HOME  前のページへ戻る

あみ りょうこ 版画家 ninjacco
1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
AMIのAMIGO アート・芸術 2024-02-05
Vol.37 メヒコ人と時間を共にするの巻、その② [ロテリアを通してメヒコ文化に触れる]
オラー、こんにちは。2023年の10月にメヒコ人の友達が遊びに来てくれたことで再びメヒコ文化の風にふかれたあみりょうこです。

今回も、前回『メヒコ人と時間を共にするの巻、その① [Sin planes (ノープラン)]』に引き続き、メヒコ人の2人と過ごした時間で感じたり見たりしたことをお伝えしていきたいと思います。今回は「ロテリア」にまつわるお話を。
ロテリアとは……?

*エディスのオアハカ州ロテリア
2023年の夏から秋にかけて、姫路の日本玩具博物館でメヒコの玩具の特別展が開催されていました。(「メキシコと中南米の民芸玩具」

姫路出身の私としてはこの情報を見つけたとき、いてもたってもおられず博物館に連絡を取り、ワークショップをさせていただけないかとお願いをしました。すると、博物館の方におもしろがっていただいて、8月と10月にワークショップをさせていただく運びになりました。

私が行っている Mexico-T shirt project は、メヒコのことをもっと日本の人に知ってもらえたらいいな!よし、Tシャツを入り口にしよう!と長年続けているプロジェクトなのですが、Tシャツのデザインに使っているモチーフの多くは、「ロテリア」というメヒコのカードゲームがもとになっています。

ロテリアはビンゴゲームのようなルールのおもちゃです。ロテリアには54種類の絵があるのですが、プレイヤーたちはそれぞれ「タブラ」と呼ばれ4x4や3x3でランダムにそれらの絵が描かれたカードを持ちます。親が1枚ずつ山からカードをひいて読み上げて、自分のタブラに同じ絵を見つけていち早くそろった人が勝ちというルールです。

数字のビンゴゲームと大きく異なるのは、ビンゴが縦横斜めなど1列そろえばいいのに対して、ロテリアはすべての絵がそろって初めてロテリア(ビンゴ)となるのです。

ロテリアのゲームをみんなで遊んだり、シルクスクリーンでそのモチーフを印刷したりするというワークショップの内容だったのですが、ちょうどこのワークショップの開催の時に2人の滞在がかぶりました。

ロテリアの親(読み手)をどうせならメヒコ人である彼らにしてもらうと、ワークショップも深みが出るのではないかなぁ、と思ったので2人に頼んでみたところ快諾してもらい実現しました。
ロテリアに見るメヒコ文化の多様さ!

*日本玩具博物館でのロテリアワークショップの様子
ロテリアのワークショップをするというので、何年も前に大阪の雑貨店で買ったというロテリアを持ってきてくださった方がいらっしゃいました。

ロテリアは一般に流通しているクラシックなものもありますが、死者の日などの行事に特化したものや、州の特産物に特化したものなどもあります。かくいう今回たずねてきてくれた友だちの一人であるエディスもオアハカ州のロテリアを版画で作っています。

オアハカでは毎年7月に「ゲラゲッツァ」というお祭りが開催されます。どのようなお祭りかというと、オアハカのさまざまな地域を代表したグループが一堂に集まり、自分たちの地域の踊りや音楽、特産物などを披露するという大きなお祭りです。

オアハカにはたくさんのインディヘナ(先住民族)のグループがあります。それぞれの言語を持ち、文化もまたそれぞれ異なります。同じオアハカ州と言っても、その多様な民族衣装や音楽をそのお祭りを通して知ることができるので、オアハカを訪れるならこのゲラゲッツァをめがけていくのもおすすめです。

話が少しずれましたが、そう、ロテリア。

大阪で買ったというロテリアを持ってきてくださった方は、買ったときは一体何なのかよくわからなかったそうなのですが、みんなでそのロテリアを隅々まで観察して説明などを読んでいると、Alec Dempsterさん(メヒコ生まれカナダ育ち)というプリントメイカーの作ったロテリアであるということが判明しました。

