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藤田 由布
婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-06-02
【 重要 】1997年〜2005年生まれの女性の皆さまへ

大事なことを聞き逃さないで下さい
2022年4月から、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が無料で接種できます。

2022年〜2025年までの3年間、公費で3回とも接種できるのです!!

本来なら5〜10万円かかるこの高額なワクチンが無料となります。

年齢で言うと、12~16才の学年に加えて、17~25才の女性もHPVワクチンが、この4月から無料の対象になります!
対象となるのは、平成9年度生まれ~平成17年度生まれ。
HPVワクチンの接種を逃した方への「キャッチアップ接種」が開始されました。

つまり、誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日までの女性の中です。

この期間に、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種をしていなかった人がいました。

まだ接種を受けていない女性は、HPVワクチン接種を無料で受けることができます。
日本人にだけ「知らされていない事実」
実は、男性がHPVワクチン接種を受けてないのは、日本だけ。
※HPVワクチン=ヒトパピローマウィルスワクチン
※日本でだけ子宮頸がんワクチンとあたかも女性だけに関与するかの誤解を生む名称で呼んでいます。
 
残念なことです。

女性だけがHPVワクチンの対象だなんて。誰が聞いても「なんで女性だけやねん、、、」と思いますよね。

ごもっともです。日本以外の先進国はすべて男女ともに公費で接種しています。

男性がこのHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を接種することで、中咽頭癌、肛門癌、陰茎癌を予防することが可能で、なおかつ、大事なパートナーを子宮頸がんのリスクから守ることもできます。

子宮頸がんは、性行為で感染するウィルスが原因なのです。
子宮頸がんは性交渉で感染する「ヒトパピローマウィルス(HPV)」が原因です。

日本人の80%以上の女性は生涯に1度は感染するというウィルスです。なので、ほとんど全ての女性が子宮頸がんと隣り合わせに生きているといっても過言ではありません。
HPVは自然界に普遍的に存在します。湿気や湿度の高い場所に好んで生息するウィルスです。男性は、温泉のマットレスやサウナのタオルなどからペニスに感染することもあるようです(諸説あります)。

日本にいる男性の皆さん、世界の先進国の若い男性は殆どがHPVワクチンを接種しています。日本人男性だけです「え?なにそのワクチン」とキョトンとしているのは。
バカにしている訳ではありません。
知らないことが問題ではなく、知らされていないことが問題なのですから。

近い将来、日本人男性が海外で「日本人男性ってHPVワクチン受けてないから、お付き合いするのは危険だね」と言われないか心配です。※過激な発言をあえてしています。なぜなら話題にしてほしいからです。ちゃんと事実と向き合う機会としてほしいからです。

海外でモテると言われている日本人男性が(諸説あります)、HPVワクチンを接種していないというだけで、10年後にモテないグループに入れられてしまうかもしれません。
HPVワクチン接種の対象となる方
■無料の対象となるのは、平成9年度生まれ~平成17年度生まれです。つまり、誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日の女性のみです。

このほか、平成18・19(2006・2007)年度生まれの方は、通常の接種対象の年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えても、令和7(2025)年3月末まで接種できます。
ここで、1996年生まれや、1997年の早生まれの人、残念ですよね。

私の診察室でも、1996年生まれの女性が「こんな高額なワクチン接種したくても自費で払えない!」と怒った人もいました。ごもっともです。 お気持ち痛いほど分かります。

今現在、74人に1人が子宮頸がんを罹患するという日本。
子宮頸がんの罹患率と死亡率の両方が上昇しているのは、世界でもブルガリアと日本だけ。

癌が予防できることが分かっているワクチンなら、全員無料にして然るべき。なぜ、これをもっと皆が大声で言わないのか不思議でならない。
子宮頸がん検診にひっかかって、強ばった表情でクリニックを受診しにくる女性たちを毎日診察していると、この現状に対して私は腹の底から怒りが込み上げてきます。

なぜ、先進国で日本だけが男性にHPVワクチンを接種しないまま知らぬふりして平気にやり過ごしているのか。
生涯一人としか性交渉をしなくても子宮頸がんになる女性もいます。日本では一人の女性が大人になって家族を作る、これだけで「癌」と隣り合わせに生きていかなければならい。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これは事実なのです。
貞操観念は関係ない。子宮頸がんの問題は、リプロダクティブヘルスの問題なのです。

