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藤田 由布
婦人科医 レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2023-01-05
知らされていないことが、むしろ問題である

婦人科検診といえば子宮頸がん検診のことを指します。

20歳から全ての女性に隔年で検診案内のハガキが届きます。

検診を受けることで癌を予防できるのが、乳がんと子宮頸がんです。癌になる前に前癌病変を発見でき癌の進行を阻止することができるからです。

私は診察時に全ての女性に「子宮頸がんの原因はなにか知っていますか?」と聞くようにしていますが、ほぼ全ての女性が「聞いたことない」と答えます。

仕方ありません。日本の女性は知らされていないのですから。

また、ある日の子宮頸がんの検査の際に、「わたし今から何の検査されるの?」と聞かれたこともありました。

その時から私は、毎回検診にいらっしゃった女性みんなに子宮頸がんの原因や予防方法のことなどを図で示しながら説明するようにしています。
口頭アンケートで集計した簡単な統計ですが、子宮頸がんと子宮体がんの違いを知っている人1%程度、子宮頸がんの原因がHPV(ヒトパピローマウイルス)であることを知っている人も1%程度。

毎年受けている婦人科検診なのに、なんの検査か実はよく分かっていない。子宮頸がんはワクチンで予防できることも知らない。

厚労省の統計によると、子宮頸がんの検査を定期的に受けている成人女性の割合は国内で24%のみ。協会けんぽにも頸がん検査が加えられていない企業さんもまだまだ多いのが現実。

子宮頸がんの罹患数と死亡数がどちらも増加しているのは、現在世界では日本とブルガリアのみです。

HPVワクチン(日本では子宮頸がんワクチンという名称)の接種率が1%以下なのは、世界の先進国で日本のみ。
欧米諸国ではヒトパピローマウィルスが癌の原因となることを皆んな知っています。男女ともに予防接種を受ける意義は学校教育で伝えてほしいです。

知らないことが問題ではなく、むしろ「知らされていないこと」が問題なのではないだろうか、と日々の診察で感じます。

全ての女性に知ってほしい、と切に願います。
私も、クリニックでの日々の診療は、啓発活動でもあり、よく聞くし、よくしゃべります。安心して婦人科を訪ねてください。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ 副院長
〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町8-26 NU茶屋町プラス3F
TEL:06-6374-1188(代表)
https://umeda.santacruz.or.jp/

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