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あつあつを召し上がれ(小川糸)

あつあつを召し上がれ
小川 糸(著)
出版社:新潮社(2011)【内容情報】(「BOOK」データベースより)一緒にご飯を食べる、その時間さえあれば、悲しいことも乗り越えられる―幸福な食卓、運命の料理とのふいの出会いを描き、深い感動を誘う、7つの物語。(出典:amazon
『食堂かたつむり』の小川糸さんの、
食べ物を中心とした短編集『あつあつを召し上がれ』。
7つのメニューと、それにまつわる人たちの物語です。

例えば、一つめは、おばあちゃんが食べたがったかき氷のお話
「バーバのかき氷」。
童女に返ってしまったおばあちゃんは、
時々家族には理解できないことをしたり言ったりする。
今日もママがご飯を食べさせようとしても、
口を引き結んで拒否。
そして「ふ」「ふ」と言っている。
いったい何が言いたいのだろう。
単なる呼吸音なのか?
孫娘のマユはひらめいた。
バーバはかき氷が食べたいんだと。
マユは自転車を飛ばしてかき氷を買いに行く。
マユがなぜ、バーバの食べたいものがわかったのか、そしてバーバはかき氷を食べることが出来るのか。
ぜひ、実際に読んでくださいね。

ほかに納められているのは
「親父のぶたばら飯」
「さよなら松茸」
「こーちゃんのおみそ汁」
「いとしのハートコロリット」
「ポルクの晩餐」
「季節はずれのきりたんぽ」

幸せな食事もあれば、切ない食事も。
なかでも読み終わった後、しばらく苦しかったのは「いとしのハートコロリット」。
タイトルのファンキーさとは正反対の、
切なくて苦いお話です。
今の日本が抱えている問題をこんなふうに提示してくるとはねぇ。

厚さ1センチにも満たない薄い文庫本に、
喜怒哀楽、人生の機微がたっぷり詰まっていました。
食事風景の描写のすばらしさもあり、お見事!

ヒット作『食堂かたつむり』も読まねば、と思いました。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。

「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
『私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。』購入サイトはこちらAmazonでも購入できます


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