関西で働く女性のライフスタイルマガジン［関西ウーマン］

先日、映画『国宝』を観ました。まさに、大げさでもなく、「魂が揺さぶられる」とはこういう体験なのだと、深く感動しました。

歌舞伎という、私にはまったく無縁の世界。しかし、こんなにも共感し、心を激しく揺さぶられたのは、この映画が「人生を覚悟を持って生きること」を描いていたからなのだと思います。

偶然とは、ある日突然、舞い降りてくるように思えるかもしれません。でも、一つひとつの偶然が、後になって必然だったとわかる瞬間があり、偶然の連続こそが、人生という必然を形づくっていくのだと感じます。

自分の意志の力が、偶然を招き入れ、その連続に意味を与えたとき、それはもう「必然」へと姿を変えているのかもしれません。映画『国宝』を観ていると、そのことを、数々のシーンで何度も思い知らされました。

「運命」とは何か。
それは背負わされたものではなく、引き受ける覚悟のことなのだと。

逃げることも、否定することもできる中で、美しく生きようとする人は、むしろその運命を通してしか見えない景色を、自分自身として育てていく。だからこそ、人生に必要なのは「覚悟」だということも何度も思いました。

与えられたものと向き合い、失うことも、報われないことも、すべてを偶然の作った必然と抱えてなお、自分の道を歩もうとする強さ。

「覚悟を決めて生きる」とは、派手な宣言でも、大きな決断でもなく、むしろ日々の、静かな選択の積み重ねなのかもしれません。

迷いながらも、自分が選んだ場所に立ち続ける。
揺れながらも、引き受ける。
美しく生きるとは、「何を見つめ続けるか」

この映画は、そんなことを教えてくれました。

何を見るか、何を見たいかという「美しい景色へのこだわり」こそが、偶然を必然に変え、その人の生き様をつくっていくように思います。

生きることと、死ぬこと。
それは決して別のものではなく、生と死は連なり合い、そのあいだには、「無常」という時間が静かに流れているのでしょう。

無常だからこそこんなにも光と闇が複雑に交差しているのでしょうか。また、覚悟を決めて生きた人の元には偶然のように見える出会いや、ふと開いた扉が、自分を見たい景色へと連れて行ってくれるのだと感じました。

こんな素晴らしい作品に出会えたことに、ただただ、感動があふれる、そんな映画体験でした。