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ヨチヨチ父(ヨシタケシンスケ)

父目線の育児エッセイコミック

ヨチヨチ父
ーとまどう日々ー

ヨシタケシンスケ(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、ヨシタケシンスケ『ヨチヨチ父 ーとまどう日々ー』。

ヨシタケシンスケさんは人気の絵本作家・イラストレーターで、図書館だよりでも、これまでに『ふまんがあります』、『これから どうしちゃおう』をご紹介しました。

『ふまんがあります』は、小さな女の子が「おとなって いろいろずるい!」と思っていることを、プンスカ述べる絵本です。

例えば、おとなは遅くまで起きているのに、なぜ子どもは早く寝ないといけないのか?おとなだって食べられないものがあるくせに、私にはグリンピースを食べなさいという……といった具合。

『これから どうしちゃおう』は、小さな男の子が、亡くなったおじいちゃんのノート(今でいう終活ノート)を見つけて読み、死について考えるという内容でした。

ヨシタケさんは二児の父親だそうで、きっとご自分のお子さんから、たくさんのヒントをもらったのじゃないかと思います。

そんなヨシタケさんが描いた、男性目線の育児エッセイコミックが『ヨチヨチ父 ーとまどう日々ー』です。

よく”お母さんも赤ちゃんと一緒に成長していく”と言われますが、ヨシタケさん曰く、お父さんだって同じ。

最初から頼り甲斐のあるお父さんが存在するわけはなく、赤ちゃん誕生と同時に、頼りないお父さん、つまり”ヨチヨチ父”も「ばぶぅ〜」と誕生するのだと。

そんなヨチヨチ父の本音の数々には、思わず声を出して笑ってしまいました。

いくつかご紹介しますと、
父になって最初の仕事は「正直な感想を胸の奥にしまう」ことではないでしょうか。
どういうことかというと、立ち会い出産などの場合、奥さんの野生的な一面を見てしまいドン引きし、生まれたての赤ちゃんを見て衝撃を受け、あれこれモヤモヤしちゃうんだけど、まずは一言「カワイイね」と言わざるを得ない……。
赤ちゃんができてよかったことのひとつに「嫁の実家での居場所」があります
義理の両親との会話などが一気に楽になるんですって。わかる気がするなぁ。

赤ちゃんができてよかったことは他にもあるのですが、逆に辛いことのナンバーワンは睡眠不足だそう。

想像がつくけれど、子どもに恵まれず育児経験がない私には本当のつらさは絶対に理解できないことでしょう。

自分の努力や意志でコントロールできないことに、日々直面するなんて、本当にすごいことです。

ヨシタケさんは育児を通して、女性の強さを再認識したそう。

それは、子どもにまつわる悲惨な事故や事件のニュースへの対応。

ヨシタケさんは、そんな恐ろしいことが我が子に起こったら……と、考えるのも嫌で、ニュースを見ないようにするのに、お母さんは「何?」「どうなってそうなる?」と逆にニュースを詳しく知ろうとするんですって。

「うちの子がそんなことにならないように、情報を仕入れて備えずにおられようか!!」ということでしょうね。母は強し!

父親と母親、変わらないのは育児への不安。うちの子の発育が遅くないだろうか、よその子と比べて、これでいいんだろうか、自分たちのやっていることは間違えていないだろうか……

よそのお母さんに「大丈夫大丈夫、うちもそうだったよ」と言ってもらったときの安心感!

若い頃は、人と同じなんてつまらない、と思っていたのに、我が子がみんなと一緒であることに、これほど安堵するとは……。

その気持ち、わかる気がするなァ。

嬉しいことも不安なこともてんこ盛りな育児だけど、赤ちゃんの寝顔はやっぱりカワイイ。

それをヨシタケさんは赤ちゃんの許される力と表現しておられます。

その上でヨシタケさんは、ギスギスする世の中、「赤ちゃんだった頃の写真を全員首から下げないといけない日」をつくったらなんてことを想像されています。

いけすかない上司の胸に赤ちゃん時代の写真……。確かにムカッとする気持ちが少しほぐれるかもね。

「イクメン」なんてことばとはちょっとちがう、実感と本音、不安や願い満載の『ヨチヨチ父 ーとまどう日々ー』を読んで、私は自分が育児を体験できなかったことを残念に思っています。

でも、最後まで笑いながら読みました。育児真っ最中の方にも、通り過ぎてしまったかたにも、そして私のように未体験の人にも、大いにお勧めします!!
ヨチヨチ父
ーとまどう日々ー

ヨシタケシンスケ(著)
赤ちゃんとママ社
パパは共感。ママは落胆。ママっていつもイライラしてるよね?パパって何か蚊帳の外だよね…?話題の絵本作家・ヨシタケシンスケが、父になってわかった“トホホな真実”を描く、初の育児イラストエッセイ! 出典:楽天

池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』
ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon



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