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小森 利絵 フリーライター えんを描く
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
おてがみじかん ライフスタイル 2022-01-19
このお手紙を書き上げるまで 年賀状編~私の場合~
これまで「お手紙とわたし」シリーズで、何人かの方にお手紙にまつわるお話をうかがってきました。

その中で、魚野みどりさんが「いろんな人を通して届くお手紙は、旅してきた人の話を聴くみたいに、いろんな風景を想像できます」、津玲子さんが「(お手紙を受け取った時に)『はるばるやってきてくれてありがとうー』」という感じ」「ただメッセージが届いたというより、その人自身や生活の一部分を受け取ったような、独特な重みを感じました」と話していらしたことが、心に残っていました。

以来、お手紙を受け取ると時々、そのおふたりのお話を思い出し、「このお手紙が私の手元に届くまでには…」と想像するようになったのです。人から人の手へと渡って届くこと、相手がこのお手紙を書き上げるまでに考えてくれただろう、してくれただろうこと。同時に、お手紙を書く時間というのは、文字を書いている時間だけではないんだよなあということも、改めて思います。

そんなことを考える日々の中でふと、お手紙を書く時間を記録に残してみてはどうだろうと思いついたのです。今回は「年賀状編~私の場合~」として、私が2022年の年賀状のメッセージや絵柄を考え始めるところから郵便ポストに投函するまでを振り返ります。
今年の年賀状はこちら
あけまして
おめでとう
ございます

今日出会う、目の前の一人ひとりに、やさしい気持ちで
たまたま道ですれ違っただけの、知らない人からかけてもらったやさしさ感じる一言で、心が救われたことがあります。そんなほんの一瞬の出来事や一言でも誰かを救うことがあるのだから、出会う人にやさしくありたいと思うんです。お店のレジで「ありがとう」を伝える時も気持ちをちゃんと込めよう、しんどそうかなと思う人がいたら声をかけてみよう、最近連絡をとっていない人に「どうしてる?」と連絡してみよう…いつもは難しいけれど、意識することから、小さなことから、少しずつ。日々さまざまなニュースや出来事を見て、つらくなったりかなしくなったりもしながら、そんなことを改めて思っていました。

近況報告:
歩くことが日課に。時々、中学2年生の娘も付き合ってくれます。歩きながらしゃべるうち、日頃思っている不満など噴出で、「いつのまにかケンカ」がしばしば。でも、歩くという身体の動きがあるおかげか、発散されて? 「いつのまにか仲直り」もしばしば。
2017年から毎年、このフォーマットです。上には中学生の娘が描いた干支などの絵、下には1年で感じたり思ったり考えたりしたことからのメッセージ、オレンジ色の部分には近況を書き綴っています。
2022年の年賀状を書き上げるまで
(1)2021年11月20日(土) 印刷会社に注文
11月も下旬に差しかかり、そろそろ年賀状を考え始めないと年内に投函できないかもしれないと少し焦り、ひとまず印刷会社に年賀状印刷の注文だけをしました。

この時点ですでに元旦到着をめざしていません。いつの頃からか、一般的に「年賀状は『松の内(正月の門松などの飾りを立てておく期間、1月7日頃)』まで」と言われている期間中に間に合えばと思うようになりました。というのも、中には年に1度のやりとりとなる方もいるので、元旦に間に合わせようと焦るよりも、メッセージを書く時間を多く持つことを優先できたらいいなあと思ったからです。

もっと早くから書けば、メッセージを書く時間を多く持てるし、元旦到着にも間に合わせられるのではないかと思われるかもしれません。もちろん、そうなのですが、年末のほうが書く時間をつくりやすいですし、日々めまぐるしく変化していく状況や心境がありますから、書いてから相手の手元に届くまでの期間ができるだけ短いほうがいいと思い、このようなスケジュールで書くことを選んでいます。

(2)2021年11月下旬~ メッセージを考え始める
年賀状印刷を注文するのと同じタイミングで、メッセージについてもなんとなく考え始めます。1年を振り返って、どんなことを感じたり思ったり考えたりしたか、どんなことを大切にしていきたいと思ったかなどをくるくると頭の中で考える日々。あれやこれやと思い浮かべるものの、なかなか「これにしよう!」というものは思いつきません。

(3)2021年12月14日(火) メッセージを決める
結局、頭の中で考えるだけでは思いつきませんでした。12月中旬になってから、そろそろ本腰を入れなくてはと、お手紙を書く時間を楽しむ会「おてがみぃと」でお世話になっている「カフェぷろぽ」で、集中的にメッセージを考えようと思い立ちます。

「今から集中して考えるぞ!(だから、今日からもう考えなくても大丈夫)」という安心感からのリラックスした心持ちのおかげでしょうか。不思議と、「これにしよう!」というメッセージが思い浮かぶのは、家から自転車で向かう数十分の間だったりします。きっと、なんとなくでも頭の中で考えた日々のおかげもあるでしょう。

