婦人科医が言いたいこと
医療・ヘルシーライフ 2022-12-01
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※事故の時にパンクしたタイヤ(ランドクルーザーはパンクしたら横転しやすくなる)
事故の後、事情聴取でやってきた警察官には度肝抜かれた。
絵に描いたような銭形警部だったのだ。
クソ暑いのに、カッコよく襟立てたコートを着て、サングラスには値札がついたまま。
銭形が気になりすぎて、何を聴取されたか全く思い出せない。

※トーゴ北部のバサール県のジャルパンガ地域への道は時速5kmで進むしかない

※トーゴの田舎の家

※犬料理の写真は撮影できなかったので、代わりにそこにいたハートマークの羊

※トーゴの田舎の村(この村は遭難した村ではない)

※私がニジェールで飼っていた犬と猿、2匹はマブダチだった

※トーゴ料理には欠かせないヤムイモ

※トーゴは小さな国だが緑豊かな肥沃な土地が広がっている

※トーゴ北部は岩山が多く、坂道も多いため車両事故も多い
大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。
飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。
女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。
⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋1-8-3 心斎橋パルコ10F
TEL:06-6253-1188(代表)
https://shinsaibashi.santacruz.or.jp/
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
トーゴの犬肉料理「女は食べちゃダメ」!? |
トーゴの奥地はいろんな民族が住んでおり、それぞれ面白い文化がある。
奥地ではよく道に迷うことがあり、「○○村ってどっちの方角か教えて欲しい」と通りすがりの村人に聞くことがよくあるが、みんな親切で道を教えてくれる。
ただ、ほとんどの村人に共通して言えるのは、どんなに遠く離れた村であっても「すぐ、そこだー、ほんの少し行った所だよー」っと言う。
実際は何十キロも先なのだ。
奥地ではよく道に迷うことがあり、「○○村ってどっちの方角か教えて欲しい」と通りすがりの村人に聞くことがよくあるが、みんな親切で道を教えてくれる。
ただ、ほとんどの村人に共通して言えるのは、どんなに遠く離れた村であっても「すぐ、そこだー、ほんの少し行った所だよー」っと言う。
実際は何十キロも先なのだ。

どんなに遠くても「ちょっと行ったら、すぐそこだ」と言いがち。村人の距離感アルアルだ。
これはどこの田舎も同じだ。日本だって同様だ。
これはどこの田舎も同じだ。日本だって同様だ。
羊を避けたらスリップ、車が横転の大事故に
事故ってしまった。

夜道だったからか、ちょっと細い道の上にたむろしていた羊3匹を避けた瞬間に、タイヤがパンクし、そのまま真っ逆さまに車がひっくり返ったのだ。
一瞬のことで気が動転。何が起こったか分からなかった。
頭が下、足が上になっていると、方向が全く分からなくなる。
前も横もバッキバキに割れた窓ガラスの向こうから1本の手が伸びてきて、誰かが私を車内から引き出してくれた。
ボンネットもボコボコで、よくも私は無傷で助かった、と呆然となった。
一瞬のことで気が動転。何が起こったか分からなかった。
頭が下、足が上になっていると、方向が全く分からなくなる。
前も横もバッキバキに割れた窓ガラスの向こうから1本の手が伸びてきて、誰かが私を車内から引き出してくれた。
ボンネットもボコボコで、よくも私は無傷で助かった、と呆然となった。

※事故の時にパンクしたタイヤ(ランドクルーザーはパンクしたら横転しやすくなる)

絵に描いたような銭形警部だったのだ。
クソ暑いのに、カッコよく襟立てたコートを着て、サングラスには値札がついたまま。
銭形が気になりすぎて、何を聴取されたか全く思い出せない。
雨期は、ぬかるんだ道にハマって大変
トーゴの村落地域での活動で最も悩まされたのが、雨期のぬかるんだ道。
感染症対策で訪れる場所は、常に奥地のさらに奥地。雨期の奥地は常にぬかるんでいる。
物資を運ぶトラックも、ぬか道にハマる。一度ハマったら抜け出せない。
ハマったトラックは雨期の風物詩だ。
感染症対策で訪れる場所は、常に奥地のさらに奥地。雨期の奥地は常にぬかるんでいる。
物資を運ぶトラックも、ぬか道にハマる。一度ハマったら抜け出せない。
ハマったトラックは雨期の風物詩だ。

ハマったトラックを避けて通ろうとして、我々ラウンドクルーザーもハマる。
仕方がない、万能ランクルもアフリカ奥地のぬか道には万能ではない。
トーゴ国内で舗装道路は主幹国道のみ。私の活動地域はすべて「道なき道」だ。
ハマってしまったら最後。プロジェクトの車両だと知れ渡ると、周囲から「助けてやるから、チップをくれよな!」といって青年たちが寄ってくる。
仕方がない、万能ランクルもアフリカ奥地のぬか道には万能ではない。
トーゴ国内で舗装道路は主幹国道のみ。私の活動地域はすべて「道なき道」だ。
ハマってしまったら最後。プロジェクトの車両だと知れ渡ると、周囲から「助けてやるから、チップをくれよな!」といって青年たちが寄ってくる。

