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■関西ウーマンインタビュー(寺社仏閣編)


寺西 佐世さん(阿弥陀寺 住職補佐/寺西幼稚園 主事)

 
寺西 佐世さん 宗教法人 阿弥陀寺 住職補佐/学校法人 吉祥学園 寺西幼稚園主事 
大阪教育大、奈良教育大学大学院にて声楽を学び、幼稚園教諭資格取得。2013年に浄土宗助教師養成講座を修了。修了と同時に寺の補佐役を務める。ミュージックアンサンブルグループ「VIVO」メンバーとして近畿を中心に年に40~50回程のコンサートに出演。ソロでも活躍している。また障害を持つ子ども達に音楽療法を、幼稚園の子ども達には音楽指導、また後進の指導、育成にも尽力している。2015年1月 合唱団「コールハピネス」設立。
宗教法人 阿弥陀寺:〒607-8409 京都市山科区御陵天徳町19
学校法人 吉祥学園 寺西幼稚園 :〒607-8409 京都市山科区御陵天徳町15  http://www.teranishi-kg.com/
ミュージックアンサンブルVIVO: http://blogs.yahoo.co.jp/kazumayu1130
お仕事の内容を教えてください。
お寺の法要の勤行手伝い(維那といいます)や、檀家様のお宅へのお参り、法要の際の準備等の仕事をしています。また自坊で運営する幼稚園では子ども達の音楽指導もしています。音楽活動としては、ソロの他、アンサンブルグループ「vivo」のメンバーとして近畿を中心にコンサート活動もしています。
ずっと音楽を学んでおられたそうですね
もともとピアニストになりたくて音大に行きたいと思っていたんですが、実家が幼稚園を運営していますので、教員免許が必要だと親に言われ、大阪教育大学の中学教員養成課程に入りました。

3回生になると、ピアノか歌か他の楽器か、自分のやりたいことを選ぶので、当然ピアノを選ぼうと思っていたんですが、ずっと好きだったピアノの先生がイギリスに行ってしまって。どうしようと迷っていると、1回生からずっと習っていた歌の先生から、「歌に来るか?」と言われました。「せっかく今までピアノに時間もお金をかけてきたのに、いまさら歌って・・」と両親は大反対で、私もすごく悩んだのですが、そこから歌の人生が始まりました。

3回生から歌の勉強を始めたので、大阪教育大学を卒業後、もう少し歌を勉強したいと思い、奈良教育大学大学院に入って声楽を学びました。当時、学んだ音楽は実家の幼稚園の子どもたちに教えようと思っていただけなので、今のようにソロやコンサート活動をするとは、全く考えていませんでした。
住職補佐としてお仕事をされるようになったきっかけは?
私は長女なので、家を継がないといけない。そのためには養子さんを貰わなければいけない。でもお見合いではなく恋愛結婚をしたいと思っていたので、学生時代につきあっていた主人が、養子に入ってもいいよと言ってくれたので、大学院を出てすぐ結婚しました。

主人は普通のサラリーマンの家庭で育った人で、会社員をしていましたが、仕事を辞めて僧侶になってくれて、実家の後継者として、お寺と幼稚園の仕事を引き受けてくれていました。3人の息子を授かりましたが、今から15年前、一番下の息子がまだ5ヶ月の時、突然30歳の若さで亡くなってしまったんです。

もう精神的な打撃が大きくて、主人の「後追い」を考えていた時期もありました。夜中に徘徊したり、ワーっと大きい声を出して這いずりまわったり、もう自分が止められないんです。母は心配で毎日一緒に寝てくれていました。半年くらい経って、病院で「うつ病」と診断され、それから7年間、薬を飲みながら子育てと仕事をしていました。

そのうちに、父も「うつ病」になってしまったんです。父は40年以上僧侶として園長として働いてきましたが、後継者だった主人が亡くなってしまい、幼稚園の園長としてもしんどい時期が重なってしまったこともあって、私がうつを治療している間、だんだん悪くなってきたんです。その後、重度のうつと診断されて入院することになったのですが、退院してももう仕事をするのは無理だろうなと思い、意を決して資格を取ることにしました。
僧衣を着ることに抵抗はありませんでしたか?
最初私も知らなくて、まだ結婚願望もありますから(笑)頭を丸めるのはイヤだと思っていたんです。そこで、「この資格を取っても結婚できますか」と聞くと、「全然大丈夫です」と言われました。でも仕事と子育てで時間が限られているので「助教師資格」を取りました。

教師資格は頭を丸めて2年かけて勉強するのですが、助教師資格は2週間づつ2ヶ月。凝縮して詰め込むので、今日やったことは明日できるのが当たり前。毎日引きこもっての講義と何回もの礼拝と、ものすごく厳しかったですね。もう二度と受けたくないと思うくらい大変でした。

