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藤田 由布
婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-11-17
トーゴの成人式は、全裸で街を歩く儀式?!

トーゴ共和国の成人式には、度肝抜かれました。

17歳から25歳くらいまでの成人女性が『成人の儀式』として、全身素っ裸で街を練り歩くというのだ。

儀式に出る女性が一糸まとわぬ全裸となり、上半身に化粧が施され、伝統的な皮細工のアクセサリーを着けて街中を闊歩する。

最後は、街の外れの山に登って聖なる岩に腰掛けて洗礼を受ける。儀式に参加して初めて、無事に成人女性として認められるのだ。

なんなんだ、この祭りは!!!
秘境の国トーゴ、在留邦人1人

※トーゴ北部の古都カラで同世代の友達とホームパーティ
私は、15年ほど前に、西アフリカで最も小さな国の「トーゴ共和国(以下トーゴ)」で2年間、感染症対策の仕事をしていた。

トーゴという国はガーナの右隣に位置し、ギニア湾に面したすごく小さな国。

国土の面積は、九州と四国を足したぐらいの大きさ。人口は800万人程度。首都はロメ。

長細い国土で、最も細い部分は横幅50kmしかないくらいの細くて小さな国。

外務省のホームページに書かれていた「トーゴ共和国、在留邦人1名」とあった。 これは、私のことだった。

独裁政権が長く、これと言っていいほど観光目玉もなく目立たない国ですが、西アフリカで「一番飯が美味い国」とも言われている。
西アフリカの周辺国の男性らの間では、トーゴ人女性は料理が上手いという噂話があり、「トーゴ人女性はお嫁さんにした女性No.1」と言われるくらい。
確かにトーゴ料理はうまかった
トーゴ料理で特においしかったのは、モロヘイヤたっぷりの『アデメ』。ネバネバ食感が元気出る。

トーゴで飲むビールが美味いのは、飯が美味いからという説もある。トーゴはイギリス領になる前は、フランス領とドイツ領だった過去があり、食に精通していたからかもしれない。

道端には100メートルおきに地ビールスタンドがあり、手作りビールをひょうたんの器で昼間っから飲むのがお馴染みの光景だ。

トーゴ国内には45の民族がいて、それぞれの民族が固有のお祭りをしている。

いつもどこかで歌って踊っての賑やかなお祭りがあるのだ。
女性の成人祭『アペマ』

※休日はトーゴの友達と料理して楽しむ
トーゴの北部の「カラ」という古都があり、ここは前エアデマ大統領の実家のお城がある街である。

この北部最大の町カラでは、隔年の7月になるとこの女性の成人式の祭りが行われる。

女性が裸体で街を練り歩くといのだから、海外からの者からすると相当ショッキングなのだ。

これは女性のアペマというパレード祭りで、ガンビエ族の成人式のことだ。

※トーゴの北部は綿花畑が広がる
女性が大人になった事を証明して公表するために、上半身も下半身も素っ裸になり、親戚の女性に囲まれながら、郊外の丘の聖なる小岩を目指して町を練り歩くものである。

これは、成人となった女性の身体に何も異常がないことを周知させて「すぐにでも結婚できる」ことを示すのが目的なのだそうだ。

街を練り歩く際に、裸体の周囲の親戚の女性たちが竹の棒を振り回しながら何やら叫んでいる。

「触れるな、触れるな、この子に悪い男は寄ってくれるな!」と。

※トーゴ北部の最大の都市カラはエアデマ大統領の故郷
この日は、街中に親戚に囲まれた裸体の女性たちがそこら中にいるのだ。

裸の女性はそれぞれの聖なる山に向かって歩いていく。それぞれの地区に伝統儀式が執り行われる山があるらしく、その中の1つの儀式を見に行った。

度肝抜かれた。

若い男の人集りができており、聖なる山の上の方まで男で埋め尽くされた300mほどの花道ができている。

その花道を裸の女性が登っていき、頂上にいる祭司にお祈りされながら「聖なる石」に腰をかけて、一通りの儀式は終了する。

問題は、この男の人集りの花道だ。

拍手喝采を浴びながらも、裸体を舐め回すように眺めてヒューヒューと囃し立てられるのだ。
当事者に本心を聞いてみた
トーゴ人の女友達に「あなたも、この祭りに出たの?」と聞いてみた。

「17歳の時にやったわよ。もう本当に恥ずかしかったんだから!」と言って、何が最も憂鬱だったかというと、クラスメイトの男子も見に来てた事だった、と。

「もう嫌だったわよ!私たち皆んなイヤイヤやったんだから!」と。
この祭りに出るのを拒否して裸にならなかったらどうなるの?と尋ねたら、彼女は「それ、絶対に許されないわよ。もし拒んだら、あいつは何か病気持ちなのかもと一生噂されるから、そっちの方が面倒臭いわ。」と。

続けて彼女は、「こんな祭り5年後には消えて無くなればいいと思うわ」と。

女性が所謂「幸せな結婚」をするためには必須の関門、いや、拷問なのかもしれないな、と私は率直に思ってしまった。

トーゴ人の男性の同僚に「この祭り、どう思う?」と聞いてみた。

すると、「伝統の祭りだからね、親戚の少女が祭りに出るならお祝いしてあげるよ」との返答だった。

※田舎の村は水汲みの仕事が多く女性はみんな力持ち
トーゴ人の年配にしてみれば、普遍的で伝統的ないつものお祭りであり、男親でも「そりゃお祝い事だからね」という程度の感想なのである。

私の運転手はトーゴ人の50代男性で、この祭りに興味津々だった。この運転手は首都のロメ市出身で、地方都市のお祭りは初めてだったらしい。

祭りの当日、運転手は「裸祭やってるから、ちょっと見に行きましょう!」と目を爛々とさせ火照り顔で言ってくるではないか。
街の人の情報では、何年か前のこのお祭りで、裸の少女が聖なる岩に向かって裸で歩いている姿に中国人観光客がカメラを向けて大問題になった事があったそうだ。

絶対にカメラを出しちゃダメだよ!と、私は運転手に何度も言い聞かせた。 ということで、私はこの女性のお祭りの期間は一切カメラを持ち歩かずいたので、儀式の写真は一枚も無い。

インターネット上にも、この祭りの写真は一切見つからないほど神秘で謎めいた伝統儀式なのは確かだ。
男性の成人式は相撲大会『エヴァラ』
女性の成人式が裸の儀式ならば、一方、男性の成人式はエバラという相撲大会に出ることだ。
トーゴ人男性の相撲は圧巻の迫力である。出来上がった筋肉がぶつかる音が広場に響き渡る。

日本の大相撲のような土俵の囲いが見当たらないし、ルールもよく分からなかったが、力と技で相手を倒せば勝ちのようだ。

日本からリクルート視察に来ないかなあ。トーゴ人の関取がいてもおかしくないだろうに、と真剣に思った。
カラの街の相撲大会エヴァラは、エアデマ前大統領も大好きな祭りだった。

大勢の護衛を連れて一番良い席で大会を楽しんでいたのが印象的だった。

エアデマ大統領が行く先々には、なぜかデスクが置かれ、そのデスクの上にはプッシュフォン式電話が設置されている。はて、野外における電話のケーブルはどこへ繋がっているのか。
私はトーゴ共和国でたった一人の在留邦人として2年近く過ごした。

面白い事がたくさん起きるこの秘境の国には、トレビアの泉の宝庫だった。ただ、最後の最後までよく分からない国だったことは確かだ。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 T・Kビル2F
TEL : 06-6241-5814
https://www.sakumaclinic.com/

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