※トーゴ北部のバサール県のジャルパンガ地域への道は時速5kmで進むしかない
背に腹はかえれない。
あの当時、一人200円程度だが10人ほどにチップを渡して車を押してもらう。
しかし夜間となると、誰もいない奥地でハマったら最悪。誰も助けに来てくれない。
あの当時、一人200円程度だが10人ほどにチップを渡して車を押してもらう。
しかし夜間となると、誰もいない奥地でハマったら最悪。誰も助けに来てくれない。

夜間のぬか道にハマったら、運転手と同僚とで頑張るしかない。
ぬか土を掘って掘って、タイヤを地上に出して馬力で車両を動かすしかないのだ。
ぬか土を掘って掘って、タイヤを地上に出して馬力で車両を動かすしかないのだ。

奥地の道なき道は、時折「あきらめる」ことも大事で、埒が明かない場合は開き直って、お茶の時間を設けたりもしていた。
実際に私は同僚が大好きなお茶セットを車両に積んでいた。
力仕事をしてくれる運転手や同僚たちの横で、お茶作る係を私は勝手にかってでていた。
実際に私は同僚が大好きなお茶セットを車両に積んでいた。
力仕事をしてくれる運転手や同僚たちの横で、お茶作る係を私は勝手にかってでていた。

トーゴの奥地、道に迷って遭難

ぬか道にハマって立ち往生よりも厄介なのが、道なき道で路頭に迷う遭難だ。
トーゴ人の運転手は滅多に迷うことはない。太陽の向きで方向感覚も抜群なのだが、半年に1回くらいは道に迷ってしまう。
四方八方、景色が全く同じだから仕方ない。
トーゴ人の運転手は滅多に迷うことはない。太陽の向きで方向感覚も抜群なのだが、半年に1回くらいは道に迷ってしまう。
四方八方、景色が全く同じだから仕方ない。

田舎で遭難した時も、慌てる必要はない。誰かが必ず助けてくれる。
民族は違えど、トーゴ人は皆んな違う民族の言語も理解できるグローバルマインドの持ち主だ。
意思疎通のために必須な多言語を操るアフリカンは、日本人よりもよっぽど多文化理解に長けている、と何度思ったことか。
遭難してから数時間かけて人影を探し、家を探し、集落を探し、、、、
白い煙がうっすら見える方角へ寄って行った。
民族は違えど、トーゴ人は皆んな違う民族の言語も理解できるグローバルマインドの持ち主だ。
意思疎通のために必須な多言語を操るアフリカンは、日本人よりもよっぽど多文化理解に長けている、と何度思ったことか。
遭難してから数時間かけて人影を探し、家を探し、集落を探し、、、、
白い煙がうっすら見える方角へ寄って行った。
犬肉スープの料理のレシピ

※トーゴの田舎の家
向こうのほうで、キャインキャイイン〜っと動物の鳴き声が聞こえてきた。
あの鳴き声は・・・
私たちが白い煙があがる家の方角に歩いていくと、動物の鳴き声は止んでいたが、目の前に現れた光景には腰が抜けそうだった。
大きな石の上に硬直した中型の犬が焼かれていた。
4本の足がピーンっ伸びて、舌がベローンと出て、魂抜かれた犬が熱された石の上でカッチカッチになっていたのだ。
あの鳴き声は・・・
私たちが白い煙があがる家の方角に歩いていくと、動物の鳴き声は止んでいたが、目の前に現れた光景には腰が抜けそうだった。
大きな石の上に硬直した中型の犬が焼かれていた。
4本の足がピーンっ伸びて、舌がベローンと出て、魂抜かれた犬が熱された石の上でカッチカッチになっていたのだ。

※犬料理の写真は撮影できなかったので、代わりにそこにいたハートマークの羊
村人いわく「犬は、こうやって料理するんだよ」と。
まずは撲殺して殺す、とのこと。さっき聞こえてきた鳴き声か。。。
火を起こして大きな石をアツアツに熱して、その上に犬を炙り、硬くなった犬の皮を剥ぎ、手足の先を切り落とす。
村人は、我々の目の前で実演してくれた。
犬の形がなくなり、5cmずつの肉塊に切っていき、トマトペースト風味のソースが入った鉄鍋の中に犬肉の破片が次々に投げ込まれた。
まずは撲殺して殺す、とのこと。さっき聞こえてきた鳴き声か。。。
火を起こして大きな石をアツアツに熱して、その上に犬を炙り、硬くなった犬の皮を剥ぎ、手足の先を切り落とす。
村人は、我々の目の前で実演してくれた。
犬の形がなくなり、5cmずつの肉塊に切っていき、トマトペースト風味のソースが入った鉄鍋の中に犬肉の破片が次々に投げ込まれた。

