殺人鬼の献立表 Team・HK(あさのあつこ)
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![]() 心のモヤモヤを晴らすにはお掃除が一番 殺人鬼の献立表 Team・HK
あさのあつこ(著) なんと物騒なタイトルでしょうか。
あさのあつこさんの『殺人鬼の献立表 Team・HK』を読みました。 佐伯美菜子の職場はTeam H・K 略してTHK。主に掃除を業務とするハウスキーピングのプロ集団で、依頼の8割は家の掃除、あとの1割がお墓などの掃除、もう1割は買い物代行や送迎だ。
立ち上げ人である真冬野日向は、仕事の質に厳しく、新入りにも容赦ないダメ出しをするので、チームの人数はなかなか増えない。いつも人手不足だが、美菜子はそんなTHKの仕事に誇りを持っている。 THKのご贔屓の一人である作家 那須河闘一は、スランプに陥ると部屋がぐちゃぐちゃになる。素人では手がつけられない汚部屋になってしまうと、THKに依頼するのがいつものこと。 部屋の清掃と同時に、売れっ子作家那須河闘一をスランプから救い出すのがTHKのミッション。今回のスランプは相当重症のようだが……。 (あさのあつこさん『殺人鬼の献立』の出だしを私なりに紹介しました) 多分ご想像がつくでしょうが、”殺人鬼”と言っても、現実世界で殺人事件が繰り広げられるわけではありません。
ギョッとするタイトルの割にお話自体は淡々としていて、緊張感はあまりありません。ちょっとした謎はあるものの、ミステリだと思って読むと肩透かしを食らうと思います。 むしろこの小説の主眼は、心のモヤモヤを晴らすにはお掃除が一番かもしれないよ、ということではないかと思いました。 THKメンバーのそれぞれが、ちょっと訳あり。掃除の依頼者にも、何か影がある。 そんな時、真正面から問題に向き合うよりも、まずは体を動かして、窓や床を拭いてごらん、ピカピカに磨いてごらん、そうすれば何だか元気が出てくるよ、そう言われている気がしました。 ところで、この小説で一番面白いのは売れっ子作家 那須河闘一のキャラクターです。 美形で過度にナルシストなんです。 機関銃のように発せられる言葉の数々の面白さ、よくまぁ、口が回るものだと、呆れながらもおかしくて、ついつい笑ってしまいました。 こういうキャラクターを生み出すのが、作家さんの腕なんでしょうね。 一冊読んでから気がついたのですが、この小説はシリーズもので、前作があったんですね。こちらを先に読めば良かったのかも。 殺人鬼の献立表 Team・HK
あさのあつこ(著) 徳間書店 清掃を主とし家事全般を請け負うプロ集団THK(Team・housekeeper)に緊張が走った。作家で常連の那須河闘一から連絡が入ったのだ。那須河はスランプの度に部屋を汚す癖があり、THKを呼ぶ。以前は首を吊ろうとしたことも…。働き始めて半年の主婦の佐伯美菜子は、息をのみ込みドアをたたく。すると「待ってたのよぉっ」と闘一が飛び付いてきて!?綺麗にすれば心も晴れるお掃除小説! 出典:楽天 ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HP/Amazon
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