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虫ぎらいはなおるかな?(金井真紀)

私は虫好き少女だったっけ

虫ぎらいはなおるかな?
昆虫の達人に教えを乞う
金井真紀(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、金井真紀さんの『虫ぎらいはなおるかな?』

この本の文章と絵の両方を書かれた(描かれた)のは、文筆家でイラストレーターでもいらっしゃる金井真紀さん。

金井さんは虫が大の苦手。子どもの頃にあれこれあって虫ぎらいになったみたい。

ただ、死ぬまで「虫ぎらい」でいいのかと自問自答し、虫を好きにならずとも、嫌いでなくなればいいなと思うようになります。

そして虫嫌いでなくなるヒントを得たいと、様々な形で虫に携わっている七人を訪ねて話をお聞きし、それをまとめたのがこの本というわけ。

七人のうちの二人目に紹介された人の名前を見て、思わず声を上げてしまいました。

「おおお!くるびー館長!お久しぶりです!」

久留飛克明(くるび かつあき)さんは現在(2019年7月)、NHK「子ども科学電話相談」で、昆虫に関する相談ごとの回答者をなさっていますが、その前は箕面公園昆虫館の館長でいらっしゃいました。

関西発のおもしろ長寿番組「探偵ナイトスクープ」にもなんども出演されているので、その独特な風貌をご存知の方も多いのではないでしょうか。

久留飛さんは2017年に退職されるまで「子どもたちを虫嫌いにしない」という目標を掲げ、箕面公園昆虫館に勤務されていました。

そしてわが みのおエフエムでも長く、「くるびーだより」という番組に出演してくださっていました。

くるびーとは、久留飛さんのニックネーム。昆虫館を訪れる子どもたちから親しみを込めて「くるびー」と呼ばれていらっしゃったんですよ。

私もみのおエフエムの忘年会で、お隣に座らせていただいたことがありました。その時の話題は昆虫ではなく、宝塚歌劇。

奥様が宝塚ファンで、ファンではない久留飛さんは辟易しているとおっしゃっていて、それを私が必死で説得していたように覚えています。

ああ、懐かしや。
庭先や公園で虫を見かけたら、「あんたら、うまいこと生きてきたなぁ」とか、「最近はこの辺も住みにくくなってきたやろ」などと声をかけているらしい。

ふふふ、虫の専門家というよりは、虫と近所づきあいをしているおっちゃんという感じだ。
(金井真紀さん『虫ぎらいはなおるかな?』P38〜P39より引用)
と表現されている久留飛さん。

意外な前職も紹介されています。

その時の経験も含めておっしゃるには

「ゴキよりも殺虫剤の方がよっぽど体に悪いんちゃうか」

ああ、そういうことを「くるびーだより」でもおっしゃっていたワ。

くるびー元館長以外に紹介されている6人は下記の通り。

・藤崎亜由子さん(兵庫教育大学 准教授)

・奥山英治さん(日本野生生物研究所)

・奥村巴菜さん(陶虫作家)

・瀬戸口明久さん(京都大学准教授)

・川合伸幸さん(名古屋大学准教授)

・古川紗織さん(多摩動物公園内 昆虫生態園 飼育員)

それぞれの立場から見た虫に関するお話はとても面白いです。

特に、考え込んでしまったのは瀬戸口明久さんのお話。

「害虫」という概念がいつ生まれたのかを知ってびっくり。最近のことなのね。

そもそも「害」は人間の立場から見ての話。虫に限らず、人間の都合で駆除される命が多いことを考えさせられました。

ところで、このワタクシ。子どもの頃は昆虫が好きでした。大好きだったと言っていいかもしれません。

当時住んでいたマンションのすぐ裏手が山に抱かれた霊園墓地で、広場や公園もあり、格好の遊び場だったのです。

私はカブトムシよりクワガタが好きでしたよ。ずんぐりと厚みのあるカブトムシに比べて、クワガタのフォルムのシャープでかっこいいこと!なんども採取しては眺め、また木に戻していました。

暑い日にはバケツとひしゃくを持って、霊園墓地を流れる川へGO!飽きずにアメンボやゲンゴロウなんかをすくい取っていました。

だから、当時の私は表裏がわからないと言われるくらい真っ黒に日焼けしていたのです。

その私がいつから、虫を見て「キャーッ!」と悲鳴をあげるようになってしまったのだろう。

ツラツラ考えるに、小学3年生から日本舞踊を習い始めたのが転機だったように思います。

発表会の時、真っ黒けだった私には白塗りの化粧がなかなか乗らず、お師匠さんから「千波留ちゃん、これからは日に焼けたらダメ!」と日焼け禁止令を出されました。

それ以降、夏の虫取りに行かなくなり、昆虫と疎遠になってしまったのだわ、多分。

そして今、じっくり考えると、私は今でも昆虫が大嫌いなわけではないわ。

確かに、毛虫やムカデ、ゴキを見たら飛び退るし、ハチは怖い。蝉ファイナル(死にかけのセミ)にも驚かされるけど、我が家の庭によく訪れてくれるオンブバッタや、トンボなどは好きよ。

思わず「ぼーくらはみんな 生きている 生きているから歌うんだ♬」と口ずさんでしまいましたよ。

さて、7人の貴重なお話を聞いて、著者 金井真紀さんの虫嫌いは治ったのでしょうか?

それはこの本を読んでみてくださいね。
虫ぎらいはなおるかな?
昆虫の達人に教えを乞う
金井真紀(著)
理論社
長いあいだ、心に蓋をして生きてきた。ときどき「虫が大好き」なんて人に会うと、羨ましいなぁと思いながらも、この問題に深入りしないよう気をつけた……。 虫ぎらいを克服したいと願っている文筆家・イラストレーターの著者が、昆虫館の飼育係、虫のアーティスト、ナチュラリスト、教育学者など、虫の達人にインタビューしながら、虫との付き合い方を模索する本。はたして、虫ぎらい歴四十年……は、なおるのか? 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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