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藤田 由布
産婦人科医 レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2024-10-17
「 更年期 」の女性の皆様、もう我慢しないで下さい!

40代〜50代の女性の患者さんから、こんな相談をよく聞かれます。

「もともと元気だったのに、最近疲れやすく、落ち込みやすい」

「頭がのぼせるし、夜は寝付きが悪くて、次の日がしんどい」


他にもいろんな症状の相談を受けます。

40代からの女性のからだは様々な変化が現れます。

ほぼ全ての女性に訪れる「更年期」は、みんな同じ症状ではなく、様々な形で更年期は訪れます。
氷河期世代の皆さん、もう我慢しないで!
最近は、就職氷河期世代の我慢を強いられてきた40代後半の女性の患者さんが、限界を超えた状態で診療にいらっしゃるようになりました。

就職氷河期とは1970〜80年代生まれの方が該当します。

私が勝手に命名しましたが「最後のブルマー世代」の皆さまです。

「女は愛嬌さえあれば」と言われ続けた男性至上主義社会、就職難、お茶汲み、自分より能力のない男性が出世していく中の家事育児、マタハラ、セクハラ、モラハラ、不平等な機会、ブルマーという屈辱、、、、

おい、そこのジジイどもよ、私を踏みつける足をどかしてくれ、と何度叫びたかったか。

もう十分に我慢してきたはずです。女性の皆様、これ以上我慢しないで下さい。
閉経の平均年齢は50歳
日本人女性の閉経の平均年齢は50歳ですが、これも個人差があります。

閉経とは、卵巣の機能が低下し、活動を停止した状態をいいます。

子宮摘出後などのように生理がない女性は、月経により判断できないので、血液検査で閉経期を判断します。

採血で、ホルモン値「FSH(卵胞刺激ホルモン)値40mIU/mL 以上、かつ、E2 値20pg/mL以下」でもって閉経後と診断します。
更年期は、決して「閉経後」からではありません。「閉経前」も該当します。

概ね、閉経前5年間〜閉経後5年間の10年間ですが、最もツライ時期は閉経前後の数年間です。

上の図では、エストロゲン(女性ホルモン)の降下がまっすぐ降下になっていますが(赤線)、実は上下しながらアップダウンで減少していきます(青線)。

この女性ホルモンが「波を打つような」エストロゲンの降下の波が自律神経を乱し、さまざまな症状がでてしまうのです。

平均的に40代中頃から症状が出現しますが、もちろん身体の変化を感じる人もいれば、全く感じない人もいます。

つまり、40代〜50代というのは、女性にとって特別な時期なのです。
まずは月経不順が訪れます
更年期障害の症状として、ホットフラッシュ(ほてり)がよく知られていますが、閉経が近くなってくると、まず月経が不規則になります。

2週間おきに生理がきたり、数ヶ月生理がなかったり、半年ぶりに生理がきたり・・・

そして、頭痛、めまい、イライラ、落ち込み、不眠、疲労、動機、ほてり、冷え、しびれ、関節痛、便秘や下痢、のどのつっかえ、等々、他にもまだまだあります。
急激に急降下で女性ホルモン(エストロゲン)が減少していくのですから、体調を崩したり、集中力が落ちたり、疲れやすくなったり、精神的に参ってしまったりするのは当然のことです。

疲れて体調を崩しても、決して自身の怠慢のせいではありません。

自分を責めたりしないで下さい。
不正出血は、まず婦人科を受診してください
閉経が近づいてくると、卵巣機能がほぼ終了していて、ホルモン分泌もかなり不安定になってきます。

ただ、注意してほしいのが、性器出血が閉経期によるものかどうかは、診察しないと分からない事が多いのも事実です。

不規則な出血は、子宮体がん、頸がんによるものかもしれません。子宮の内膜が異常に増殖していく子宮内膜増殖症の可能性もあります。

婦人科のがんは初期の時に分かりにくいことが多いです。
2週間以上続く性器出血や、閉経した後に出血が続くことがあれば、必ず婦人科を受診してください。

また、定期検診や人間ドックで、定期的に婦人科を受診することも大事です。

40代すぎて生理が年々ひどくなっていく方も、放置せずに婦人科にいらして下さいね。
HRT(ホルモン補充療法)
更年期症状の治療は意外と手頃な価格であることをご存知でしょうか。

