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PTA、やらなきゃダメですか?(山本浩資)

PTA、やらなきゃダメですか?
山本浩資 (著)
出版社:小学館 (2016)【内容情報】(「BOOK」データベースより)子どもを持つ人にとって、悩ましいのがPTA問題。「役員を押しつけられた」「委員を断ると仲間はずれにされた」「“お手伝い”を強要された」などトラブルは少なくない。その最大の元凶は、PTAへの加入や行事への参加が「義務」だと思われていることにある。これに対して、とある公立小学校のPTAから「役員会」や「委員会」をなくし、地域と協力しつつ「完全ボランティア」による運営を実現させた山本浩資氏が、PTA活動を楽に、楽しくするポイントを説く。(出典:amazon
新年度、小中学生の子どもを持つ親の悩みといえばこれです。PTAの役員選出。
いかに逃れるか、あるいはどのタイミングで引き受けておくか。

著者の山本浩資さんは新聞記者です。小学校のPTA会長就任を依頼され、悩んだ末に引き受けることにしました。結局3年にわたって会長をつとめることになり、それだけでなく、その間にPTAの組織改革にとりくむことになりました。

それは、義務と強制、持ち回りと前例踏襲のPTA活動に対する疑問から始まりました。山本さんは、岩崎夏海氏の大ヒット小説『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を参考にしました。

PTAは誰のための組織なのか。「顧客」は誰なのか。そんなことを考えていると、わが子に「学校に関わる人すべてじゃないの」と言われ、そこから道が開けたといいます。「子どものため」だと考えると親は義務感で頑張ってしまいます。でも、PTAを、学童、保護者、教職員、地域の人みんながハッピーになれるような組織にすれば楽しいものになるのではないか、と発想したのです。

山本さんたちは、海外経験のある保護者らに諸外国のPTA活動について尋ねました。そのなかに、すべての活動をプロジェクト方式にして、それぞれにボランティアを募っている事例がありました。これが大きなヒントになりました。お国柄や地域の実情は違うかもしれませんが、少なくともこれまでのやり方が唯一の道ではないことが分かりました。

そもそもPTA活動の中には、負担が大きいわりに会員から喜ばれていないものがあります。でも自分たちの代でそれらを廃止するのはためらわれます。多くの学校でPTA役員は一年交代であるため、前例踏襲で一年をやり過ごすような運営がされがちです。

そこで山本さんは、いつからどういう理由でその活動が始まったのか、なくすことに問題はあるのか、過去の資料をひもといたり、当時の役員に確認したりして調べました。すると、始めた当時は確かに必要があったが今はそうでもなく、廃止に反対する人もいないという活動がありました。そうした調査結果をきちんと示すことで、廃止の理解を得ることができました。

ただ役員の独断にならないよう、会員の意見を吸い上げることを心がけたそうです。例えば、ベルマーク運動はぜひ続けたいという人が現れました。そこで「プロジェクト」方式を採用して希望者を募り、活動として継続することにしました。

また意欲があっても時間的に参加できない人がいるかもしれません。山本さんたちがPTA活動に参加しやすい曜日や時間をアンケートで訊いたところ、それまで言われていた「平日昼間」を望む人は案外少なかったそうです。思い込みではなく、現状をきちんと把握することが大事だとわかりました。

こうして、山本さんたちはPTAを、安全・防災や学外行事、ベルマーク運動など活動ごとにボランティアを募り、役員会はそれら活動のコーディネートをするという、自由参加式のボランティア組織に変えたのです。意欲を持って携われるように工夫することで、PTA活動が「部活」のような楽しいものとなっているようです。

もちろん、この改革がすぐに進んだわけではありません。組織改革の説明会への参加者がたったの10人だったりもしました。しかし山本さんたちは、これを関心のある人が10人も足を運んでくれたと考えました。実際にその人たちがよき理解者、協力者となってくれたのです。

組織はどうせ変わらない、言っても反対にあうからと、私たちは「我慢」しがちです。でもそれは変えようとしないという行動を選択しているとも言えます。言っても変わらないかもしれないけれど、言わなきゃ変わらない。PTAに限らず、組織改革や課題解決のヒントとパワーを与えてくれる一冊です。

橋本 信子
流通科学大学 商学部 特任准教授
同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程を出て、2003年同志社大学にて嘱託講師、2011年から大阪商業大学、2015年4月から流通科学大学で初年次教育の専任教員として勤務。研究分野はロシア東欧地域研究
BLOG:http://chekosan.exblog.jp/ Facebook:nobuko.hashimoto.566
⇒関西ウーマンインタビュー(アカデミック編)記事はこちら

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