タンタンタンゴはパパふたり(ジャスティン・リチャードソン)
多様性を自然に学べる タンタンタンゴはパパふたり
ジャスティン・リチャードソン(著) ペンギン親子が可愛らしい絵本『タンタンタンゴはパパふたり』を読みました。
物語を紹介するのにネタバレしないよう配慮すべきなのは当然です。でもこの絵本に関しては、タイトルでほぼ全て語られていますので、遠慮なく内容に踏み込んで行きますね。 これはアメリカ、ニューヨークのセントラルパーク内にある動物園で実際にあった話です。 動物園のベンギンたちに恋の季節がやってきた。男女ペンギンそれぞれ相手を見つけると、小石を集めて巣を作り、そこに卵を産む。そして交互に卵を温め、雛を孵すのだ。
飼育係のグラムジーさんは、そんなペンギンたちの中に、ロイとシロという名のオスペンギン同士のカップルを見つける。グラムジーさんにはロイとシロが互いに恋していることがわかった。 観察していると、ロイとシロは周りのペンギンたちの真似をしている。巣を作り、卵と似た形の石を持ってきて、二人で交互に温め始めたのだ。もちろん石からひなは生まれない。 同じ頃、卵を二個産んだペンギンカップルがいた。その場合、温めてもらえる卵は一つだけ。グラムジーさんは放置された卵を、ロイとシロの巣に置かれている石と入れ替えることにした。 やがて、ロイとシロが温めた卵からひなが孵った。グラムジーさんはその子にタンゴと名付ける。ロイとシロ、そしてタンゴの一家は動物園の人気者になった……。 (『タンタンタンゴはパパふたり』を私なりに紹介しました。タンゴの名前の由来など、伏せている部分もあります) LGBTへの理解が徐々に深まっている現代ですが、自然界にもLGBTがあるのだなと驚きました。
気の合う人(ペンギン)、心から愛せる人(ペンギン)と巡り会うことは幸せなことで、そこに産まれてきた子どももまた祝福されるべき幸せな存在だと、この絵本は教えてくれます。 私がこの絵本を読むきっかけとなったのは、以前に読んだ ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。 アイルランド系イギリス人の旦那様と日本人のみかこさんの間に生まれた息子さん(私は仮にブルーくんと呼んでいます)について書かれたエッセイです。 その中で、ブルーくんが通う中学校には両親が「ふたりともママ」「ふたりともパパ」というお子さんが何人もいる、と書かれていました。そして、自分がLGBTのいずれに属するのか、中学生ですでに考え始めるのだ、とも。 そして、子どもが多様性を学ぶ絵本として『タンタンタンゴはパパふたり』が紹介されていたので、興味を持ったというわけ。 私が教育を受けた時代は、結婚相手は異性である、というのが当たり前でした。そして私もそれが普通だと思って、男性と結婚しています。 でも、年齢を重ねるにつれ考えが変わってきました。男性女性という区分はあまり意味がないのではないかと。 「男性か、女性か」ではなく、「ウマが合う人か、合わない人か」「お互いの言動を容認しあえるか、否か」 今の私にはその分類しかありません。だから、分かり合える人と巡り会えたなら、その人とパートナーになることが幸せだと思う。 そういうことを理屈ではなく、可愛い絵で教えてくれるのが『タンタンタンゴはパパふたり』だと思いました。 タンタンタンゴはパパふたり
ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル(著) ヘンリー・コール(絵) 尾辻かな子,前田和男(訳) ポット出版 動物園にはいろんな家族がいます。でも、ペンギンのタンゴの一家はそのどれともちがっていましたー。本当にあったペンギンの家族のお話。米国図書館協会のNotable Children’s Bookに選定。数々の賞を受賞した話題作。 出典:楽天 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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