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殿、恐れながらブラックでござる(谷口雅美)

尼崎城がますます身近に

殿、恐れながらブラックでござる
谷口 雅美(著)
エフエムあまがさきの番組コーナー『講談社様ご協力 千波留のブック・プレゼンター』では、8月のプレゼント本 8月12日新刊の『殿、恐れながらブラックでござる』をご紹介しました。

普段は私が一人で本の内容を紹介し、プレゼントのご案内をするのですが、今回は著者である谷口雅美さんをお迎えして、色々なお話をお届けしました。

というのも『殿、恐れながらブラックでござる』の舞台はエフエムあまがさきから歩いて10分ほどのところにある尼崎城。

しかも著者の谷口さんは尼崎市民で、エフエムあまがさきの番組『8時だヨ!神様仏様』のアシスタントを務めておられたことも。こんなご縁があるのです、この新刊を応援せずにいられましょうか!
摂津国 尼崎城の三代目城主青山幸利は臣下に休みを取らせない。贅沢を許さず、ひたすら武芸に励むよう命じている。

青山家は徳川の譜代大名だ。反逆がないよう、守りの拠点となっている大阪城を東西から守っているのが尼崎城と岸和田城である。

青山幸利はその大切な役目を自覚し、いついかなる時にも馳せ参じられるようにと考えているのだが、徳川政権も4代目となり、戦の時代は遠くなっている。幸利の要求を時代錯誤だと感じる臣下もいたし、ついていけないと感じる者も。

水戸藩に縁のある訳あり牢人 戸ノ内兵庫は出仕者が居つかない尼崎のため、人材の確保を請け負った。行きがかり上、江戸から尼崎へと同行し、城主 幸利に進言する身となった……
(谷口雅美さん『殿、恐れながらブラックでござる』の出だしを私なりにまとめました。)
まず、タイトル。

時代小説に「ブラックでござる」なんてありえないタイトルではありませんか。

でも、自分の意見を部下に押し付けるお殿様を現代のブラック企業やパワハラ上司に例えてもらうと、俄然わかりやすく、想像しやすい。時代小説が苦手な人も、思わず手に取ってしまうかも。とてもキャッチーなタイトルに、まずは感服しました。

でも、読んでみると、青山幸利は単なるパワハラおやじではありません。自分のなすべきこと、仕事に誇りを持ち、役割を全うしようとしています。

臣下にだけ質素な生活を強いて、自分が贅沢をすることもない。むしろ良いお殿様なのでは?ただ、言葉が足りない。伝え方がヘタ。

それを補佐するのがこの小説の主人公、戸ノ内兵庫です。

私は「戸ノ内」という苗字を見た瞬間、「おおお!!」とテンションが上がりました。尼崎市に戸ノ内という地名があるので、その地名の由来となった人物かと思ったのです。

でも、著者 谷口さんにお聞きしたところ、戸ノ内兵庫は実在の人物ではないのですって。同じく尼崎が誇る尼子騒兵衛さんの『忍たま乱太郎』にあやかり、地名から苗字を拝借したのだとか。

そう、この小説は史実と、架空の人物が織りなすフィクションなのです。

最初は、誰が実在の人物で、誰が架空の人物か、気にしながら読んでいたのですが、徐々に、どっちでも良い気がしてきました。面白ければ、どっちでも良いやん、ということです。

主人公 戸ノ内兵庫は冷静で人を見る目があり、思慮深い男性。しかも武芸の腕も立つようなのに、なぜか戦いの場になると刀を抜かない。(抜けない)。

女性には奥手で、朴念仁。まとめると、ちょいと陰があり、強くて純情。女心をキュンとさせる主人公です。

戸ノ内兵庫が「殿、恐れながら……」と城主 幸利に進言する内容は現代社会での経営や人付き合いにも十分活かせそうで、今の時代のコンサルティングと言えるかもしれません。

戸ノ内兵庫は幸利を、領民や臣下に慕われる殿に変身させられるのか?殿を陥れようとする勢力から守ることができるのか?

この小説のおかげで、今まで以上に尼崎城を身近に感じるようになりましたよ。

実は谷口さんがこの小説を書こうと思ったきっかけは尼崎城再建でした。

尼崎城は明治維新の際、取り壊されてしまいました。その後、跡地には市立図書館が建築されましたが、石垣など当時を偲ぶものは残されており、訪れた人はかつてそこにあった城に想いを馳せることもできました。

そんな尼崎城址に城が再建されたきっかけは家電量販店旧ミドリ電化の創業者・安保詮さんの「創業の地に恩返しがしたい」というお申し出でした。

約12億円の私財を投じて尼崎城天守を建設し、尼崎市に寄贈したのです。私はエフエムあまがさきの番組内でそのニュース原稿を読んで鳥肌が立った記憶があります。

加えて、市民や尼崎を愛する人々の共感を呼び、「一口城主」や「一枚瓦」など約2億円の寄付が集まりました。

谷口雅美さんはその間、尼崎城主だった青山幸利の言行を集めた『青大録』を現代語に訳す連載を担当されましたが、まだまだ書き足りないという思いから、この小説が生まれたのだそう。

2019年3月に再建された尼崎城。この再建がなければ、もしかしたら『殿、恐れながらブラックでござる』は生まれなかったのかもしれません。
尼崎市民はもちろん、時代小説がお好きなかた、部下にどう接したら良いか迷っているサラリーマンにもお勧めしたい小説です。

※【千波留のブック・プレゼンター】谷口雅美さんへのインタビュー(2021年8月19日放送)のアーカイブがあります。ぜひお聞きください。➡ツイキャス【エフエムあまがさき】
殿、恐れながらブラックでござる
谷口 雅美(著)
講談社
摂津国尼崎城主の青山幸利は、臣下に休みをとらせず、少しの贅沢も許さないパワハラな殿として知られていた。御三家水戸筋のワケアリ牢人・戸ノ内兵庫は、出仕者が居つかない尼崎のため、江戸での人材確保と領地での人材育成に関わる。ブラック大名を愛される殿にプロデュースできるのか? 出典:楽天
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池田 千波留
パーソナリティ・ライター

コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。
BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」

パーソナリティ千波留の
『読書ダイアリー』

ヒトが好き、まちが好き、生きていることが好き。だからすべてが詰まった本の世界はもっと好き。私の視点で好き勝手なことを書いていますが、ベースにあるのは本を愛する気持ち。 この気持ちが同じく本好きの心に触れて共振しますように。⇒販売HPAmazon

 



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