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あみ りょうこ
版画家 ninjacco

AMIのAMIGO アート・芸術 2019-02-12
Vol.10 チョコレート天国オアハカの巻

日本では一年で一番寒い季節がやってきました。オアハカでは朝晩こそ少しひんやりとするものの、日中の気温はぐんぐんと上がってきている今日この頃、半そでで町をうろうろしている人も見かけます。

早いもので2019年もあっというまに2月です。日本にいると年が明けるとバレンタインデー商戦が始まったりして町が華やいでいると思います。おいしそうなチョコレートやかわいいパッケージに思わずが足が止まったり、なんていうこともあるのではないでしょうか。。

オアハカでは、さすがに「うそやろ?!」といいたくなりますが、いまだにクリスマスの飾りつけをしているところなどもあり、なんだかわけのわからない季節感です。それを含めてメヒコっぽいといってしまえばそれまでですが。

せっかくバレンタインデーでチョコレートが盛り上がる季節なので、今月はオアハカにおけるチョコレートの話をしたいと思います。

突然ですが、チョコレートの原産がメヒコだということをご存知でしょうか?!

チョコレートというと、勝手にアフリカ(おそらくガーナチョコレートというネーミングの影響を受けている安直な私。)やヨーロッパのものというイメージがなんとなくありますが、実はメヒコ発の食べ物なのです。

スペイン植民地時代にスペイン人がヨーロッパに持ち帰り、その後牛乳を加えたりして現在日本で広く親しまれているチョコレートの形になっていたそうですが、メヒコではチョコレートの原料となるカカオを粉状にすりつぶしてお湯に溶かして飲まれていたようです。
オアハカは、美食の町としても名高いのですがチョコレートもその一つです。町の中には、カカオを売っていて、それを砕いて砂糖やシナモンなどを加えてオリジナルのチョコレートペーストを作ってくれるお店なども見かけます。

その周辺を歩くとチョコレートのにおいが道中に広がっていて、思わず顔がにやけます。ペースト状になったチョコレートを試食させてくれたりもして、口に入れるとカカオの味が強くざらざらとした舌ざわりなのが特徴です。

オアハカでは、チョコレートバーで食べるよりは、このようなペースト状のものをモーレなどのソースに配合するために使われたり、ホットチョコレートとして食されるほうがポピュラーかもしれません。

もっとも最近では、いろいろなフレーバーを練りこんだチョコレートバーを売っているのを見かけますが。チリ味、塩味、ローズマリー味、カルダモン味などその種類は様々なので、お土産としても喜ばれそうです。
オアハカに実際に来た際にはぜひとも試していただきたいのがやはり「チョコラテ・カリエンテ」ことホットチョコレートです。(カリエンテはあたたかいという意味です。)チョコラテを頼むと、「コン・アグア」か「コン・レチェ」かを聞かれます。アグアは水、レチェは牛乳なので、チョコレートをどちらの液体で溶くかを選ぶのです。

どちらもおいしいですが、個人的には「コン・アグア」がおすすめです。日本で飲むホットチョコレートの感じとは少し違う、カカオ感が強めの味わいです。お湯で溶いたものはチョコレートペーストの味わいがそのまま反映されるので、飲む場所によってかなり味(甘さなど)にばらつきがある印象です。
準備するときには「モリニージョ」とよばれる木のスティックでチョコラテをかき回して泡立てます。このモリニージョは、チョコレートを作るときのためだけにあるというものすごく使い道が限定的な器具で、名前も面白いのでなんとなくつぶやきたくなる単語です。

かなり激し目にモリニージョを回転させなければいい泡が立たないので大変なのですが、あわあわのチョコラテが目の前に運ばれてくるとめちゃくちゃうれしくなります。普段はコーヒー等ですが、寒い時や疲れた時などは無性に飲みたくなるチョコラテです。
バレンタインデーだけではなく、1年じゅう楽しめるチョコラテです!!

そして、一応メヒコのバレンタインの話。2月14日は「サン・バレンティンの日」ですが、メヒコでは「Día del Amor y la Amistad(愛と友情の日)」としてお祝いされます。

市場に行くとこんなことになっていました。パペルピカドという紙の飾りはハートやキューピット仕様になっていました。ご覧のように、飾りつけがメインで全然チョコレートが関与していません……。
「愛と友情の日」なので、友情を押し出したようなものも見かけます。当日には、ハートマークの風船を持った風船売りの人などを道端で見かけることがあります。それを買って風船をふわふわさせながら街を歩いている人を見たりしたときには、なんだか平和だなぁ、と感じずにはいられません。

今年のバレンタインはメヒコ流に友情をお祝いしてみるのもいいかもしれませんね。

それでは、また来月お会いしましょう!
works
【今月の作品】
オアハカでは版画がとても盛んにおこなわれているのですが、女性の版画家も活躍しています。先日、Hoja Santaという女性の版画家が運営するスタジオの1周年記念展覧会がありました。

オアハカに住んでいる版画をする女性、ということで私も招待していただき作品をつくりました。
ディアブロ(悪魔)が木や鳥や家など、片っ端から放火をしました。ディアブロは悪いやつ、というイメージがありますが、女の子のハートに火をつけてしまったディアブロは果たして。

いいと悪い、内面と外面、人とのかかわりのことなどに思いを巡らせることが多い私のメヒコ生活の中で考えているイメージを版画にしました。
profile
あみ りょうこ
版画家

1982年大阪生まれ、兵庫育ち。メキシコのオアハカ州での暮らしを経て、2020年から日本に。 ものつくりが好きで、オアハカで版画に出会い制作を続けている。
HP:https://amiryoko.wordpress.com/
instagram:ninjacco
メヒコTプロジェクト

Vol.11 ある食堂、の巻 アート・芸術 あみ りょうこ版画家
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