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チックタック〜約束の時計台〜(にしのあきひろ)

大人の方が胸にグッとくる

チックタック〜約束の時計台〜
にしのあきひろ(著)
11時59分で止まったままの時計台に、チックタックという”ヘンクツジジイ”が住んでいます。

チックタックじいさんにも若い頃がありました。この時計台に住み込んで、時計が正確に動くよう、毎日手入れをしていたのです。

その街に引っ越してきた女の子ニーナ。時計台に遊びに来て、ある事件を起こすものの、チックタックと大の仲良しになります。

二人は素敵な時間を共有します。しかしニーナは孤児院の子どもだから、門限があり、一緒に居られる時間は限られていました。

チックタックご自慢の、夜中12時に鳴る時計の鐘を一緒に聞くのが二人の夢でした。それなのに、街が大変なことになってしまいます。チックタックの時計台も例外ではありません。

一方、ニーナには大きな秘密と悩みがあったのでした。ニーナのとった行動は?時計はどうして止まったのか、そして再び動き出すことがあるのか?
(にしのあきひろさん『チックタック 〜約束の時計台〜』の前半を私なりにまとめました。極力具体的なことは書いていないつもりです)
さて、この絵本。大きなテーマが時計に託されています。

それは「物事が成し遂げられる前には、報われない時間がある」ということ。

時計の針は毎時、長針が短針を追いかけるように進んで、どこかで必ず追いついて重なります。

1時5分ごろ、2時10分ごろ、3時15分ごろ……というように。

ただ、11時台だけは短針が逃げ切り、二つの針が重なることはありません。

そして12時ちょうどに二つの針は重なり、鐘がなるわけです。

にしのあきひろさんはこの鐘の音を「成功」や「成就」と捉え、二つの針が重ならない11時台を、その前の報われない時間だとおっしゃっているのです。

しかし、必ず時計の針は重なる、だから諦めてはいけないよ、と、それがこの絵本の一番大きなテーマだと思います。

それにしてもニーナの秘密と物語の結末に関しては、お子さんはどう感じるんだろうかと思いました。

むしろ大人の方が、胸にグッとくるものがあるような気がします。

私は泣きましたよ。

そして一番大きなテーマ「成功の前には報われない時間がある」の続きに、「大丈夫、遅すぎることはない」という言葉も隠されているんだなと感じました。

ううう、やっぱり泣ける。

そしてこの絵本は日本語の下に英訳文がつているのが特徴です。

西野さんがフィリピンに行った時のこと。

絵本を食い入るようにみている子どもたちがいて、英語版はないのかと聞かれたのだそう。

それなら最初から日本語と英語両方つけておけば良い、と判断されたようです。

でもこれ、外国のお子さんのためだけでなく、「へー。英語ではこういう言い回しなんだ」と、日本人にも楽しい仕掛けになっていると思います。

もう一つ、この絵本に盛り込まれているのはにしのあきひろさんの故郷愛、とでもいうものでしょう。

兵庫県川西市出身の にしのさんは、今、着々とふるさとに貢献しています。

にしのさんの絵本『えんとつ町のプペル』の光る原画展を地元の多田神社で行なったり、えんとつ町のプペル美術館を市内に建築したり(現在進行中)。

その延長線上にあるのが絵本『チックタック 約束の時計台』です。

ページのあちこちに、川西市の風景が見受けられます。

例えば、通称ビッグハープといわれる阪神高速の橋の部分、能勢電鉄鼓滝駅、多田神社の朱塗りの橋、妙見行きの能勢電車などなど。

北摂地域の人は「あ、この場所知っている!」と嬉しくなると思いますよ。

その極め付けは、最終ページ。

夕陽の中、チックタックとニーナが向き合って手を繋いでいるのは川西市内にある満願寺の山門なのです!

実は私、その満願寺に行ってまいりました。なぜかというと、満願寺限定カバーの絵本を買うためです!

ほら!
満願寺では「チックタック~光る絵本と光る満願寺展」が開催され(5月12日までで終了しました)ここでしか手に入らない満願寺限定カバー版が販売されていたのですよ。

夜はライトアップされ、それはそれは幻想的で、連休中は大変な人出だったみたい。

私は満願寺には初めて伺いましたが、風情のある素敵なお寺でした。しっかり参拝もさせていただき、境内の写真も撮らせていただきました。

やっぱり満願寺限定版が良い!いや、二冊揃えるのも良いかもね。

西野さんがSNSなどで発表されているのを拝見すると、この展覧会が終わった後も、満願寺さんではこの絵本が買えるようになるみたいです。
チックタック〜約束の時計台〜
にしのあきひろ(著)
幻冬舎
にしのあきひろ作品史上、もっとも残酷で、もっとも美しい物語。こわれていないのに11時59分で止まっているふしぎな時計台がありましたーー。 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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