派遣社員あすみの家計簿 (2)(3)(other girls)(青木祐子)
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![]() 一気読み 派遣社員あすみの家計簿 続編(2)(3)(other girls)
青木 祐子(著) 以前、面白くてあっという間に読み終えた青木祐子さんの『派遣社員あすみの家計簿』。
続編の『派遣社員あすみの家計簿2』『派遣社員あすみの家計簿3』『派遣社員あすみの家計簿 other girls』を一気読みしました。 シリーズの始まりである『派遣社員あすみの家計簿』をおさらいしておきましょう。 藤本あすみ 28歳。つい先日まで東京丸の内にある一流企業で働いていた。
なのに、知り合ったばかりの人と結婚を決めて寿退職してしまった。 相手は飲食店のオーナーを名乗る青年で、あすみには家庭を守ってほしいと言ったから。 ところが、会社を辞めたあすみを残し、彼は消えてしまった。 事情がわからないあすみは彼を探し回った。 そして分かった。彼は飲食店の経営者なんかではなく、ただのフリーターだったのだ。 そうとも知らず「結婚準備の買い物は一つにまとめた方がいい。結婚したらどうせ財布は一緒になるのだから」という彼の言葉に素直に従い、あれやこれや全て あすみのカードで購入してしまっている。 家賃もあすみの口座から引き落とされる。 無職なのに、支払いは続く! 金払いのいい(つまり浪費気味の)彼のせいで散財癖がついてしまい、いくばくかの貯金も底をついている。 当座の生活費にも困ったあすみ、このピンチを脱出できるのか?! (青木祐子さん『派遣会社あすみの家計簿』の概要を私なりにご紹介しました。)
『派遣社員あすみの家計簿』では、あすみはカード払いもなんとかクリア。
日銭稼ぎのアルバイトで急場を凌いだ後に派遣社員になることができた上、新しい彼氏もできた……という、先に明かりが見えたところで終わっていました。 ところがですね、まだ終わっていなかったんですよ。 あすみの人生を狂わせた、詐欺師まがいのアイツが再びあすみの前に帰ってくるのです。 「飲食店経営者」「年商は億を越える」「結婚したらタワーマンションに引っ越そう」などと夢のようなことを語った上で、あすみの貯金が尽きた頃に姿を消したアイツが、です。 当然相手になんかしないはず、と思ったのに あすみってば、相手を邪険にできないんですよ。 あすみは面食いなのです。そしてアイツはビジュアル最高だから。つい話を聞いちゃうし、「熱が出て動けない」と泣きつかれると差し入れもしちゃう。 あすみ!甘いぞ!そういうところにつけ込まれるんだゾ! 詐欺師まがいの(本物の詐欺師かもしれない)元カレと会っていると知ったら、今の彼氏はどう思う? 経営者というのは嘘、結婚の約束だって本気だったかわからない相手を突き放せない あすみに私のストレスはMAXです。 そして案の定、事件は起こります。 やれやれ。 それでも私があすみを見離せないのは、あすみが一生懸命働こうとしているから。 派遣社員の仕事だけではなく、ムーバーイーツ(ウーバーのことでしょうね)で短期集中で稼いだり、私のような年齢から見ると「え?!そんなことでお金をもらうってありなの?」と思うことまで。 こう書くと「がめつい女性」に聞こえるかもしれませんが、あすみはどこかホワンとしたところがあり、嫌な感じがしないのです。得な性格かもしれません。 もちろん、本業である派遣社員の仕事をおろそかにはしません。 ただ、業務のコツを掴んで仕事にやりがいができても、契約期間が満了した場合、別の職場に派遣されることもあるのが派遣社員。 あすみもさまざまな職場に派遣されます。 だけどあすみはそのことをネガティブに捉えるのではなく、新しい職場で一生懸命業務に取り組んで、結果的にスキルアップしているのです。偉い! 最初に勤めた、丸の内にある一流企業では、仕事から何かを学ぼうとか、効率の良い仕事方法など考えたこともなかったあすみは、自分で自分の変化に驚いています。 私って意外と頑張れる子だったんだな、と思えるのは自信につながりますね。 