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扉をひらく哲学(中島 隆博)

悩める若者は古典に学べ

扉をひらく哲学
人生の鍵は古典のなかにある
中島 隆博(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。

その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

2024月6月12日放送の番組では、岩波ジュニア新書の『扉をひらく哲学 人生の鍵は古典のなかにある』をご紹介しました。

タイトルの「哲学」という文字を見て、読む前にかなり身構えました。

哲学に関する難しい本なのだろうなと。

ところが読んでみると、青少年のお悩み相談に哲学を活かすという内容で、最初に懸念したような小難しさはありませんでした。

青少年の悩み、現代的に言うと いわゆる「中二病」「厨二病」ですね。

回答者は東京大学など国公立の教授、准教授11名。専門分野は違いますが、悩み解決のヒントを古典に求めるよう勧めておられる点が共通しています。

では掲載されている悩みの中からいくつかピックアップしましょう。

●誰も自分のことをわかってくれない気がします

これに関しては、ではあなたは他人を理解できているのか?そもそも、自分自身が自分のことを本当にわかっているのか、という回答が寄せられていました。

一人の人間をそう易々とわかるわけがない、だから「誰もわかってくれない」と悩むこと自体が的外れなのかもしれません。

そしてその悩みから抜け出すためにゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、トーマス・マンの『魔の山』、ヘルマン・ヘッセの『春の嵐』を読むよう勧めておられました。

●人の意見にすぐ影響されてしまいます

これに対しては、人の意見に影響されることは悪いことではないという回答が寄せられていました。

人は他人の意見を学び習うことで自分の意見を持つことができるのだし、人の意見に影響されても、それを活かして自己形成を目指すといい、と。

この悩みには『論語』、キルケゴール『死に至る病』がお勧めだそうです。

この本の中には「古典」と呼ばれる書籍がいくつも紹介されています。

不勉強なことに、私はそのほとんどを読んだことがありません。(悩まずにぼーっと生きてきたせいかも)だけど、著者名やタイトルだけ知っているものはたくさんありましたし、実際に本屋さんで見かけたことがある本も多くありました。

これって、すごいことだと思います。

と言うのも、私は子どもの頃から本が大好きで、いろいろな作家さんの本を読んできました。ところが、その作家さんがいかに流行作家さんだったとしても、亡くなられてしばらくすると、本屋さんの棚に占める割合がどんどん減っていくのを見てきました。中には全く見かけなくなった作家さんもおられます。

ですが、今「古典」と言われている書籍はどうでしょう。

著者が亡くなって何年経っても、ずっと残り続けているのです。

それは、表現されているものが普遍的であり、いつの時代の人が読んでも納得や共感ができ、学ぶ点が多いからではないでしょうか。

青少年の悩みの解決策もきっとその中に含まれているはず。

悩める青少年に古典を勧めるのには、もう一つ理由があるようにも感じました。

それは、若い時にしか読めないものがある、ということ。

これは私だけかもしれませんが、若い時には体力・気力・集中力があり、読書が捗りました。

若いときは、難解な古典でもそのパワーで読み進めることが出来ると思うのです。

今「古典を読め」と言われても、私にはもう読了する「読書体力」がないと思います。

おまけに、歳をとるに従って悩むこと自体が少なくなってきました。

「ま、いいか。なんとかなるさ」と。

悩まないし、古典が読めないお年頃としては、「中二病」「厨二病」が眩しいです。
stand.fm
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【パーソナリティ千波留の読書ダイアリー】
この記事とはちょっと違うことをお話ししています。
(アプリのダウンロードが必要です)
扉をひらく哲学
人生の鍵は古典のなかにある
中島 隆博(著)
岩波書店
今あなたが悩むその疑問、何千年も前から考え続けられてきたことかもしれない…?親との関係、なんのために勉強するのか、本当の自分とはなにか、大昔の本が今役に立つの?古今東西の書物をひもといて、11人の古典研究者が答えます。身近な友達への相談やネット検索では出会えないアドバイスが、人生の扉を開くかもしれません。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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