友よ(執行草舟)
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![]() 何かに遠慮して生きるのではなく、跳ぶ 友よ
執行 草舟 (著) 『見るまえに跳べ』 W・H・オーデン 危険の感覚を失わせてはならない 道は、かくもか細く、また険しい 今、見れば、いかにも平穏に見えよう 見たければ見るがよい、しかし君は跳ばなければならない。 ひとたび床(とこ)につけば、いかなる堅物とても 赤子のごとく成り、誰もが守る掟すら破るのだ 消え失せて行くものは 慣習にあらずして、恐怖である。 せこい者ども、無能な小人、酔いどれどもも 懸命ならば、それらしき 評論ぐらいは言うだろう 笑いたければ笑うもよい、しかし君は跳ばなければならない。 着やすさ本位の衣装とは 趣味が悪くて値が高い 羊のような従順な人生を送る限りは 消えゆく者たちに遠慮する限りは。 社交辞令も悪くはない しかし、泣くことよりもさらに難しいのは ただひとりの孤独を知ることである もはや誰も見てはいない、しかし君は跳ばなければならない。 人生行路を共にする、私達を支えるのは 一万尋(ひろ)の海底の孤独である 私は君を愛するが、だからこそ君は跳ばなければならない 安穏の夢は、うち滅ぼさなければならない。 この度、初めてCDをリリースすることになりました。
新たな挑戦に不安な気持ちに襲われた時、大きな支えとなったのがオーデンの詩で、ここ最近、枕元にはずっとこの本があります。 訳者である執行さんは、冒頭にある「危険の感覚」についてこう述べます。 (本文よりp.60) まさに人間にとって一番大切なものは何かを問うている。… 危険の感覚なくして、何の学問か、何の修行か。それどころか何の善行なのか、何の愛であるのか。この感覚なきすべての行為こそ、枚挙にいとまのない虚飾の温床となる。危険の感覚の欠如は、どうしようもない凡庸さを生み出し、自覚なき悪徳に人間をして至らしめる。人間の生命は、危険の感覚ゆえに保たれている。なぜ人間が生きているのかを深く自覚し、危険の感覚に目覚めなければならない。 危険の感覚を掴んで、跳ぶ。
以前、恩師が詩集出版の際に言っていた言葉を思い出します。 「皆に詩集出すことを先に言ったんや。公言したら後戻りできないからな」 何かに挑戦する時、自分自身と対峙する勇気が求められます。 世間の声や評価もあるでしょう。 しかし、何かに遠慮して生きるのではなく、跳ぶ。 孤独を胸に、跳ぶ。 自分の音楽に向って、しなやかに跳びたいと思います。 ![]() 植木 美帆
チェリスト 兵庫県出身。チェリスト。大阪音楽大学音楽学部卒業。同大学教育助手を経てドイツ、ミュンヘンに留学。帰国後は演奏活動と共に、大阪音楽大学音楽院の講師として後進の指導にあたっている。「クラシックをより身近に!」との思いより、自らの言葉で語りかけるコンサートは多くの反響を呼んでいる。 Ave Maria
Favorite Cello Collection チェリスト植木美帆のファーストアルバム。 クラッシックの名曲からジャズのスタンダードナンバーまで全10曲を収録。 深く響くチェロの音色がひとつの物語を紡ぎ出す。 これまでにないジャンルの枠を超えた魅力あふれる1枚。 ⇒Amazon HP:http://www.mihoueki.com BLOG:http://ameblo.jp/uekimiho/ ⇒PROページ ⇒関西ウーマンインタビュー記事 |
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