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藤田 由布
婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2023-12-07
女性の皆さま、「知らなかった」とは言って欲しくありません

1997年以降に生まれた女性たちに何度でも伝えたいことがあります。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の無料接種(公費)の期間は、あと1年間しかありません。3回とも無料で接種するためには半年間かかります。

日本の女性は、74人に1人の割合で子宮頚がんに罹患しています。

子宮頚がんは、性行為で感染するヒトパピローマウィルス(HPV)が原因です。

99%性行為でうつるHPV感染だと立証されています。

先進国で子宮頚がんが急増しているのは日本だけです。

日々の診療でも実感しています。涙される女性は本当に多いです。診察室でおびえる女性を毎日目の当たりにしている私も悔しいです。

HPV9価ワクチン(子宮頚がんワクチン)はお近くの殆どの産婦人科や小児科で接種出来ます。

「シルガード9」はパートナーの命を守るHPVワクチン(=子宮頚がんワクチン)で、厚労省認可ワクチンです。

子宮頚がんの他、肛門がん、陰茎がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマの予防にも効果があります。

早く日本の男性に対しても公費接種になって欲しい。産婦人科医も小児科医も皆な現場を知るからこそこう願っています。

事実、先進国の男性でHPVワクチンが公費接種されてないのは日本だけです。

男女ともに接種する事で子宮頚がんは激減でき、他国では若い女性の子宮頚がんは撲滅できるに値するほど効果があると数々のデータが立証しています。

10年以上も前から世界中でスタンダードであるHPV9価ワクチンが昨年からようやく日本でも公費認可となりました。

ただし、日本は女性だけを対象としています。

現小学6〜高校1年生の女性は常時公費(無料)で接種出来ます。

そして1997〜2005年度生まれの女性は、キャッチアップ(救済)対象者として2023年4月〜2025年3月まで公費接種(無料)出来ます。

先進国の中で、日本だけが子宮頸がんで死亡する女性の数が急増しています。

命を守る「子宮頚がんワクチン」は3回接種が推奨されています。

① 1回目接種
② 初回から2ヶ月後に2回目接種
③ 初回から6ヶ月後に3回目接種

婦人科検診で「軽度異形成」や「異常所見」という結果になってしまい、不安に怯えて受診される日本の若い女性の精密検査を私は毎日のようにしています。

子宮頸がんの精密検査は、コルポスコピー生検や組織検査などで、大きく鋭利なハサミで子宮の入り口(子宮頚部)を米粒大に切り取る出血を伴う検査です。

この検査を数百人の女性に行ってきた私だからこそ、伝えたい現実があります。

現在、世界の80カ国以上においてHPVワクチンの接種を広く提供すべく、国の公費助成が実施されています。

実際、世界のほとんどの国では60%以上の高い接種率が実現されており、80~90%の接種率の国も少なくありません。

2006年の接種開始以来、世界では約8億回にわたり接種されており、WHO(世界保健機構)も極めて安全性が高いとしています。

しかし、日本では公費助成(小6〜高1のみ対象)がされているにもかかわらず、2018年現在わずか0.8%の接種率にとどまっています。
 
HPVワクチン各国の接種率(2018年)
日本 0.8% 女性のみ
英国 82% 男女共
米国 55% 男女共
豪州 80% 男女共
カナダ 83% 男女共


この低接種率の背景には、HPVワクチンの接種による重い副反応が心配されたことが要因です。

そして、2013年に厚生労働省がワクチン接種の積極的勧奨を中止して以来、接種率が極端に低下し、現在に至っています。

しかし、日本国内でもHPVワクチンの安全性と有効性が示された報告はたくさんあり、TV映像で見た副反応の数々はワクチンが作用したもので無いことが分かっています。

ただし、ワクチンというものは、数十万人に一人といった割合で何かしらの健康被害があることも事実です。それは、コロナワクチンでもインフルエンザワクチンにも同様に言えることです。

また、海外から「HPVワクチンがもたらす効果」についての様々なエビデンスがもたらされてきて、日本でも安全性と効果が示された報告が圧倒的に多く、安心して接種して欲しいと産婦人科学会も小児科学会も広く啓発しています。

2020年10月には、厚生労働省から自治体に対してHPVワクチンの定期接種対象者への周知徹底を促す通達を行うなど、少しずつ「HPVワクチン」を正しく知ってもらう機会が増えてきています。

男性がこのワクチンを打つことで、貴方のパートナーを子宮頚がんから守ることもできます。そして男性自身の肛門癌、陰茎癌、中咽頭癌を予防することもできます。

日本では、婦人科の病気はまだまだ軽視されています。

皆んなで日本の女性を守っていく社会になればいいです。

profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 T・Kビル2F
TEL : 06-6241-5814
https://www.sakumaclinic.com/

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