この資格を取るときに不安だったのが、歌とお経では、声の出し方が違うんですね。2週間の間、ずっとお経で声を出しっぱなし。大きい声を出せ、もっと大きい声を出せという指導なので、どう発声していいのか分からなかったんです。このままだと声を潰してしまいますし、お経だから歌ってはいけない、訴えなければいけない。

いろいろ試行錯誤して、自分なりのお経の声を確立させましたが、やっぱり意味があることを声に出すということは、歌うことと同じなんですね。仏さまにしても、私の声で心地よくなっていただけるというのは、歌と変わらない。そう考えると、お経を唱えるのも楽しいと思うようになりました。
音楽活動を始められたきっかけは?
主人が亡くなって2年目のクリスマスに、幼稚園で子どもたちにコンサートをしてくれないかと言われたんです。たまたま園児のお母さんの中に歌をしている人が2人いて、その方たちに「一緒にやりましょう」と声をかけて。ピアノを入れて4人でアンサンブルをしたことがきっかけです。

その後は幼稚園で年に2~3回歌うくらいのペースで、最初はグループ名もありませんでしたが、だんだん幼稚園以外の場所を借りて、自分たちでコンサートの企画をするようになったんです。するとだんだん、「うちで歌ってくれませんか」というオファーも増えてきて、今では近畿一円からお声がけいただけるようになりました。演歌からクラシック、Jポップ、懐メロまでなんでも歌いますし、校歌を歌ってほしいというオファーもあります。

ピアノだけ変わりましたが、他は当時のメンバーのまま、今年で12年目になります。練習したりお茶を飲んで喋ったり、すごく楽しかったです。私だけじゃなくて、他のメンバーも皆いろいろありますから、お互い励まし合いながらやってきたので、皆同じ想いだから続いているんじゃないかなと思います。
佐世さんにとって音楽とは何ですか?
生きる力です。歌えることが幸せです。

ずっと歌を教えてくださっていた先生に、「おまえには才能がある」と私を見出してくださって、すごく伸ばしてくださいましたし、その先生に会わなかったら、私は歌をやっていなかったと思います。でもその先生はすごく厳しくて、いつも「おまえの歌には心が無い。どうして無機質な歌しか歌えないんだ」と言われていたんです。一生懸命歌っているのに、なんでそんなふうに言われるんだろうと悩んでいました。

たしかに今までは、先生の言われた通りにしか歌っていなかったんです。ちゃんと言われた通りに歌わなければいけない。この難しい曲を間違えずに最後まで歌えたらOKと、自分で出していたんですね。でもだんだん、「私はこういうふうに歌いたい」という想いが出てくるようになって、それを自然に表現すると、先生からOKをもらえるようになったんです。

少しくらい間違えても、自分の歌いたいように歌いたい。それからですね。自分の歌に真正面に向き合えるようになりました。今は自分の表現で歌わせてもらえるのが幸せです。私をこれだけ元気にしてくれた音楽。たかが歌ですけど、されど歌。子供たちに歌う喜びを伝えていきたいです。
これからの夢は?
海外進出をしたいと思っているんです。今、一つの試みとして「お経の歌」を歌いたいと思っています。お経の歌詞を分かりやすく変えてもいいし、ピアノのソロを入れてもいいし。あまり誰もやったことがないと思うので、おもしろいかなと思って。あとお葬式でも、お経だけでなく、故人の方がお好きだった歌を歌ったりしてさしあげたい、そんなことも考えています。
苦しみを乗越える強さを持つには?
私は「おもしろい人生」を歩ませてもらっていると思うんです。確かにきつかったけれど、苦労じゃないです。皆に支えてもらって、仕事もさせてもらって、子育てもできて、歌も歌えて、こうして僧衣も着せてもらえる立場になって。そう考えると、やっぱり私はすごく幸せだと思うんです。

それにはやっぱり家族の力は大きかったですね。「子どもたちのために生きるんだ」と強くなれました。強くなれたのは、しんどい時にしんどいというと言える人がいたから。私には母でしたが、友達でも一人でもしんどいと言える人を持つことだと思います。

苦しい時、「頑張って」と言われることは辛かったですね。「生きているのがやっとなのに、頑張れなんて言わんといて」と、何度も思いました。でも、「あなたは大丈夫」と言われたことは一番嬉しかったです。何を根拠に?とその時は思いましたけど、今でも励みになっています。

やっぱりなかなか自分を肯定できないんです。頑張っている自分を認められないし、こんな私なんてダメだと思ってしまいがちだと思います。それでも「私は大丈夫」という気持ちでいてほしいですね。
ありがとうございました。
(取材:2015年9月 関西ウーマン編集部) 

 


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