HOME  前のページへ戻る

バックスター ルミ バイリンガルライフコーチ RumiBaxter
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2021-10-13
幽玄
10月も半ばですね。先日、後10週間余りで2021年が終わると気づいてびっくりしました。ここ大阪北部では日中はまだ夏のように暑い日もあり、秋という季節が年々短くなるようです。

秋という季節に自然の風情を重ねる方は多いでしょう。先日、夕暮れどきから夜にかけての幻想的な雰囲気の中、城跡という野外の舞台で自然の風情を背景に演じられた能楽にふれることができました。

能楽に対しての経験も知識も全くない状況で、少しばかりの一夜漬けに近い「予習」を頼りに、それでもユネスコの無形文化遺産の一つに登録されている日本の伝統文化、能楽の舞台を初めて観ることができとても嬉しく思っています。

能面と色鮮やかな能装束、踊り、舞、和楽器の音色、どれをとってもわたしにとっては初体験でした。

能学、特に「夢幻能」の世界を知りたいと思ったきっかけは、それが「幽玄」という芸術領域の世界の中で、霊と生きる者とが観客に向かって語りかける演劇だときいたからです。

そもそも、幽玄という言葉自体、その感覚とはどういったものなのだろうかと思いました。 「幽玄」とは言葉には表れない、目には見えない、しかし心の奥で感じる、はかりしれないおもむきであり美意識だとあります。そこにあるのは深い余韻の美だということも知りました。

禅の世界ににつながるとも言える、「余韻の美意識」とは全ての芸術と呼ばれるものに当てはまる概念ではないでしょうか。

鑑賞した後、聴いた後、想像力をいっぱいにかき立てられ、「力強い何か」がそこに残る、そういった余韻の美には言葉を超える芸術性があり、「そこ」に確実に存在するように思います。

言葉には表れない、表れ尽くせない幽玄の美意識を今このように言葉で書くのも滑稽な話でしょうが、あえて書くならば、目に見えないエネルギーが残す余韻の美を感じるためには何より想像力が必要だと思います。

能面は少しの角度の違いで、目元に陰影を作り出し、その陰影は感情を哀しみから喜びへ、そして喜びから哀しみへと変えます。頭の角度、手足胴体の動きから作り出される角度で感情が表現されているのです。観客は想像力を使いながら舞台の上で演じられる感情の流れを読み取っていくようです。

当日の「作り物」と呼ばれる舞台装置は、竹とススキで作った枠組だけで、そこから井戸を想像させます。そのススキが自然の風になびき、秋の暗闇の中、虫の声が鳴り、和楽器の調べと調和され、能の舞台には神がいると言われていることがわかるような気がしました。

真夏のような晴天だった昼間にもかかわらず、舞台の始まる前に突然降った冷たい大雨ですらまるで舞台効果の一つとしての浄化の雨のようでした。

能学はわたしにとっては難しい古語で演じられるのですが、仕組みはシンプルなようです。 「シテ」と呼ばれる主人公は「霊」で、面をかぶっています。その霊と出会う人間は「ワキ」と呼ばれます。

主人公のシテの存在はワキの存在によって存在が観客に知らしめられるところも非常に興味深いと思いました。ワキは、脇であり、観客にシテの存在を「わからせる」役なのです。

二つの対比する生と死の登場人物が混じり合い、舞台の中で必要な「間」を作り出します。間は無ではなく、必要な時間の間であり、空間の間であり、消えることのないエネルギーの余韻を伝えます。

その場にいる霊のシテに会うために旅してきたワキは舞台で出会い、観客の前で融合され、間と共に観客に幽玄の美を伝え、そしてどこともなく消えていく。現実か幻か、といった具合にです。

あの大雨に打たれた寒い夜の幽玄の世界、あれはなんだったのだろう。現実を超えたような一晩の能楽は明確な答えを出すことさえせずに経験として余韻を残したことは確かです。

この600年以上続いている幽玄の無形文化遺産をもっと知りたいと思った早秋の一夜でした。
profile
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

バックスター ルミ  丁寧に生きるという選択  コラム一覧>>
ライフスタイル new
幽玄
ライフスタイル
仲間
ライフスタイル
つむぐ、つなげる
おすすめのコラム
ライフスタイル
お手紙とわたし~津玲子さん編④~
小森 利絵
フリーライター
えんを描く
ライフスタイル
誰宛てでもないお手紙~Мさんより~
小森 利絵
フリーライター
えんを描く
ライフスタイル
お手紙とわたし~津玲子さん編③~
小森 利絵
フリーライター
えんを描く
コラムのジャンル一覧



@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
[心に響く本]
橋本信子先生の
[おすすめの一冊]
キュレーター八津谷郁子の
[大人も楽しめる洋書の絵本]
小さな絵本屋さんRiRE
[女性におすすめの絵本]
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(台湾)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(農業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME