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小暮写眞館(宮部みゆき)



 
小暮写眞館
宮部みゆき(著)
出版社:講談社(2010)【内容情報】(「BOOK」データベースより)もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか。ようこそ、小暮写眞館へ。3年ぶり現代エンターテインメント。(出典:楽天ブックス
主人公は高校生の花菱英一。
友だちからは花ちゃんと呼ばれている。

いや、花ちゃんと呼ぶのは友だちだけではない。
両親そして8歳年下の弟までが英一のことを
「花ちゃん」と呼ぶ。ちょっと変わった家族なのだ。

そう、変わっているといえば極め付けがマイホーム。
「古家あり」という物件を買った花ちゃんの父親。
それは、持ち主だった老人が亡くなって売りに出た
古い古い建物(写眞館)がついた土地。

誰が見ても当然取り壊した方がいいだろうと思うような
「小暮写眞館」だが、古家を壊して立て直すとなると
建築基準法や消防法などにより、同じ容積の家は絶対に
建てられない…

なぜそんな不動産を買うのか?花ちゃんには理解しがたいが
両親は気に入って購入。
結局は建て替えずに、土台や柱、水周りの補修を行って
そのまま住むことになった。
予算の関係上、内装のリフォームは最低限度で…

ということで花ちゃんの自宅には、
写真撮影の背景に使うロールスクリーンがあったり
玄関のわきには二畳分くらいの大きさのウィンドウも
そのまま残っているのだ。
極めつけは「小暮写眞館」という表札。

周囲の住人は、花ちゃん一家が小暮写眞館の跡取りだと勘違い。
そしてその誤解から、花ちゃんの手元に不思議な写真が持ちこまれることに。
それはいわゆる心霊写真。
普通なら写らないはずのものが写っている…
トリックなのか、それとも霊か?
行きがかり上、調べることになる花ちゃんの導いた答えは…。

「小暮写眞館」は
第一話 小暮写真館
第二話 世界の縁側
第三話 カモメの名前
第四話 鉄路の春
という四話の連作です。

最初は、新手の「ゴーストバスターズ」ものかと思ったら
少しずつ、花ちゃん一家の抱える「傷」が明らかになってきます。
家族4人が、それぞれに心の中に凍らせていた過去の出来事。
4人ともが自分を責め続けていた過去の出来事との
折り合いの付け方とは…。

第四話を私はとある喫茶店でコーヒーを飲みながら読んでいて
危うく泣き出しそうになりました。
危なかった。
これは家族の物語であり、青春群像でもあり、
少年の成長譚でもある小説ですね。

花ちゃんの同級生がとても個性的で魅力的なのも
読んでいて楽しい。
親友のテンコこと店子力(たなこつとむ)
丸顔で色黒、甘味屋の跡取り娘、コゲパンこと寺内千春。
コゲパンに恋するのっぽの橋口くん。
背の低いバレー部の田部女史。
鉄道への愛を語らせたら限りないヒロシこと田中博史。
などなど。

そうそう。
花ちゃんの恋やら、小暮写眞館に出ると噂のあった
亡くなったおじいちゃん(小暮さん)の活躍(?)も
お楽しみに。

お勧め度は★★★★☆
一つたりないのは、これまでの宮部みゆきの作品に比べると
地味かな、と思うので。
それが良い味でもあるのですが。

補足。
この本の装丁、どうしてこんな写真なんだろう、
良い写真だけれど、小説の中身とどう関係があるのだろう…と
思いましたが、読み終わった時にじーんと来ますヨ。

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、
ナレーション、アナウンス、 そしてライターと、
さまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BLOG ⇒PROページ

著書:パーソナリティ千波留の読書ダイアリー
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。
だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。

「千波留の本棚」50冊を機に出版された千波留さんの本。
『私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。』購入サイトはこちらAmazonでも購入できます


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