ハリネズミ乙女、はじめての恋(令丈ヒロ子)
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![]() ハリネズミ乙女の悲喜こもごも ハリネズミ乙女、はじめての恋
令丈ヒロ子 私がパーソナリティを担当している大阪府箕面市のコミュニティFMみのおエフエムの「デイライトタッキー」。その中の「図書館だより」では週に一度、箕面市立図書館の司書さんが選んだ本をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、令丈ヒロ子さんの『ハリネズミ乙女、はじめての恋』。 主人公 嶋本コノカは大阪育ち。家庭はちょっと特殊と言える。まず、祖母は三味線芸人。音曲漫才師として現役を続けている。父は芸能プロダクションの社長で、母はかつて売れっ子だった女芸人。
そして芸人に興味がないように見えていた兄までもが漫才師としてデビューし、MANZAIグランプリを獲得してしまう。つまり芸人一家に生まれ育ったのだ。 しかしコノカはいつも疎外感を覚えていた。どちらかといえば万事スローだし、とっさに機転を効かすこともできない。突発的に何かが起こると軽くパニックにもなる。 それなのに、コノカが芸人一家の子だとわかれば学校でも「なんか面白いこと言うて」なんて期待されるのは当たり前。それに応えられずにいると、軽いいじめも受けた。 だからコノカは高校を卒業すると東京へ出た。自分の家族を誰も知らない場所で、「嶋本花世の孫」でもなく、「チエリーみつよの娘」でもない、自分を見つけたいと思ったからだ。 ところが、居酒屋のバイトをたった2週間でクビになってしまった。お客様との接点がないバックヤードからフロアに異動になったとたん、パニックになったからだ。 ああ、この先どうしたらいい?そんなとき、たまたま通りかかったペットショップで可愛いハリネズミに出会った。 しかも驚くことに、そのハリネズミはコノカに話しかけてくるではないか!それからコノカにとって予想外の展開が…… 私は動物好きなので、白いハリネズミ(白ハリくん)の登場に歓喜しました。
可愛いなぁ。 おまけに白ハリくんはなぜか関西弁を喋ります。 その口調が誰かに似ている気がする、誰だったか?しばらく考えてわかりました。 約30年前、平日の夜放送されていた関西ローカル番組『味の招待席』の故・桂米朝師匠だ!!お懐かしや! ペットショップでアルバイトをすることになったコノカの運命が、大きく変わるきっかけがTwitterというのが、とてもリアルです。こういうこと、現実にありそう。 最後にちょっと面白いタイトルについて。 ハリネズミ乙女、とは、ハリネズミが好きな乙女であり、自分自身がハリネズミでもあるという二重の意味を持つようです。 ハリネズミ乙女の、悲喜こもごもが軽いタッチで書かれていて、あっという間に読み進めることができました。関西人であればいっそう面白く読めると思います。 ![]() ![]() 池田 千波留
パーソナリティ・ライター コミュニティエフエムのパーソナリティ、司会、ナレーション、アナウンス、 そしてライターとさまざまな形でいろいろな情報を発信しています。 BROG:「茶々吉24時ー着物と歌劇とわんにゃんとー」 パーソナリティ千波留の『読書ダイアリー』 |
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