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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2019-06-28
気持ちを伝えること
最近、さまざまなニュースを見て思っていたのは、身近な人間関係の中で、自分が大切に思われていることに気づけていたら、もしかしたら救われる気持ちがあったんじゃないのかなということ。

日頃、気持ちを伝えられているようで、伝えられていないことや伝わっていないことがあるのではないでしょうか。気持ちを伝え合うことの大切さを改めて感じます。

私が娘に時々お手紙を書くのは、たくさん一緒の時間を過ごしながらも、日頃伝えられているようで伝えられていない気持ちをちゃんと伝えたいからかもしれないなあと、ふと思いました。

気持ちをちゃんと伝えておきたい・・・という気持ちの根底には、家族であっても「ちゃんと気持ちを伝え合えていなかったためにしんどかった」という私自身の、母との思い出があります。
私は中学生から高校生にかけて、自分のことが嫌いでたまらず、生きているのが辛いと思うほどでした。そこには、小学4年生の時に亡くなった母の存在があり、「自分は愛されていたのか」というぬぐえない疑念が起因していたのだと思います。

今思えば、まわりから「お母さんがいなくてかわいそうね」「お母さんが生きていたらよかったのにね」と言われ続けた反発からか、「お母さんがいても、幸せだったかどうかなんてわからない」と美化されていく母の存在に対して、「そうじゃない」と打ち消したかったのでしょう。

母とのいい思い出はたくさんあるはずなのに、思い出そうとすると、嫌な思い出ばかりが頭を過りました。

父が出張中に「あんたがおらんかったら、よかったのに」と祖母の家に泊まるように促されたり、見知らぬ人からすごく理不尽な暴力を受けて傷ついて帰った時に「あんたが悪いんや」と突き放されたり・・・自分は愛されていたのか、生きていてよかったのか、自信が持てず、父との関係もうまくいっていなかったので、冒頭のようなことを思っていました。
時は流れ、私も母親になりました。あの時の母の気持ちが少しわかるような気がするのです。

「あんたがおらんかったら、よかったのに」と言われた時は、母と父がケンカしていたから、苛立ちを私にぶつけたのかもしれません。「あんたが悪いんや」と言われた時は、母から「遊びに行くな」と言われていたのに私が遊びに行ったことに対する苛立ちと、出来事に対してどう対応すればいいのかわからなくて、気持ちがぐちゃぐちゃになったのかもしれません。

私も娘に対して、後から「なんで、あんなことを言ってしまったのだろう」と後悔することもしばしば。口から出た言葉は日ごろからそう思っているから出る本音でしょうが、その根っこには自分が何かほかのことでイライラしていたり、自分の都合に合わなかったりといった自分勝手な気持ちが正体だとも思うんです。

「あなたのせいではない、私の問題だった」と伝えるため、「あの時はごめんね。自分のことしか考えていなかった」「すごく嫌なことがあって、心がトゲトゲしていた」と謝ります。

もしかしたら、母もそうだったのかなあと、今は思います。もしそうだったのだとしたら、後からでもいいからその気持ちを話してくれたらよかったのに。いや、私が「自分が悪い」と受け入れずに、「そう言われて辛かった」「本当はこうしてほしかった」と伝えることができていれば、よかったのかもしれません。
そばにいれば、わかる。言わなくても、わかる。なんてことは、そんなに多くないと思います。もしかしたら、自分にだって、自分の気持ちがわかっていないかもしれないからです。

お手紙は日頃、言葉として出てこない気持ちや思いに気づいて、認めて、改めて伝えるきっかけをくれるような気がします。なぜなら、お手紙を書く時間というのは、相手に思いを馳せて向き合うとともに、自分自身とも向き合うことになるからです。

「ありがとう」「うれしい」「つらい」「かなしい」「ごめんなさい」「ほんとうは」など、どんな気持ちや思いであれ、それに気づいて、認めて、伝えようとしてみる・・・ただ、自分が思いついたままに、言いたいように伝えるのではなく、相手に思いを馳せ、またここから関係を築いていこうとする気持ちがあれば、さらなるコミュニケーションが始まるんだと思います。

伝えても伝わらないこともあるかもしれません。余計にすれ違うこともあるかもしれません。けれど、伝えないと伝わる可能性もゼロのまま、積み重ねてもいけないから。

気持ちをちゃんと伝えていますか?
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レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰
編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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