ホルモン補充療法は、女性ホルモンであるエストロゲンを補充することにより、さまざまな症状をやわらげ、生活の質の向上に幅広い効果が期待されており、最近はとても注目されています。

一方、巷の美容クリニックで行う「更年期対策・アンチエイジング」が色々と紹介されていますが、美容に特化したものが多く、高額であることが多いです。

医学的に根拠があって、治験データから効果があることが証明されている更年期症状の治療は、婦人科では保険適応です。

保険診療における更年期障害治療は、月々1000円くらいです。
婦人科では、体の不調の原因を医学的に検査して、他に重要な疾患が隠れていないか、基礎疾患で服用している薬との併用が大丈夫なのかなどを調べます。

また、個々の既往歴を調べて、個々に適した治療を選択します。

最近は、どんどんと新しい治療方法が出てきています。

ホルモン補充療法は、骨粗しょう症や動脈硬化を防ぐことで知られていますが、そのほかにも、皮膚のコラーゲンを増やして肌の潤いを保つことが分かっています。

また、意欲や集中力を回復させ、性交痛や膣炎をも改善させます。

更年期障害の治療の例を示します。

更年期障害のお薬のあれこれ(一例)

ディビゲル(持田製薬) 塗り薬
ル・エストロジェル(富士製薬) 塗り薬
エストラーナテープ(久光製薬) 貼り薬
加味逍遥散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散など(ツムラ・クラシエ)漢方
メノエイドコンビパッチ(久光製薬)貼り薬
プラセンタ注射(メルスモン製薬) 注射
ジュリナ(バイエル薬品) 内服薬

なお、ホルモン補充療法は、乳がんや血栓症の既往がある女性は使用できません。

自分に合った更年期障害の治療方法を主治医と相談して選択しましょう。
プラセンタ注射(メルスモン®️)は医学的根拠は実ははっきりしていないのですが、6〜7割の被験者に効果を示した報告があります。プラセンタ注射も保険適応ですが、最低週に1回は受診しないと該当としていません。保険診療は持続した治療を目的としているためです。
プラセンタ注射についてのコラム →「プラセンタって一体なに?!」
まずは婦人科で相談を
婦人科では、その人に合った治療法を、色々と試してみて、生活の質を向上して行けるように共に相談しながら決めていくことが出来ます。

相談だけでも大丈夫です。

ホルモン値の血液検査で更年期障害の状態がある程度分かったりもします。

なかには、体の不調が更年期の症状によるものではなく、甲状腺機能や別の疾患が隠れていることも少なくありません。

過去に巷の婦人科で嫌な思いをしたことある方も多くいらっしゃいますが、最近の婦人科は随分と改善されています。

今は女性医師も増えています。気軽に、安心して、ご相談にいらして下さいね。
世界一の長寿、日本の女性は世界の鏡です
世界一の長寿となった日本女性。平均寿命87歳。

この長い人生を自分らしく健康に過ごすため、女性にとって有益な情報と知恵を、是非たくさん知って欲しいです。

「更年期」のことは、学校でも習わなかったし、教科書もないし、誰かが教えてくれるわけでもないのです。

ここで大切なことは、そのちょっとした違和感も、素直に感じることです。
正しい知識を得て「あなたの更年期」と上手に付き合うことが、今後の長い人生を自分らしく健康に過ごすヒントとなります。

これからの人生を豊かに生きるために新しい趣味にチャレンジするのも、この40代がおすすめなのです。

今日は、これからの人生で最も若いのです。40代からの生き方を、もっと充実させませんか。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋1-8-3 心斎橋パルコ10F
TEL:06-6253-1188(代表)
https://shinsaibashi.santacruz.or.jp/

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