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お探し物は図書室まで(青山美智子)

人生が変わる図書室

お探し物は図書室まで
青山 美智子(著)
何かに悩んだ事はありますか?

自分が何に悩んでいるのかもよくわからず、どうしたらいいのかモヤモヤすることはありませんか?

そんな悩みをすっきり解決してくれる図書室を描いた青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』を読みました。
とある町の小学校に併設されているコミュニティハウス。いろいろな講座や催しが行われるところだ。

俳句やリトミック、フラダンス健康体操、パソコン教室もある。このコミュニティハウスには、規模は小さいがしっかりした図書館もある。

ここの図書館司書さんは、何を読んだらいいかわからずにいる人に目的や好みなどを聞き出し最適な本を選んでくれるリファレンスのプロ。

だけどなぜか、全く関係なさそうな本も1冊勧めてくれた上、”おまけ”までくれる。ちょっと風変わりな図書館司書さんだ。

今日もまた、モヤモヤを抱えながら図書室にやって来た人に本をお薦めしている……。
(青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』をざっくりと説明しました)
この小説は5つの短編からなっています。

目次を引用して、それぞれの主人公をご紹介しましょう。
一章 朋香 二十一歳 婦人服販売員
二章 諒  三十五歳 家具メーカー経理部
三章 夏美 四十歳  元雑誌編集者
四章 浩弥 三十歳  ニート
五章 正雄 六十五歳 定年退職
(青山美智子さん 『お探し物は図書室まで』の目次より引用)
年齢、性別、境遇が全く違う5人は、それぞれ自分の仕事や将来についてモヤモヤを抱えています。

三章の夏美を紹介してみましょう。
夏美は雑誌の編集部に勤務していた。毎月の締め切りに追われながら、読者のニーズに応える企画を立て、雑誌を作り上げていく、

忙しいけれどやりがいのある職場で、入社して15年間がむしゃらに働き続けてきた。

ビッグネームの作家に熱い思いを語って、連載小説を書いてもらい販売部数を伸ばすなど、実績を築いてきたつもりだった。

だから、年齢的にギリギリのいま、あえて妊娠出産することを決意した。できる限り早く職場復帰をして、今まで通り仕事もこなし、子育てと両立するつもりだったのだ。雑誌に貢献してきた自分を編集部はきっと待ってくれるだろう、と。

ところが、子育ては思うようにいかないもの。おまけに職場では、やりがいを感じていた雑誌の編集部から資料部に異動させられた。会社側は「子育てしながら編集部の激務は続けられないだろう」と判断したわけだ。

自分は今まで十分貢献して来たのだから、当然、出産後もその部署に迎え入れてもらえるとばかり思っていた夏美はこの人事にショックを受けた。

ある日、夏美は子どもを連れて、町のコミュニティハウスに出かけた。ここなら幼い子連れでも受け入れてくれるし、子どもの絵本も借りたい。

図書館司書さんに相談したら、絵本のほかに、星占いの本も薦められた。勧められるままに借りた星占いの本を読んでみると……
(青山美智子さん『お探し物は図書室まで』 第三章の出だしを私なりにご紹介しました)
この小説のタイトル「探し物」は、物理的なものではなく、自分自身が何をしたいのか、どうすればいいのか、という人生の探し物なのです。

大小はあれど、人それぞれに悩みがあります。

時には、自分が何に悩んでいるのかもわからないことも。

そんな時、勧められる一冊の本。

その本はダイレクトにその人の悩みを解決できるハウトゥー本ではありません。

自分には全く関係がなさそうに見える本なのに、読んでみると、心に響く文章と出会える。

これからどうしようかと悩んでいる背中を押してくれる文章も。

そんな一冊と巡り合わせてくれる、図書館司書さん。

いらっしゃると良いですよね。

私はいつも自分が読んで良かったと思う本をご紹介しています。

私もこの小説の図書館司書さんのように、誰か一人でも元気づけられる本をご紹介できていれば嬉しいのだけど。

この小説の主人公たちは、皆、勧められた本から、一歩を踏み出す勇気をもらっています。

そして実際に一歩を踏み出しています。
「つながってるんですよ、みんな。ひとつの結び目から、どんどん広がっていくんです。

そういう縁は、いつかやろうって時が来るのを待っていたらめぐってこないかもしれない。

いろんなところに顔出して、いろんな人と話して、これだけたくさん見てきたから大丈夫って思えるところまでやってみることで、『いつか』が『明日』になるかもしれない」
(青山美智子さん『お探し物は図書室まで』 P104より引用)
「いつか○○してみたいなぁ」と心で思っているだけではなく、ほんの些細なことでも、一歩を踏み出せば、物事は好転していくものだよ、もし好転しなくっても、一歩踏み出したあなたには、新たな出会いやご縁があるよ、という著者からの明るいメッセージが胸に響きます。

とても読後感の良い短編集でした。

なお、同じコミュニティハウス、同じ図書室を舞台にしているので、短編ごとの主人公たちは、別の章にもチラッと登場します。

それを発見するのも楽しみの一つ。

ところで、この図書館司書さんは「とても大きい」のだそうです。

私はずっと渡辺直美さんをイメージして読みましたよ。
お探し物は図書室まで
青山 美智子(著)
ポプラ社
お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。 出典:楽天
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池田 千波留
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