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藤田 由布
婦人科医 レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2022-09-08
女性40代の楽しく元気に過ごすコツ!

40代というのは、女性にとって特別な年代なのかもしれません。

20代はまだ社会では新人扱いされ、手探り状態。30代になると仕事にも慣れますが、結婚や出産を経験する人もいて、人生が猛スピードで駆けてゆく時期です。

そして、40代になると少し生活も落ち着いてきて時間ができることが多いです。

周りから見ると順調にいっているような人でも、これまでの人生を振り返った時に「このままでいいんだろうか」と思い悩んでしまうのが40代という年代なのです。

この時期特有の不安感が、かの有名なミッドライフクライシスです。

ここで、この心の葛藤を後ろ向きに捉えるのではなく、むしろこれからの生き方を考えるいい機会だと捉えるのがいいですね。

これからの人生を豊かに生きるために新しい趣味にチャレンジするのも、この40代がおすすめなのです。

今日は、これからの人生で最も若いのです。40代からの生き方を、もっと充実させませんか。
こんな変化を感じていませんか?
「最近、イライラするんです。これって更年期ですか?」
「顔がほてって、のぼせるんです。もしかして更年期?」

こんな質問を女性患者さんからよく聞かれます。

◆ 肩がこる 腰が痛む
◆ 疲れやすい
◆ イライラする
◆ 顔がほてる、身体がカーっと熱くなる
◆ 頭痛・めまい・耳鳴り
◆ 動悸・息切れ
◆ 寝つきが悪い・眠りが浅い
◆ 関節痛・しびれ
◆ 集中力の低下、不安感、物忘れ

このように、40代からの女性のからだは様々な変化が現れます。でも、誰もが同じように更年期を迎えるわけではなく、人それぞれ様々な形で更年期は訪れるのです。

「更年期」のことは、学校で習わなかったし、教科書もなければ誰も教えてくれるわけでもないのです。

ここで大切なことは、そのちょっとした違和感も、素直に感じることです。正しい知識で、「あなたの更年期」と上手に付き合うことが、こんごの長い人生を自分らしく健康に過ごすヒントとなります。
その不調、女性ホルモンの減少のせいかも?
20〜30代に活発に働いていた卵巣が、40代で急激に機能低下をきたすと、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。

女性ホルモンが急降下すると、性腺刺激ホルモン(FSH)が急増し、このホルモンの激動変化の影響で自律神経が乱れます。

そのうえ更年期症状は、ホルモンの影響だけでなく、心理的な要因や環境も絡み合って影響してしまうのです。
女性のライフステージとホルモンの関係
一般的には、40代に入る頃から徐々にホルモンバランスが崩れやすくなり、月経不順や性機能の低下が起こり、閉経の前後5年間ほどの「更年期」に、急激にホルモン減少が起こり、身体の不調を感じやすくなります。
閉経の平均年齢は、50歳6ヶ月と言われています。閉経の定義は、月経が1年以上なくなる時点です。つまり、閉経を挟んだ前後10年間の、45歳~55歳くらいが更年期となります。

更年期障害が起こる割合は諸説ありますが、下のグラフからみてもわかるように、多くの女性が何かしらの症状を感じていることと言えます。
上手に年を重ねるためのポイント
更年期障害には個人差があるように、症状によって治療法も様々です。

治療法も含めて、更年期障害の上手な付き合い方は、こちらの過去コラム『更年期障害、決して自分のせいだと落ち込まないで下さいね』 もご覧ください。

どんなに若々しい人でも、年を重ねるごとにしわやシミは増えてしまい、筋肉が落ちてタルミも気になるものです。

それでも、普段から運動や食事に気を遣ったり、自分に合った無理のない美容法を続けていくことで、元気があって若々しい印象を与えることができるのです。

40代で輝く女性は、年を重ねても健康と美容に対する意識が高い傾向にあります。

それは決して若作りをしているというわけではありません。40代という年代が魅力的に感じられるような努力をしているからこそ輝けるのです。
頑張りすぎるな、氷河期世代の女子!
去年から、私どもの婦人科外来では、就職氷河期世代の我慢を強いられてきた女性の患者様が、限界を超えた状態で診療にいらっしゃるようになりました。

就職氷河期とは1970〜80年代生まれの方が該当し、この年代は第二次ベビーブーム世代です。あの訳の分からない謎の体操着を着させられていた「ブルマー」世代です。

この氷河期世代の初代は、昭和47年(1972年)前後生まれです。この時期に生まれた女性は、バブル崩壊のツケを背負わされ、不安定な働き方を余儀なくされ、経費削減やリストラの波にもまれ続け、今もなお社会的に弱い立場で孤立しているとも言われている世代である。

こんな我慢の代表選手であるブルマー世代の女子たちが更年期に差し掛かるのです。

もう十分に我慢してきたはずです。これ以上、もう我慢しないで欲しいのです。 そして、体調が優れなくても決して自身を責めないで欲しいのです。
若々しさはお肌から
女性ホルモンの減少により、美肌に必要な肌の成分が不足してきます。美肌に効果的な栄養を食事に取り入れましょう。

ビタミンは肌の新陳代謝を促したりシワ対策にも効果的です。特に、ビタミンA、C、Eが欠かせません。ビタミンAは乾燥やシワ対策に、ビタミンCはシミを防ぎ、ビタミンEは血流を促し、抗酸化作用もあり、エイジングケアにもってこいです。

