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藤田 由布
婦人科医 レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-12-15
秘境の国トーゴで珍体験

トーゴは観光地がたくさん!
トーゴは縦長に細い小さな国だけど、魅力はぎっしり詰まっている。

九州と四国の面積を足したくらいの国土で、人口は800万人程度。1963年には人口156万人しかいなかったのに、半世紀で5倍に人口が増大している。

宗主国はフランスで、フランス語が共通語。小学校もフランス語で授業をしている。綿花の輸出が多く、国民の7割程度が農業で生計を立てている。
北部の街カラの観光スポットは意外と多い。

現地の人と触れ合うために、町中にある道路脇にある地ビール屋台はすぐに訪れたい。

当時35年以上の独裁政権で大統領に居座ったヤシンベ・エアデマ元大統領のお城のような実家がカラの街の入り口にあり、そこには派手すぎて2度見してしまうほど黄金の本人と母上の巨大銅像がある。

カラの街の南の入り口付近には、エアデマ自身専用のプライベート飛行場もある。

※カラの街の風景
カラの郊外には、野生動物が野放しの建設途中のサファリパーク。広すぎて見える動物が小さすぎた。

トーゴ北部の観光目玉は、世界遺産に登録された古い家並みがあるバタマリバ人の土地「クタマク」。

7月1日は成人式のお祭り一色モードになる。男は、大相撲大会「エヴァラ」。そして、ちょっとびっくりするが女性の成人式は全裸で街を練り歩く「アベマ」という儀式。

※相撲大会「エヴァラ」
トーゴにいると「SARAKAWA」という地域の名前をよく耳にする。 「サラカワ」はなぜか心地良い響きで日本語みたいな土地名だ。

首都ロメにあるトーゴ最大の高級ホテルも「SARAKAWAホテル」といい、 外国人のVIPは必ずここで宿泊する。 ジミーカーター元アメリカ大統領もSARAKAWAホテルで滞在し、 朝から裸足でホテル内を水着で歩き、ホテルのプールで余暇を楽しんでおられた。

さて、この「サラカワ」の由来は、カビエ族の村でエアデマ大統領に関係している。 エアデマの出生地であるカラの近くにある「サラ村」と「カワ村」のことで、ここで彼が生まれたのだ。

「サラ村」と「カワ村」には、別にスゴイ何かがあるわけでもなく大草原が広がっているだけなのだが、村の標識はラテライト道路脇にみえる。

※50年前の飛行機事故現場
そして、この「サラ村」と「カワ村」のすぐ傍には、エアデマ大統領が1969年に飛行機墜落事故から生還した現場がある。 ここは、誰も知らない秘境の観光スポットである。
5秒間で3つの国をまたげる場所
トーゴの最北端の西側に、こんな不思議な場所がある。

■ 道路だけ、トーゴ国
■ 道路の北側に、ブルキナファソ国
■ 道路の南側に、ガーナ国

という変わった三角地帯がある。

別に道路脇に壁や仕切りがあるわけでもなく、草原に道路1本ドーンとあるだけの土地だ。

反復横跳びしたら、トーゴ・ブルキナ・ガーナを5秒で渡り歩けるのだ。
この道路にきたら、誰でも車から降りて3カ国をまたぎたくなる。

また、トーゴ北部のサバナ州のオチ県に、国土が東西にたった50kmしかない地域がある。

西はガーナ、東はベナン、そしてベナンの東はナイジェリア。

トーゴ人にとっては、ナイジェリアは大都会で怖い国と感じる人も多いらしい。

実際に、私が現地で友達になった同世代のトーゴ人の若者は、「ナイジェリアって悪魔が住む国だって例えることもあるくらい僕らは恐れてるんだぜ!」っと冗談混じりに笑いながら言っていた。

実際に、トーゴ北部は‘子供の人攫(さら)い’が多い地域でもあり、Child Trafficking(子供の人身売買)は社会問題にもなっていた。トーゴ人いわく、子供はナイジェリアに連れていかれる、とか。
トーゴ北部はトラックの交通事故が毎日起こる
カラの街から北へ70kmほど行くと、 ケランという街の手前に、大きな坂がある。

300mほどの急降下する坂道で、そこは、ほぼ毎日、トラックが横転する魔の坂道である。

横転したトラックの荷台から物資が坂の上に散乱して、大変な大惨事が毎日おこるのだ。

旅行者のあいだでは、意外と知られていないが、カラよりも北部へ行くには、必ずこの坂道を通らなければならない。

その坂を100往復以上した私は、ほぼ毎回、横転したトラックを目撃した。

本当に危ない命がけの坂道だった。夜はずえーーったいに運転しちゃダメな場所だ。

でも、こうも毎日同じ場所でトラックが次々に横転しているので、段々と見慣れすぎてくる。

運転手の命には別状ないそうだが、なぜこうも毎日トラックが横転するかという原因が判明した。
荷台が重量オーバーで、そのうえ、 ガソリンを消費したくない運転手のもったいない精神のため、5速のまま下り坂を降下し、 ブレーキがきかず、コントロールを失い、 下り坂の際に事故ってる。

