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藤田 由布
婦人科医 レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2023-05-04
冷え症を改善して「体・心・肌」の不調を治しませんか?

あれれ?寒がってるの自分だけ?
皆が寒がらないのに、気付いたら自分だけが寒いと感じていたりしませんか?

日本人女性の7割が冷え症とも言われています。

実際に気温の低下に対して体温調整ができず、体の表面の温度が低下してしまい、手足が冷たく氷のようになったり、夜は熟睡できなくなったり、と日常生活に支障をきたしてしまいます。
自分は「冷え症」とは無関係と思っていても、

・太りやすい
・目の下にくまができる
・手足や顔が浮腫みやすい
・イライラしたり、落ち込みやすい
・肌荒れがひどい
・記憶力が低下している


いずれかに当てはまる場合は、冷え症が隠れているかもしれません!
血流を意識してみませんか。
冷え症とは、手足の末端や、背中のあたりなど部分的に皮膚の温度が低下することで、体温つまり「体内の温度」が低下することではありません。

冷え症の原因としては、血管に作用する自律神経の機能が乱れてしまい、血管が細くなり、血流が低下してしまうことが考えられます。

冷たい飲み物、ストレス、無理なダイエットや運動不足、睡眠不足といった生活行動が身体を冷えやすくしているせいなのです。

冷えて血流が悪くなると、体の中の臓器に必要な栄養や酸素を運べず、老廃物の回収もうまくいかなくなります。

冷え症チェックリスト
3つ以上あてはまる人は冷え症要注意です。(資料提供:株式会社ツムラ)

□ 手足がすぐに冷たくなる
□ 手足がしびれることがある
□ しもやけ・あかぎれができやすい
□ 肩が冷えやすく、痛くなることがある
□ 月経痛がひどい
□ トイレが近い
□ 風邪をひきやすい
冷え症は、甲状腺などのホルモン異常や動脈閉塞などといった病気が背景にあることもわかっています。そして、冷え症は女性に多く、卵巣の働きにも密接に関与しています。

生理中や生理後の10日感ぐらいの期間にも冷えはやってきます。また、冷え症は更年期の女性にも多くみられます。
体温が下がると、免疫力も下がります。
「冷え症」とは、体温が低下することではありませんが、身体を冷やす生活習慣で、冷えが積み重なると体温が低下してしまいます。

なんと、60年前とくらべて、女性の平均気温は1℃低下していることがわかっています。

体温が1℃下がるだけで、免疫力が30%も低下するとも言われています(つくばセントラル病院岡村真子医師)。

免疫力が低下すると、ウイルスやバイ菌などの病原体に対する抵抗力も弱まってしまいます。

がん細胞は35℃台で最も増殖しやすいので、体温は下がったまま放置するのは良くないですね。
体温を1℃上昇すると、身体の代謝は13%増加します。代謝があがると太りにくくなります。
女性の漢方、試してみませんか?
冷え症の原因として、貧血や低血圧、女性ホルモン低下や自律神経失調症、そして甲状腺機能異常などが考えられます。

大事なのは、まずはちゃんと医師に相談すること。西洋医学的な薬剤を使って治療することは、基本中の基本でとても大事です。

西洋医学では病気ととらえにくい場合は、漢方の出番です。
冷え症の治療には、全身の「気」「血」「水」のバランス改善が大事で、そのため、その人の体格や症状や、それぞれに見合った幅広い漢方薬が処方されます。
冷え症は、「虚証」に特有と考えられがちですが、「中間証」や「実証」にも冷えとのぼせが混在することもあり、単に冷え症といっても人によって使う漢方は千差万別。医師の診断を受けて薬を選ぶ事が大事です。
漢方の良いところ
冷え症の原因は、自律神経能のアンバランスによることが多いので、女性ホルモンが深く関係することが確かなのです。そのため、病気の原因を直接・間接的に除去するとうい西欧医学的アプローチが難しいのも確かなのです。

漢方では症状はもちろんのこと、個人の体質に見合った薬を選ぶ事が大事で、その結果、冷えの他の症状も同時に改善させることもできるのです。

*クラシエ(細粒)とツムラ(顆粒)の漢方
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、神味逍遙散、温経湯などが使われることが多いです。
漢方処方例
■ 足冷えが強く、下腹部痛や月経痛がある場合
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
■ 手足のほてり、足腰の冷え、月経不順がある場合
温経湯
■ のぼせて、足冷えのある、肩こり、月経痛がある場合
桂枝茯苓丸(ツムラの顆粒がどうしても飲めない場合はクラシエの錠剤があります。
■ 疲れやすく、苛立ち感があり、月経不順がある場合
加味逍遙散
ライフスタイルにちょっとした工夫
冷え症には、よい生活習慣とバランスが大事です。入浴、食生活、衣服などの医師からのアドバイスも重要です。

鎮痛薬の使い過ぎ、無理なダイエット、睡眠不足、ストレス放置、運動不足。これらは冷え症を助長する習慣です。

「頭寒足熱」、これを心がけて、睡眠や食生活の見直しをしてみませんか。
身体を温める食べものは、冬が旬!寒冷地で育つ発酵食品なども良いです。

しょうが、にんじん、たまねぎ、ごぼう、れんこん、じゃがいも、鮭、サバ、牡蠣、鯵、さんま、納豆、キムチ、チーズなど。
キレイで元気に過ごすために
ほんのり赤いくちびる、ポっと明るい頬など、血色のいい温かい肌だと若く健康にみられますよね。 美しく元気な肌に必要なのは、血色の良さ、つまり、血液の流れを滞らせないことです。

冷え症を改善する努力をしていると、どうやら更年期の症状も軽くなり、更年期が幸年期になると言われています(うまいこと言いました)。

冷え症を放置してしまうと、肩こりや頭痛など、さまざまな身体を不調を招いてしまうので、しっかり対策したいですね。できることから、ちょっとずつ、です。
日常生活でできる事をちょっとずつ取り入れて、身体ポカポカ健康生活を手に入れたいですね。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ 副院長
〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町8-26 NU茶屋町プラス3F
TEL:06-6374-1188(代表)
https://umeda.santacruz.or.jp/

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