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Ophelia and the Marvelous Boy by Karen Foxlee

Ophelia and the Marvelous Boy
by Karen Foxlee
児童書なら辞書をひかなくても読み切ることができます。やさしい文章をたくさん読む事は、英語上達の近道でもあります。大人でも楽しめる児童書を紹介しています。

『雪の女王』にインスピレーションを受けた物語というと、『アナと雪の女王』を思い浮かべてしまいますが、この本は現代を舞台に、冷酷な雪の女王から世界を救おうするOpheliaとthe Marvelous Boyの冒険ファンタジーです。

Opheliaは母親を病気で亡くしたばかり。

ホラー作家で空想好きの楽しく優しかった母親の死を、父親と姉のAliceもまだ受け入れられずにいます。

父親は、刀剣の研究家で、展覧会開催のため、一年中雪の降り続く北国の博物館に招かれ、家族はその準備期間中ホテルに滞在して過ごす事になります。

Opheliaの冒険はこの博物館が舞台。

1人で広い博物館内を探索していると、忘れ去られたような部屋に閉じ込められた男の子を見つけます。

鍵穴から覗いてみると、男の子はとても古めかしい服装をしていて、数百年前から雪の女王にここに捕われていると言います。

魔法使いたちによって雪の女王を倒すために選ばれ、安全のために名前を取り上げられて名前がないと。

Opheliaは科学クラブに所属する女の子。科学で証明できる事しか信じません。

母親とはまったくタイプが違います。筋の通らない話に理詰めで反論し、部屋の鍵を取ってきて欲しいという頼みを断ります。

“for some reason”というフレーズが英語ではよくでてきて、なんとなく好きなのですが、Opheliaは、なぜかしら少年の事が引っかかり、結局は納得のいかないまま手伝う事にします。

Opheliaには時々母親の声が聞こえて、その声も彼女の選択を助けます。

誰もいない博物館、想像するだけで怖いけど、この博物館の中にはいろいろな化け物や亡霊が存在して、Opheliaの行く手を阻みます。

男の子の過去の冒険の物語を聞き、次第に引き込まれていくOphelia。

美しい館長は、登場するだけで辺りの気温が下がるようだったり、冷たく意地悪な雰囲気で、雪の女王であることがほのめかされます。

でも、Opheliaの父親も姉のAliceも彼女に魅了されていて、そこにも危険が迫っています。

展覧会の開催の始まる日が世界の終わりの日。

それまでに男の子が手に入れて館内のどこかに隠されている特別な剣を見つけ出し、雪の女王を倒さなければなりません。

男の子との友情を通して、母親の死に向き合っていくOphelia。

やがて少年とも別れなければならず、とてもせつない物語でもあります。

著者は、元看護師のオーストラリア人女性。2014年1月出版の作品です。

単なるファンタジーではなく、愛や友情や死をテーマにしていて、大人が読んでも心に響きます。

まだ邦訳されていないので、是非原文で楽しんでみてください。
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谷津 いくこ
絵本専門士

絵本を原書で読んでみませんか?アートな絵本、心が豊かになる絵本、英語圏の文化に触れられる絵本などを紹介します。
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