そしてあのまま一流企業に勤めていたら、こんな考え方にはならなかっただろうと思うと、結婚詐欺で中途半端に退職したことにも感謝に似た気持ちを覚えたりして。 いかん、いかん、あすみ! 結婚詐欺師を許してはいけない! 本当にハラハラさせられます。 ところで、私とあすみの共通点、物に名前をつける癖も健在です。 お金もないのに買った万年筆「万年モンブラン筆太郎」の後、食品配達業のため購入したリュックサックには「スワロフスキー桃色ムバ子」、さらに配達の効率アップのために買ったバイクには「スワロフスキー赤色カブ子」と名付けておりまして、私の心をくすぐるのでした。いいネーミングだわ。参考にさせてもらおう。 とても前向きでほんわかした気分と、元カレの再登場による嫌な予感の両方をいだきながら、2巻3巻を読み進めると、とんでもない事態発生! 怖い。 世の中には悪意の塊というのか、邪悪な人間がいるんですね。 ちょっと抜けたところはあるけど頑張り屋のあすみの ゆるい物語だと思っていましたが、サスペンス小説のようなテイストも出てきて、面白すぎて一気読みしてしまったのでした。 番外編のような『派遣社員あすみの家計簿 other girls』では、シリーズ1から3に登場したあすみの友人や元同僚、ライバルなどの事情が描かれています。 来月のカード払いが滞りそうな時に、あすみが相談を持ちかけた友人 仁子、合コンで結婚相手を見つけ あすみに協力するよう求めた菜々花、「この先一生日雇いのアルバイトで食い繋いで行かねばならないのか」と絶望してキレて泣いた あすみに「回転寿司を食べておいで」と3,000円くれたポッキーこと留希…… あすみが表面から見ていた相手の事情を知ると、それぞれ人生いろいろ、楽な人生なんてないんだなぁと思えました。 週末一気読みにいかがでしょう? 派遣社員あすみの家計簿(2)
青木 祐子(著) 小学館 豊加と付き合い始め、元彼の理空也と同棲していたマンションから引っ越しをしたあすみ。いざ新生活と思いきや、新居に洗濯機が入らずコインランドリー通いが始まった。そんな折、アメリカの大手銀行が倒産し、悪性のインフルエンザも流行して、経済は急激に悪化。正社員登用の話が白紙になった豊加は、会社を辞めて無職になってしまう。あすみは配達員の副業を始めるが、派遣の契約更新では時給を下げられショックを受ける。そして先行きの不安な中、豊加からプロポーズを受けるが…!?金欠アラサー女子のサバイバル小説、波乱含みの第2弾。 出典:楽天 派遣社員あすみの家計簿(3) 青木 祐子(著) 小学館 渋谷にある人気IT企業に派遣され、SNSに記事を投稿することになったあすみ。三年勤めれば正社員に登用される可能性もあり、三十歳を目前にして将来を考え始める。そんな折、理空也から連絡が。「苦しいよ助けて」-見捨てられず、あすみは指定されたマンションを訪れる。一方、ケンカ別れした豊加とは友人の結婚パーティで再会する。無職だった豊加は小さな商社に就職したようだ。フリーランス仲間と事務所を作った仁子、専業主婦を目指す菜々花、愛人になりたいという優奈。アラサー女子がそれぞれの生き方を模索する中、あすみが選ぶ人生とは!? 出典:楽天 派遣社員あすみの家計簿 other girls 青木 祐子(著) 小学館 仁子はフリーの旅行プランナーだ。親友のあすみが結婚する野崎理空也に不信感を抱き、素性を調べることに。菜々花は公務員と結婚し、マンションを買った。念願の結婚披露パーティを開くが、早くも新婚生活には暗雲が!?優奈は大手企業に勤めながらパパ活をしている。仕事相手の男性から「アプリで見かけた」と言われて…。美織は飲食店で一緒に働く理空也と住むが、「浪費家の元彼女」、あすみが許せない。留希は結婚式直後、家出する。名古屋に向かう留希をあすみは否定せず餞別をくれる。あすみを取り巻く女子5人の生き様を描く初スピンオフ。 出典:楽天 ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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