そうして思い浮かんだメッセージをカフェでノートに書き出します。ノートに走り書きした内容を、家でパソコンで打ち、何度か推敲を重ねました。

(4)2021年12月16日(木) デザインの素材を揃える
メッセージが出来た段階で、娘に干支の寅やお正月らしいものなどの絵をお願いし、私は新年の挨拶文とメッセージタイトルの文字を手書きます。
(5)2021年12月18日(土) デザイン作成&印刷入稿
手描きの絵と文字をスキャナーで取り込んで、イラストレーターというソフトでデザインを使って作成していきます。フォーマットは毎年同じなので、絵とメッセージ、近況を変更するのみです。こうしてデザインしたものを印刷して、誤字・脱字などの校正をした後に、印刷用データを作成して入稿しました。

(6)2021年12月26日(日)~ 印刷会社から年賀状が到着!少しずつ書き進める
クリスマスが終わると同時に、絵柄が印刷された年賀状が届きました。住所録を作成していないので、年始にいただいた年賀状を1枚1枚見ながら、宛名面の上に相手の名前と住所を、下に一人ひとりに向けてのメッセージを手書きしていきます。

宛名面を手書きする理由は、宛名印刷用ソフトを持っていなかった期間が長く、パソコンに搭載されるようになってからも設定などの面倒臭さなどもあって活用とはならず、ずるずると来たというのが正直な理由です。でも、今となっては一人ひとりの名前と住所を手書きすることで、「この名前はご両親がこんな想いでつけてくれたのでは?」「この方はこのあたりに住んでいるんだ。そういえば、あそこに行った時に」など、自分が年齢や経験を重ねるたびに想像できることが増えるというおもしろさがあるなどしています。
年賀状は1年に1度のお手紙のやりとりみたいな感じで、相手からのメッセージに1年越しに返事をしたり、写真をちりばめた年賀状ならその写真を見て気になったことを質問してみたり思ったことを書いたり、相手との間だからこそ話せる自分の近況を知らせたり。

数年ほど、年賀状でしかやりとりがない場合は、共通の話題が思い浮かばず、筆が止まることもしばしば。その場合は「出会いは?」「最後に会ったのは?」など過去を遡ってその時のエピソードや、SNSで近況を知った上でそれに関わることを書くようにしています。

そんなふうに悩んだり考え込んだりする時間があるので、すすっとは進みません。だから、集中して書くというより、3~5枚を1セットにして、この1セットを書き上げたらこの仕事を終わらす、また次の1セットを書き上げたら洗濯物を干す…など気分転換しながら楽しく書いています。

時に、よく聞くような、定型文的なメッセージを書いてしまうこともあって、反省。最初から最後まで自分の実感のこもった言葉で書き綴れるように、日常の中からもっと表現することを大切にしようと毎年思うのです。

(7)2021年12月31日(金) ほぼほぼ年賀状を投函
1日でも早く届けばと思うので、書けた分から随時、投函していきます。大晦日までに投函できればというのが、近年の目標です…が、そうはいかないことも多く、以降は随時、追加の年賀状を書いています。
2022年の年賀状はこのような感じでした。

12月25日を過ぎてからの投函にも関わらず、元旦に届いた年賀状もあるようで、びっくりします。これも郵便局のみなさんのおかげです。そういえば、アルバイトデビューは高校時代、郵便局内の年賀状の仕分けでした。集荷担当者が市内各所の郵便ポストを回って集めた年賀状を、局内で日勤・夜勤の交替制で仕分けして、それをトラックで各地に運搬したり、配達担当者が配達したり。そうして、それぞれの人たちの手元に届いているということを改めて感じます。

こうして記録として残すために振り返って気づいたことは、日頃やりとりのある方より、ない方のことを、時間をかけて思い出しているということです。日頃やりとりのある方の場合は、書きたいメッセージが思い浮かぶのですっと書けてしまうのですが、ない方の場合はなかなか思い浮かばない分、思い出を遡ったり、いただいた年賀状から読み取ろうとしたり、SNSを見たりなど、いろいろします。

それだけ会っていなくても、頻繁にやりとりしていなくても、こうして何年もつながっているご縁、不思議であり、ありがたいものだなと思うのです。近年は特に「ご無事で何より」とじんわりと思います。同時に、いつのまにか年賀状のやりとりが止まってしまった方々のことも思い出しています。「そういえば、あの方はどうしているんだろう?」「お元気でいてくれたらいいなあ」と願う時間にもなっているなあと気づきました。
今後、「このお手紙を書き上げるまで ○○○編~○○さんの場合~」シリーズで、私自身はもちろん、さまざまな人の、さまざまなお手紙を書き上げるまでを記録していきたいと思っています。今回の記事のような形で、「お手紙を書き上げるまでの記録について紹介してもいいよ!」という方がいらっしゃいましたら、「loopdraw☆yahoo.co.jp(小森)(☆を@に変更してください)」までご連絡をいただけると嬉しいです。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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