知らないのが問題ではない。知らされていないことが問題なのです。
先日アメリカ人から言われました。「日本ってさ、小中高で性教育が合計1時間だけで笑っちゃったよ、日本の若い子たちは本当に何も知らないね。」と。

日本ほど女性の疾患が軽くみられている国って、他にないのではないだろうか。これは欧米人の友人からよく言われることで、他の先進国と比べると、日本の医師としてこの現状はやはり肩身が狭いのです。

写真:病院の看護師さんを招集して「婦人科漫談セミナー」を実施(2022年1月)
青臭い医師で何が悪い。感情移入して何が悪い。笑いたければ笑うがいい。しかしこれらの思いは医師としてではない、私は、いち女性として当たり前の感情の訴えなのです。

この思いが私を動かして、昨年度は全国で50回ほど「婦人科漫談セミナー」と題した講演会を実施してきました。

写真:広島のSocial Book Caféハチドリ舎にて「婦人科漫談セミナー」を実施(2022年1月)
HPVワクチンを公費で接種できないなら、自費で接種するのも賢明な選択だと私は思います。
自費ですと、3本セットで5万円ほどします。高額ですが、接種する病院やクリニック施設が儲かるという話ではありません。ワクチンは元々これぐらい高いので、クリニックは何の売上げ計上にもなりません。

とはいえ、巷の産婦人科医も小児科医も、このHPVワクチンの絶大な効果を科学的そして医学的な見地から嫌というほど分かっているので、ほとんどの医者はこのワクチンの接種を推奨しています。

少なくとも、HPVワクチンに反対している医師に私は1人も出会ったことありません。※あ!信州大学の神経内科のI医師がいました。彼だけ反対していましたね…(→参照:村中璃子著『十万個の子宮』)
過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない女性
私の外来では、1994年以降に生まれた女性たち全員に訊ねています。

「1997年〜2005年生まれの女性はHPVワクチンが無料で接種できることになったのですよ」と言っても、これまで数百人以上に訊いたけど誰一人「え?なんの話?」となり、子宮頸がんとは、、、というゼロから説明を開始しなければならない。

・中学生くらいの時に痛い筋肉注射のワクチン打ったの覚えてない?
・覚えてなかったら、お母さんに訊いてみてね。
・サーバリックスとかガーダシルとか聞いた覚えある?

思い出せない女性が殆どです。
過去に接種したワクチンの情報(ワクチンの種類や接種時期)については、母子健康手帳や予防接種済証等でご確認ください。

HPVワクチン接種が受けられる時期
接種の対象に該当する方は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。

この期限と関係なく、小学校6年〜高校1年の該当者は公費で接種できます。
接種するワクチンの種類・スケジュール
公費で接種できるHPVワクチンは2種類(サーバリックス®、ガーダシル®)があります。決められた間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。

3回接種するスケジュールは以下の通りです。2パターンとも6ヶ月間で3本コンプリートとなります。

ここで注意したいのは、3本目が期限をすぎてしまうと3本目のみ自費となります。1本おおよそ2万円という相場です。
公費(無料)の期間内に3本とも接種するのが良いにきまっています。
経済的に余裕があれば、断然「シルガード9」
シルガード9は9価のワクチンで、認可はされていますが、定期接種としての認可はおりていません(2022年5月現在)。

日本では9価のHPVワクチンの接種を希望される場合は、自費で接種しなくてはなりません。自費だと約10万円です。※高額なのはワクチンそのものの価格であって病院には全く利益ないです。

普通のご家庭なら、10万円は高額です。
ここだけの話、私が知っている産婦人科医の親を持つ娘様たちの大勢はHPV9価のワクチンを接種しています。医師である親御さんたちは、このワクチンの効果を知っているからこそ、自分の娘にはちゃんと接種しているわけなのです。

