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めんどくさがりなきみのための文章教室(はやみねかおる)

わかりやすく面白い小説じたての文章読本

めんどくさがりなきみのための文章教室
はやみねかおる(著)
私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、はやみねかおるさんの『めんどくさがりなきみのための文章教室』

はやみねさんは小学校教師から児童文学作家になられただけあって、とてもわかりやすく面白い小説じたての文章読本です。
主人公は中学2年生の文岡健。春休みに友人の家で勉強した帰りに、一匹の猫と出会うところから始まる。

苦手な作文で『中学2年生になっての抱負』を書かされることになり、憂鬱な気分でいた健に、その猫は話しかけてきたのだ。その猫は10万回くらい生きていて、名前は「マ・ダナイ」。

つい最近は児童文学作家に飼われていたのだが、その人が作家デビューできたのは自分のおかげだという。もし自分に温かい食事と毛布を与えてくれるなら、健の作文を手伝ってやろうという。

半信半疑ながら猫を家に連れて帰った健。なんとその夜、ダナイのおかげで作文を2時間で書き上げることができた。ダナイが教えてくれた作文のコツは……
(はやみねかおる さんの『めんどくさがりなきみのための文章教室』の冒頭を私なりに紹介しました)
文章の書き方を教えてくれる猫の名前「マ・ダナイ」から夏目漱石の『我輩は猫である』を連想される方が多いと思います。

はっきりとは書かれていませんが、名付けてくれたのは”100年くらい前の作家”というのですから、ダナイは夏目漱石に飼われていた猫だということなのでしょう。

そしてデビューさせてあげたという児童文学作家ははやみねかおるさんのことだと思われます。

そんなダナイの作文指導はとても丁寧。

・文法
・原稿用紙の使い方
・五感を使って書く
・困ったらお手本(テンプレート)を活用していい
・ひらがなやカタカナの使い分け
・基礎をしっかりマスターした上で個性を発揮すべき

といった内容は、おとなにも大いに参考になります。

私は小学生向けの作文・読書感想文教室の講師をしていますが、これまでこの本に書かれている内容とほぼ同じことを授業で語ってきました。

ですが、ダナイほどわかりやすく伝えられていただろうかと反省しました。

次からはダナイを見習おう。

この「文章教室」が素晴らしいのは、読者に作文の書き方を教えるだけでなく、小説を書いてみよう、と呼びかけているところです。そして小説の書き方までもきちんと教えてくれるのです。

作文が苦手なお子さんに役立つだけでなく、本を読むことが好きで、作文も得意なお子さんが、さらにステップアップするのにも役立つと思います。多くのお子さん、生徒さんに読んでもらいたいと思いました。

最後に、コミュニティFMでパーソナリティをしている私にとって、嬉しくもあり、襟を正したくもなる文章があったことをご紹介しておきましょう。

それは「表現力」を高めるために「比喩」を上手に使うといいと教える時のダナイの言葉です。
直喩を上手に使っているのは、ラジオのアナウンサーやディスクジョッキーだね。映像に頼れないぶん、あの人たちは、上手に直喩を使ってリスナーにイメージさせている。

音だけで聞き手にイメージを伝えるラジオ。ラジオを聞くと、上手な表現を知ることができる。使えそうだと思った表現は、メモしておこう。
(はやみねかおるさん『めんどくさがりなきみのための文章教室』P109〜P110より引用)
文章教室でラジオを参考にするようにと教えておられるはやみねさんに敬服。

私も次回から作文教室で子どもたちにそう伝えます。そしてその言葉が嘘にならないように、ラジオでのトーク力を高めなくては!
めんどくさがりなきみのための文章教室
はやみねかおる(著)
飛鳥新社
著者累計510万部以上人気児童書作家が贈る、小説を読むだけで、文章がうまくなる本。作文、メール、レポートから小説まで、これ1冊で書ける! 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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