版画でつくられたそのロテリアはベラクルス州の文化を描いたロテリアだったのですが、実際に遊んでみると、親を担当したイヴァン(オアハカ出身)ですら知らない単語がたくさんあると話していたのにはびっくりしました。

特に日常で使われる台所用品と思しき壺などは各地方で独自の呼び方があるようで、2人とも「初めて聞いた!」とメヒコ人の2人も興味深そうに見ていました。

確かに日本でも、他府県の習慣や文化のことは意外と知らないかもしれません。ロテリアを通してメヒコ文化の豊かさを改めて知るとともに、日本でロテリアをつくるとしたら私は自分の出身<兵庫県>で54つの特徴を見つけられるかな??と自問自答しているところです。

外国人や他文化を持つ人と一緒に過ごすと、彼らの文化のことを学べると同時に自分の国や文化のことを意外に知らないなぁと思い知るものですね。

*日本玩具博物館
profile
あみ りょうこ
版画家

1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:https://amiryoko.wordpress.com/
instagram:ninjacco
メヒコTプロジェクト

あみ りょうこ  AMIのAMIGO  コラム一覧>>
おすすめのコラム
医療・ヘルシーライフ
【重要 】残りあと1年です『 HPVワクチン公費(無料)接種 』
藤田 由布
婦人科医
レディース&ARTク…
ライフスタイル
ひろこちゃんと私のお手紙のやりとり~10通目~
小森 利絵
フリーライター
えんを描く
ライフスタイル
映画「オッペンハイマー」
バックスター ルミ
バイリンガルライフコ…
RumiBaxter
コラムのジャンル一覧



@kansaiwoman

参加者募集中
イベント&セミナー一覧
関西ウーマンたちの
コラム一覧
BookReview
千波留の本棚
チェリスト植木美帆の
[心に響く本]
橋本信子先生の
[おすすめの一冊]
絵本専門士 谷津いくこの
[大人も楽しめる洋書の絵本]
小さな絵本屋さんRiRE
[女性におすすめの絵本]
手紙を書こう!
『おてがみぃと』
本好きトークの会
『ブックカフェ』
絵本好きトークの会
『絵本カフェ』
手紙の小箱
海外暮らしの関西ウーマン(メキシコ)
海外暮らしの関西ウーマン(台湾)
海外暮らしの関西ウーマン(イタリア)
関西の企業で働く
「キャリア女性インタビュー」
関西ウーマンインタビュー
(社会事業家編)
関西ウーマンインタビュー
(ドクター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性経営者編)
関西ウーマンインタビュー
(アカデミック編)
関西ウーマンインタビュー
(女性士業編)
関西ウーマンインタビュー
(農業編)
関西ウーマンインタビュー
(アーティスト編)
関西ウーマンインタビュー
(美術・芸術編)
関西ウーマンインタビュー
(ものづくり職人編)
関西ウーマンインタビュー
(クリエイター編)
関西ウーマンインタビュー
(女性起業家編)
関西ウーマンインタビュー
(作家編)
関西ウーマンインタビュー
(リトルプレス発行人編)
関西ウーマンインタビュー
(寺社仏閣編)
関西ウーマンインタビュー
(スポーツ編)
関西ウーマンインタビュー
(学芸員編)
先輩ウーマンインタビュー
お教室&レッスン
先生インタビュー
「私のサロン」
オーナーインタビュー
「私のお店」
オーナーインタビュー
なかむらのり子の
関西の舞台芸術を彩る女性たち
なかむらのり子の
関西マスコミ・広報女史インタビュー
中村純の出会った
関西出版界に生きる女性たち
中島未月の
関西・祈りをめぐる物語
まえだ真悠子の
関西のウェディング業界で輝く女性たち
シネマカフェ
知りたかった健康のお話
『こころカラダ茶論』
取材&執筆にチャレンジ
「わたし企画」募集
関西女性のブログ
最新記事一覧
instagram
facebook
関西ウーマン
PRO検索

■ご利用ガイド




HOME