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女はいつも四十雀(林真理子)

女はいつも40歳(しじゅう)から

女はいつも四十雀
林真理子(著)
四十雀とは、頭が黒くて頬が白い雀とよく似た形の鳥だとか。

もしかしたら鳴き声が賑やかで、それを女性にたとえているのかと思いましたが、どうやらそうではないみたい。

林さんの持論は「女性がもっとも輝けるのは40代」ということで、「女はいつも40歳(しじゅう)から」という意味のよう。

新しい40代のためのファッション&ライフスタイル誌「STORY」の連載記事を集めたものだそうですから、秀逸なタイトルと言えますね。

2014年3月号から2019年4月号までのエッセイが3つの章に分類されています。
1.素敵な元カレは女のごほうびである

2.手放すには惜しい妻でいるために

3.中年女が若い女に勝つ方法
(林真理子さん『女はいつも四十雀』目次より引用)
私は40代はとっくに過ぎてしまったけれど、楽しく読めました。

子どもがいない私には子育てに関する話はピンと来ませんでしたが、女子力の話、人付き合いのあれこれ、大人の女性のたしなみなど、共感したり、参考になることが多かったです。

私も同感だと思ったのはこの部分。
「もうこれからは嫌いな人とはつき合わない。無理をしてまでイヤな人と会うことはやめよう」

大人になってある程度の立場になると、こういうことが可能になってくる。

苦手と思う人は拒否できるのだ。
(林真理子さん『女はいつも四十雀』P103より引用)
この頃つくづく、この世には二種類の人間しかいないと思います。

それはウマが合う人と、合わない人。

年齢性別全く関係がありません。

人生の折り返し地点を過ぎると、残りの時間が惜しいではないですか。

嫌いな人と我慢しながら過ごす必要があるかしら。

だいたいにおいて、こちらが苦手だと思う場合、相手もこちらが苦手です。

無理をしてまで付き合うのをやめるのは、お互いのためと言えるでしょう。

また、宝塚歌劇にハマる心境や、ダイエットは継続すべきものだという意見にも共感を覚えました。

しかし、他のどの部分より真剣に読んだのは第3章の「中年女が若い女に勝つ方法」です。
中年の女と若い女とだったら、どんなことがあっても若い人にはかなわない。

しかし勝つ方法が一つだけある。それは着物姿でキメることである。

髪もしっかり整え、その場にかなったいい着物と帯をまとう。

着物が似合う中年女は、あたりをはらうほどのオーラが生じるはずだ。
(林真理子さん『女はいつも四十雀』P263より引用)
私は他の人に比べると着物で出かけることが多いと思います。

別に若い子に勝ちたいと思って着物を着るわけではありません。

単に好きなんです。

とは言え、着物で出かけているときは、洋服の時よりずっと自信が持てます。

なんというか、何が来ても大丈夫な気持ちがするんですよ。

その辺りが「オーラ」となって結果的に若い女性に勝つのかもね。

最後にグレーヘアについての林さんの意見にも共感しました。

少し長いけれど引用させていただきます。
「ありのまま」という言葉は、蜜のように甘い。

そのままでも自分は自分、とても素晴らしいという自信は、もちろん持ってもいいものであろう。

が、「ありのまま」は、一つ間違えると居直りになってしまう。

「ありのまま」というのは、何の努力もしないということではない。

色々試した末の決断であるべきだ。

「ありのまま」でいるためには、色々なテクニックもいるし、手間もお金もかかるはず。
(林真理子さん『女はいつも四十雀』P327より引用)
私も現在グレーヘア進行中なのですが、「単なるものぐさ」「単なるお手入れ不足」にならないよう気をつけているつもりです。

まさに、林さんがおっしゃったことを私も感じているのです。

気の合う女友達の話を聞いているような気持ちになるエッセイ集でした。
女はいつも四十雀
林真理子(著)
光文社
『STORY』連載エッセイ平成最後の5年分! 出典:楽天
profile
池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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