HOME コラム 前のページへ戻る

あみ りょうこ
版画家 ninjacco

AMIのAMIGO アート・芸術 2024-02-05
Vol.37 メヒコ人と時間を共にするの巻、その② [ロテリアを通してメヒコ文化に触れる]

オラー、こんにちは。2023年の10月にメヒコ人の友達が遊びに来てくれたことで再びメヒコ文化の風にふかれたあみりょうこです。

今回も、前回『メヒコ人と時間を共にするの巻、その① [Sin planes (ノープラン)]』に引き続き、メヒコ人の2人と過ごした時間で感じたり見たりしたことをお伝えしていきたいと思います。今回は「ロテリア」にまつわるお話を。
ロテリアとは……?

*エディスのオアハカ州ロテリア
2023年の夏から秋にかけて、姫路の日本玩具博物館でメヒコの玩具の特別展が開催されていました。(「メキシコと中南米の民芸玩具」

姫路出身の私としてはこの情報を見つけたとき、いてもたってもおられず博物館に連絡を取り、ワークショップをさせていただけないかとお願いをしました。すると、博物館の方におもしろがっていただいて、8月と10月にワークショップをさせていただく運びになりました。

私が行っている Mexico-T shirt project は、メヒコのことをもっと日本の人に知ってもらえたらいいな!よし、Tシャツを入り口にしよう!と長年続けているプロジェクトなのですが、Tシャツのデザインに使っているモチーフの多くは、「ロテリア」というメヒコのカードゲームがもとになっています。

ロテリアはビンゴゲームのようなルールのおもちゃです。ロテリアには54種類の絵があるのですが、プレイヤーたちはそれぞれ「タブラ」と呼ばれ4x4や3x3でランダムにそれらの絵が描かれたカードを持ちます。親が1枚ずつ山からカードをひいて読み上げて、自分のタブラに同じ絵を見つけていち早くそろった人が勝ちというルールです。

数字のビンゴゲームと大きく異なるのは、ビンゴが縦横斜めなど1列そろえばいいのに対して、ロテリアはすべての絵がそろって初めてロテリア(ビンゴ)となるのです。

ロテリアのゲームをみんなで遊んだり、シルクスクリーンでそのモチーフを印刷したりするというワークショップの内容だったのですが、ちょうどこのワークショップの開催の時に2人の滞在がかぶりました。

ロテリアの親(読み手)をどうせならメヒコ人である彼らにしてもらうと、ワークショップも深みが出るのではないかなぁ、と思ったので2人に頼んでみたところ快諾してもらい実現しました。
ロテリアに見るメヒコ文化の多様さ!

*日本玩具博物館でのロテリアワークショップの様子
ロテリアのワークショップをするというので、何年も前に大阪の雑貨店で買ったというロテリアを持ってきてくださった方がいらっしゃいました。

ロテリアは一般に流通しているクラシックなものもありますが、死者の日などの行事に特化したものや、州の特産物に特化したものなどもあります。かくいう今回たずねてきてくれた友だちの一人であるエディスもオアハカ州のロテリアを版画で作っています。

オアハカでは毎年7月に「ゲラゲッツァ」というお祭りが開催されます。どのようなお祭りかというと、オアハカのさまざまな地域を代表したグループが一堂に集まり、自分たちの地域の踊りや音楽、特産物などを披露するという大きなお祭りです。

オアハカにはたくさんのインディヘナ(先住民族)のグループがあります。それぞれの言語を持ち、文化もまたそれぞれ異なります。同じオアハカ州と言っても、その多様な民族衣装や音楽をそのお祭りを通して知ることができるので、オアハカを訪れるならこのゲラゲッツァをめがけていくのもおすすめです。

話が少しずれましたが、そう、ロテリア。

大阪で買ったというロテリアを持ってきてくださった方は、買ったときは一体何なのかよくわからなかったそうなのですが、みんなでそのロテリアを隅々まで観察して説明などを読んでいると、Alec Dempsterさん(メヒコ生まれカナダ育ち)というプリントメイカーの作ったロテリアであるということが判明しました。

版画でつくられたそのロテリアはベラクルス州の文化を描いたロテリアだったのですが、実際に遊んでみると、親を担当したイヴァン(オアハカ出身)ですら知らない単語がたくさんあると話していたのにはびっくりしました。

特に日常で使われる台所用品と思しき壺などは各地方で独自の呼び方があるようで、2人とも「初めて聞いた!」とメヒコ人の2人も興味深そうに見ていました。

確かに日本でも、他府県の習慣や文化のことは意外と知らないかもしれません。ロテリアを通してメヒコ文化の豊かさを改めて知るとともに、日本でロテリアをつくるとしたら私は自分の出身<兵庫県>で54つの特徴を見つけられるかな??と自問自答しているところです。

外国人や他文化を持つ人と一緒に過ごすと、彼らの文化のことを学べると同時に自分の国や文化のことを意外に知らないなぁと思い知るものですね。

*日本玩具博物館
profile
あみ りょうこ
版画家

1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:https://amiryoko.wordpress.com/
instagram:ninjacco
メヒコTプロジェクト

Vol.35 センパスーチルの花、死者の日が近づく、の巻 アート・芸術 あみ りょうこ版画家
おすすめのコラム
【重要 】残りあと1年です『 HPVワクチン公費(無料)接種 』 医療・ヘルシーライフ 藤田 由布婦人科医
ひろこちゃんと私のお手紙のやりとり~10通目~ ライフスタイル 小森 利絵フリーライター
映画「オッペンハイマー」 ライフスタイル バックスター ルミバイリンガルライフコーチ
コラムのジャンル一覧