紙にまつわる思い出深い出来事がありまして。文章教室の生徒さんが、教室の本棚に置いている私の友だちでもある作家さんの本が大好きで。「じゃあ、ファンレターを書いてみようか!」となって書いたことがありました。

ちょうど、その友だちに送るものがあったので、忙しいと思うけれど、読むだけ読んでもらえたら嬉しいなぁと、ファンレターを同封したら、生徒さん宛に返事までくれて! 返事までもらえるとは思っていなかったから、生徒さんもお母さんもすごく喜んでおられました。

その人を思って書くのも楽しいけれど、返事がもらえるのも嬉しいものです。

素敵ですね! 「返事がなくても」と思いながら、もらえたら嬉しいものです。日常の中のプレゼントみたいな感じがありますね。

春瀬さん:この作家の友だちのことで、もう一つ思い出したことがあります。

デビュー前はお手紙でいろいろとやりとりしていたけれど。今や作家として忙しくしているから、お手紙を送るのは悪いかなぁと思いながら。でも、このことだけはお手紙で伝えたいということがあって。

その友だちにお手紙で伝えたことは、「生徒さんにあなたの本を1巻薦めると、次からは自分で2巻、3巻と持って行く。中には『続き、全巻をお母さんに買ってもらった』という子もいて。子どもたちの心を動かしているよ。ほかの本では、そんなことは滅多にないから、それってすごいと思う」って。

そしたら、その友だちから「周囲からさまざまな意見やアドバイスをもらうことが多くて、気にしていたんだけど。お手紙の内容が、すごく嬉しかった」と返事をもらいました。

じっくりと、改めて伝えたいことは、お手紙のほうがいいんじゃないかなと感じた出来事です。

「このことだけはお手紙で伝えたい」と思われたのは、なぜだったのですか?

春瀬さん:メールで送るには、味気なくなってしまうかなぁと思って。そもそも、その友だちも、お手紙やかわいいペーパーや文具が好きというのがあったから、かわいい用紙でお手紙を書いたほうが喜んでくれるかなとの思いがあったんですよね。

お手紙は、文章や文字以外にも、紙の質感や模様、絵柄、色、切手・・・郵便受けを開けた時に見つけて喜ぶ体験とか。さまざまなものから成り立つもので、全部合わせて相手に受け取ってもらえるものだから。文字だけのメールとは異なるのかなぁと思います。

たとえば、クッキーを1枚そのまま手渡すのではなく、きれいにラッピングをして、リボンをつけて、手渡しする感じと似ているのかもしれませんね。

*「最近はデータでのやり取りが多くなりましたが、書類や原稿を送る時にちょっと入れるメモやカード、封筒などを、いろいろ集めていました。もらった時もちょっと入っていると嬉しかったり、一言が嬉しかったり」と春瀬さん
(2023年4月取材)

<お話をうかがって>

春瀬さんのクッキーのたとえが「おぉ! まさに!!」という感じがしました。

「クッキー=気持ち、想い、伝えたいこと」を「ラッピング=レターセット」「リボン=マスキングテープ、シール、切手など」で大切に包んで、渡す。

その一つひとつを、「あの子は、空が好きだからなぁ」「こうしたら、楽しい雰囲気になるから、喜んでくれるかな」など、相手を思い浮かべながら選んでいて、どこにも気持ちや思いが宿っているんですよね。言葉やメッセージの温度や手触りといったものを、その全体で表してくれるんだと思います。

と同時に、相手もそうして選んでくれていることが想像できるから。お手紙をやりとりすることを通して、言葉でも文章でもないものから何かを読み取ろうとする能力が自然と鍛えられているように思います。だから、自然と身のまわりのものについても、それをつくった人のこと、その思いを感じ取ろうと思い馳せられるようになった気がしました。

次回は「自分の状況や気持ちに合う形を探して編」。春瀬さんが自作している便せんのことやお手紙を書く時間の持ち方・過ごし方、楽しみ方についてお話をうかがいます。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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