高額なワクチンであっても、医師が自ら9価ワクチンを取り寄せて家族に接種しているわけですからね笑、効果ないワケないのです。

普通に考えて、シルガード9がはやく男女ともに無料で受けれる定期接種となれば良いだけの話です。何年も前から世界のスタンダードは9価ワクチン(HPV9)です。
日本だけが遅れている現実。これも知らされてない事実ですよね。

保護者も、医師も、行政も、意識ある行動をとっていきたいものです。
接種を受けるための手続き
具体的な接種方法は、住民票のある市町村からお知らせが届きますので、そちらをご覧ください。

また、過去に受けた接種回数や時期により、接種方法が異なる場合があります。できるだけ母子健康手帳を確認・持参して、市町村や医療機関に相談してください。

私の診察室には「打ったかどうか覚えてない」という女子が殆どです。あなたが悪いのではありません。うんと昔のことなので、知らなくて当たり前です。
ただ、ちょっと思い出してみてください。HPVワクチンは筋肉注射です。中学生の頃に痛い注射を女子だけ3回打った記憶を辿ってみてください。もしくは、お母さんに「私、中学生くらいの頃に子宮頸がんワクチン接種したっけ?」と聞いてみてください!
疑問に思うことを解決します
Q1:なぜ、平成9年度~平成17年度生まれの女性に、あらためて接種の機会が設けられるのですか?

2013年から2021年の、HPVワクチンの接種を個別にお勧めする取組が差し控えられていた間に、定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。

こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えて、あらためて公費での接種の機会をご提供しています。

対象は、平成9年度~平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)(※2)の女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方です。令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。

Q2:通常の定期接種の対象年齢(高校1年相当まで)を過ぎても、接種の効果はありますか?
16歳頃までに接種するのが最も効果が高いですが、それ以上の年齢で接種しても、ある程度の有効性があることが、国内外の研究で示されています(※)。

なお、定期接種の対象年齢を過ぎてからの接種について、明らかな安全性の懸念は示されていません。

また、子宮頸がんの予防のためには、子宮頸がん検診を定期的に受診することも大切です。

検診を定期的に受けることで、がんの早期発見・早期治療につながります。さらに、HPV感染は主に性的接触により起こるため、パートナーと共に性感染症の予防も忘れずに行いましょう。

ワクチンが子宮病変を予防する有効性は概ね16歳以下の接種で最も高いものの、20歳頃の初回接種まではある程度有効性が保たれることや、性交経験がない場合はそれ以上の年齢についても一定程度の有効性があることが示されています。
性交経験によるHPV感染によって、ワクチンの予防効果が減少することが示されていますが、性交経験がある場合でも、ワクチンの予防効果がなくなってしまうわけではありません。

※HPVワクチンの対象年齢を過ぎてからの接種の有効性などに関するエビデンスについて、以下をご参照ください。

第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料5-1「HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する有効性・安全性のエビデンスについて」

Q3:キャッチアップ接種の対象者がHPVワクチンを接種するときに、保護者の同意は必要でしょうか?

予防接種法上、ワクチンの接種にあたって保護者の同意が必要となるのは16 歳未満の者です。そのため、キャッチアップ接種の対象者は、保護者の同意は不要となります。

Q4:過去にHPVワクチンを1回または2回接種した場合にも、残りの回数を公費で受けられますか?  

1回接種したことがある方は残り2回、2回接種したことがある方は残り1回、公費で接種を受けられます。

過去にHPVワクチンを受けた時から時間が経過している場合でも、接種を初回からやり直す必要はなく、残りの回数の接種(2、3回目または3回目)を行ってください。

なお、HPVワクチンは、原則、同一種類のワクチンを用いて3回接種することとなっています。

Q5:予防接種を受けた後に体調が悪くなり、医療機関を受診しました。救済などはありますか?

HPVワクチンのキャッチアップ接種は、予防接種法に基づく接種になります。

HPVワクチンに限らず、接種によって、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害が残るなどの健康被害が生じた場合は、申請し認定されると、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)を受けられます。

給付申請を検討する場合には、診察した医師、保健所、お住まいの市町村の予防接種担当課へご相談ください。

参照:日本産婦人科学会ホームページ MSD製薬「子宮頸がんとは」教材冊子
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
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