30分ほど犬肉をグツグツ煮る。
犬肉は食欲が失せるほど生臭かったが、この臭さは段々とトマト風味の匂いにかき消されていった。
目の前で繰り広げられた「犬肉スープ料理」に感心しつつも、レシピに「撲殺」が段取られている料理は他にないだろうな。
遭難した我々を快く迎え入れてくれて、水を出してくれた村人とすぐに溶け込んだ。私の運転手も同僚も村人とはすぐに仲良くなれる大人達だ。
犬肉は食欲が失せるほど生臭かったが、この臭さは段々とトマト風味の匂いにかき消されていった。
目の前で繰り広げられた「犬肉スープ料理」に感心しつつも、レシピに「撲殺」が段取られている料理は他にないだろうな。
遭難した我々を快く迎え入れてくれて、水を出してくれた村人とすぐに溶け込んだ。私の運転手も同僚も村人とはすぐに仲良くなれる大人達だ。

※トーゴの田舎の村(この村は遭難した村ではない)
トマト風味の犬肉スープが出来上がった。
すると、村人たちが私にむかって「犬肉は、女性は食べちゃダメなんだよ!」とニヤニヤしながら言ってくるではないか。
なになに?
積極的に犬肉は食べたいとは思わないが、女性が食したらダメな理由を知りたかった。
すると、村人たちが私にむかって「犬肉は、女性は食べちゃダメなんだよ!」とニヤニヤしながら言ってくるではないか。
なになに?
積極的に犬肉は食べたいとは思わないが、女性が食したらダメな理由を知りたかった。

※私がニジェールで飼っていた犬と猿、2匹はマブダチだった
「どうして?」
「なぜ、女は犬肉を食べたらダメなの?」
こう尋ねる私を横目にクスクス笑いながら、男たちは犬肉を頬張っている。
トマトソースで口の周りをベトベトにしながら、うつむき加減で一人の村人がこういった。
「犬肉食べると、性器が大きくなるからさ」と。
だから、女は犬肉を食べてはダメで、男性だけが食べて良い肉なのだそうだ。
「なぜ、女は犬肉を食べたらダメなの?」
こう尋ねる私を横目にクスクス笑いながら、男たちは犬肉を頬張っている。
トマトソースで口の周りをベトベトにしながら、うつむき加減で一人の村人がこういった。
「犬肉食べると、性器が大きくなるからさ」と。
だから、女は犬肉を食べてはダメで、男性だけが食べて良い肉なのだそうだ。

※トーゴ料理には欠かせないヤムイモ
なるほど、どこの国にも、根拠なく面白い迷信があるものだ。
みんなで大笑いしながら、せっかくなので犬肉を1ミリほど味見してみたら?と村人たちが言ってきた。
いくらトマト風味にしても、犬肉は臭いを嗅ぐだけでオエっとなるくらい生臭いし、どの肉片も肉厚ではないので骨をしゃぶりつきながらじゃないと食べれない。
犬肉をちょっと口に近づけただけで、まー臭いのなんのって。
みんなで大笑いしながら、せっかくなので犬肉を1ミリほど味見してみたら?と村人たちが言ってきた。
いくらトマト風味にしても、犬肉は臭いを嗅ぐだけでオエっとなるくらい生臭いし、どの肉片も肉厚ではないので骨をしゃぶりつきながらじゃないと食べれない。
犬肉をちょっと口に近づけただけで、まー臭いのなんのって。

※トーゴは小さな国だが緑豊かな肥沃な土地が広がっている
トーゴ人いわく、茶色の毛の犬の肉が最も料理に向いているらしい。
しかし茶色の犬肉であっても、あの臭さは食べれたものじゃない。
猫も同じ方法で料理するのか?と尋ねたら、「猫は袋に入れたまま熱湯につける」とのこと。
猫肉料理はレシピに「熱湯にブッ込む」の一文があるようだ。
しかし茶色の犬肉であっても、あの臭さは食べれたものじゃない。
猫も同じ方法で料理するのか?と尋ねたら、「猫は袋に入れたまま熱湯につける」とのこと。
猫肉料理はレシピに「熱湯にブッ込む」の一文があるようだ。

※トーゴ北部は岩山が多く、坂道も多いため車両事故も多い
やはりトーゴは奇異な国だったが、謎が詰まったおもしろい秘境である。

藤田 由布
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長
産婦人科医
レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ 院長
大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。
飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。
女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。
⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
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〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋1-8-3 心斎橋パルコ10F
TEL:06-6253-1188(代表)
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