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子育てはもう卒業します(垣谷美雨)

子育てには”正解”ってものがないんだな

子育てはもう卒業します
垣谷美雨(著)
子どもがいない我が家には無縁なタイトルだけど、垣谷美雨さんの作品なら、と思って読んだ『子育てはもう卒業します』。私より4歳年上の女性たちが主人公でした。
かつて同じ大学で仲良しだった明美、淳子、紫(ゆかり)。それぞれ結婚し、子育ての真っ最中。受験や、子どもの将来について、なかなか簡単にはいかず、悩むことばかり。

自分の体験を教訓に、子どもには楽な道を歩ませたい、苦労しないように導いてあげたいと奮闘しているのに。

しんどいのは子育てだけではない。勢いでしてしまった国際結婚の現実や、夫の両親との同居など、それぞれ人に言いにくい愚痴を抱えている。

また三人で会って話を聞いてもらいたい、あの二人になら話せるかも……。 (垣谷美雨さんの『子育てはもう卒業します』をおおまかにまとめました)
主人公である三人はそれぞれ地方出身で、男女共学の四年制大学に進学しています。明美は高知、淳子は北海道、紫は福岡から。

入学したのは1978年のことで、親は東京の大学に進学することに反対していました。

なぜ東京まで出ないといけないのか、そもそも男女共学の四年制大学に行く必要があるのか、地元の女子大や短大、専門学校で良いではないか。

もっと言えば、大学進学も本当に必要なのか、といった具合です。

地元を飛び出したかった理由はそれぞれ違うものの、地方出身者同士で仲良くなった三人。お金はないなりに楽しい大学生活を送ります。

ところが、就職活動が始まると、途端に苦戦を強いられることに。

まず三人にかけられた呪いの言葉は「自宅通勤に限る」。

学生課に貼り出された女性対象の求人票に必ず書かれているのです。

地方出身者は東京では就職するなということなのか?

親元でぬくぬく暮らしている女子大生より、自分たちの方がよっぽど頑張って生活しているというのに、なぜ冷遇されるのか、理解に苦しむ三人。

内定が決まっていく女子を見てみると、ニコニコと愛想の良い子か、スタイルの良い見栄えのする子ばかり。

結局女性社員に求められているのは「職場の華」であることとと「将来の花嫁候補として無難な女性」なのだと悟るのでした。

そもそも男子には「自宅通勤に限る」などという条項はなく、自分たちより能力が劣っていても男子であるだけで、地方出身者でも就職できるのです。

世の中は理不尽だと、憤る三人。

私は彼女たちより少し年下ではあるものの、このあたりの雰囲気はよくわかります。

女性の職種も限られていたように思います。

それでも地元に戻らずに就職先を見つけた三人は、その後、それぞれ結婚、出産、育児を経験していくのですが、その過程でも「自宅通勤に限る」的な壁を感じることになります。

私は出産、育児経験がないので、そのあたりは真に共感できないのが残念。

私はこれまで自分の夢を叶えたいと、いろいろ頑張ってきたつもりだけど、育児に比べたらたいしたことはしていないと、いつも思っています。

自分の夢を叶えるための努力は、自分さえ頑張れば結果が出るんですから。自分次第でどうにでもなる。

ところが育児はそうはいきません。

自分が頑張っても、全然ダメなことがいっぱいありそう。

たとえばお子さんの夜泣きや、発熱など予期せぬ事態が起こって、自分の思惑、計画なんかすっ飛んでしまうことがいっぱいあると思うんです。

それでも投げ出すわけにはいかない。

もちろん、しんどいことばかりではないでしょう。

お子さんの成長過程で、嬉しいこともたくさんあるはず。

そんな経験をしてこられた方とは、たとえ同じ年であったとしても、経験値において大きく隔たりがあると思わずにはいられません。

これは小説ですから、波乱万丈面白おかしく書いてありますが、お母さんと子ども、両方の立場からの「子育て」が描かれていると思いました。

私が結論として得たのは「子育てには”正解”ってものがないんだな」ということです。

正解がないのは、子育てに限ったことではなく、人生全般なのかもしれませんけど。
子育てはもう卒業します
垣谷美雨(著)
祥伝社
息子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、堅実な職業に就いてと娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、子供の進路…。時にふと思う。私の人生、このまま終わるの?誰かのために生きてきた女性の新たな出発を描く物語。 出典:楽天
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池田 千波留
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コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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