そのまま崖にドーーン、もしくは山からクルクルダーーン

横転トラックを助けようと牽引ロープを繋げたトラックも一緒にクルクルドーーン、

坂の上から荷台のマカロニがダダダダダーーーー
トーゴのエステで珍事件
アフリカで初めてエステを利用してみた。

トーゴの首都ロメで休暇中に海岸沿いのホテルのサービスにあったのだ。

30才くらいのトーゴ人エステティシャンがやってきて、「アジア人のお客さん初めてだわ」と。

お互い初めての体験で、私はトーゴのエステに興味津々。

得体の知れない原料不明のぬるぬるパックに、ゆるーいマッサージがあった。

クレンジングの後に、そのエステティシャンが私の顔を何やら引っ掻いている。

痛いほど引っ掻いて、ホクロを引っ張って摘んで、「なかなか取れないわね〜」と。

それね、取れないヤツ!黒人の肌にはホクロらしいものがない。きっと黄色人種のホクロを初めて見たのだろう。

私の次に隣でエステを受けた朋ちゃんも「イタタタタタタ」で、大爆笑だった。

※私たちは世界のどこに行っても珍道中となってしまう
トーゴ料理は美味い!
西アフリカでは、トーゴ人の女性はモテるんです。これは現地人らがみんな言うので、実際モテるのだろう。

理由は、トーゴ人女性は料理がとっても上手だから、だそう。

女性が作るから云々は抜きにして、トーゴ料理は本当に美味しかった。

味は覚えているが、料理の名前は忘れてしまった。モロヘイヤのソースが入った美味しい料理を今でも覚えている。

あとは、ビール。もう美味すぎて、絶句。

ビール好きのグルメな日本人なら絶対に存分にトーゴを満喫できると思う。
トーゴの世界遺産
トーゴの北東部のカンテの東(ベナンとの国境付近)の バタマリバ人の土地である「クタマク」の村が、世界遺産に登録された。

トーゴ北東部に広がる地域クタマクは、バタマリバ人の居住地域で、この人々の居住地が実に興味深いのだ。

「タキヤンタ」と呼ばれる中身が迷路になっている泥でできた独特の住居群だ。 クタマクのタキヤンタは、社会構造や宗教観と密接に結びついたとても特徴的なものである。

これらの住居地の中は、どれも違った間取りで、家の中はたくさんの段差がある。

複数の階建ての塔になっているのもあり、これらが整然と並んで建てられていることで縞模様に見える。家の形はいろんなものがあるが、ドアは口、窓は目を模倣している。隠れ家のようで、真っ暗の中に小さな部屋がいくつもある。
バタマリバ人達の伝承によると、元々はより北の地域で別の民族と共存していたが、数百年前にクタマクの土地に移って定住するようになった。

キリスト教やイスラム教とは一線を画し、独自の文化的景観を保ち続けていたことが評価され、2004年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。

旅行者だけで訪れるのはよくないので、ツアー会社を通して観光するのが良いだろう。
トーゴは実におもしろい

※ロメのプライベートビーチ。一般のビーチは公衆便所の扱いで海岸沿いは悪臭がひどかった
政治の話は人前ではしてはいけない、なぜなら、どこに秘密警察が隠れているかわからないから。 トーゴ着任当初はそう言われて少しビビっていたが、気さくで人懐っこいトーゴ人は女性も男性もすぐに友達になれるほど距離が近い。

トーゴで38年間も大統領の座に在職したエアデマ元大統領の風貌はまるで喪黒福造(もぐろふくぞう)。

彼の名前は人前でしゃべるのを止められていたので、外国人コミュニティの間ではコーデネームで「スティービー」と陰で呼んでいた。そのスティービーの後任者は彼の息子である。

ちょっとだけ気をつけて過ごせば、トーゴは住みやすくて楽しくて仕事がしやすい国である。

※ギニアワーム撲滅国家計画での会議風景、アメリカ人のJim氏とトーゴの北と南を分けて一緒に活動していた

※トーゴ北部のカラの知事を伴って村落で啓発活動。権力者の声はよく聞くし人も集まる

*カラ北部のケラン地域の村落の小学校でも活動
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ 副院長
〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町8-26 NU茶屋町プラス3F
TEL:06-6374-1188(代表)
https://umeda.santacruz.or.jp/

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