あと、ミネラルにはカルシウムやマグネシウム、亜鉛、鉄分も大事。亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持に効果があり、鉄分は肌のくすみ対策にも役立ちます。

肌のターンオーバーには、亜麻仁油が最近大注目されています。オメガ3系の脂肪酸を多く含んでいることから、健康オイルの代名詞とされています。成熟した亜麻の種子から得られる黄色っぽい乾性油なのですが、さば、さけ、いわしなどの青魚に特に豊富に含まれます。
ストレスや疲れはためない
最近ストレスが溜まりやすいなあ、と感じたら、普段の生活にちょっとだけの工夫を意識してみてください。

不調や疲れを感じたら、「がんばる」をやめてみる。そして休みましょう。体力が落ちる年代なので、ガムシャラに頑張ると、身体も心も疲弊してしまいます。

思い切って、「がんばる」をやめて、自分ができ得る範囲のことを、できるだけ丁寧に、できるだけ迅速に仕上げる、という心持ちも試してみても良いかもしれません。
運動で自律神経を整える
乱れた自律神経を整えるには、運動が効果的です。自分が好きな運動で、無理なく気持ちよく続けることが大事です。

息切れするまで追い込まなくて良いです。ゆっくり呼吸をして酸素をしっかり取り入れながら、全身の筋肉を使っているのを感じてください。

身体を動かすと、血行が良くなり、肩こりや腰痛に効果があり、不眠やストレス解消にも役立ちます。運動を習慣づけると、血圧やコレステロールを下げる効果もあります。
湯船に浸かろう
これは超オススメです。

お風呂で温まると、血行がよくなり、お肌の新陳代謝もアップします。湯気によって毛穴が開き、毛穴の奥の汚れも落ちやすくなります。

美肌効果のみならず、湯船には抜群のリラックス効果もあり、睡眠の質もアップします。そして、筋肉や関節が柔軟になったりすることで、体の疲れをとる効果もあり、免疫力を高め、自律神経も整えてくれます。

良いことづくしの湯船習慣、まだやってない人は是非ぜひ始めてみてください。シャワーだけで済ませずに、気持ちの良い温度でしっかり湯船に浸かりましょう!

※心臓や肺に疾患がある方には、水圧がかからず体温が上がりすぎない半身浴がお勧めです。
※40℃の温度で10分を超える入浴は体温が上がりすぎてしまい、冬でも浴室熱中症になる危険があるため長風呂にはご注意ください。
口角上げよう
ちょっと試してみませんか。頬の筋肉が低下すると、どうしても口角も下がってきてしまいます。ハッと鏡にうつるタルミ、気になる時ありますよね。

口角が下がると不機嫌な顔に見えてしまいます。口角をちょっと上げてみて、笑顔を作ってみませんか。その時の顔の状態を、顔の筋肉に覚えさせましょう。

口角を上げるコツは、上の歯ができるだけ多く見えるように笑顔を作り、5秒キープしてみてください♪ 表情筋も鍛えられますよ。
食べ物にも工夫を
女性ホルモンの減少によって、身体の脂肪や骨の代謝が変化します。アンチエイジングに効果的な食事を心掛けてみませんか。
また、大豆食品は積極的にとることをお勧めします。大豆イソフラボンに含まれる「ダイゼン」には、特別な腸内細菌の働きによって、女性ホルモンと似た働きをする「エクオール」という物質を作ります。

大豆食品を日々取り入れることで、女性ホルモンの乱れによる不調を緩和してくれるのです。

ただし、この‘特別な腸内細菌’は、日本人女性にはもっている人と持っていない人が五分五分です。
サプリの選択
私は基本的にサプリは、安全なものであれば、なんでも試してみたら良いという考えです。皆んなあれこれ調べたり、試してみたりしているかと思います。

ただ、広告に踊らされて毎月高額なものを大量に摂取する必要はないと思います。1ヶ月にサプリにかかる費用は、数千円以内で十分。

また、成分や原料などがどのようにして合成または栽培・抽出されているのかもチェックしたいところです。

女性ホルモンに似た働きをする某サプリは、数社から販売されていますが、パッケージをよくみると、製品によって表記が全く違うのです。1日摂取量が2mgというものと、1日10mg摂取して初めて効果を発揮するというエビデンスがしっかり示されたものがありました。

また、その某サプリの抽出過程も明記しているものと、していないものがあり、安全がしっかり確保されているのはどれか一目瞭然です。

○○という安全な乳酸菌が長年の研究を経て発見され、これが大豆イソフラボンを掛け合わせて開発されたサプリ、という具合にちゃんと研究成果も示してくれているのが安心ポイントです。

ちょっと最近不調だな、と感じる人はサプリをちょっと試してみるのもアリです。個人的にお勧めサプリは、エクオール含有のものです。
婦人科にいらしてください
フランスやイタリアでは、「女性は40歳からがもっとも美しい」といわれています。

年齢を重ね、さまざまな経験をすることで醸しだされる美しさに、男性は惜しみない称賛を送るのです。いいなあ、フランスかイタリアに行きたいなあって思えますよね(笑)

普段から前向きな明るい気持ちでいることって、難しいですが、これって本当に重要です。

笑顔は相手の気持ちを明るくするだけでなく、自分の内面をも明るくします。イキイキと明るく日々を過ごしている女性は魅力的です。

婦人科医は、氷河期世代の女性たちの味方です。あなたを応援したいと思う婦人科医がちゃんといることを知ってくださいね。辛い時は限界まで我慢せず、ご相談はいつでもどうぞ。

40代からの人生をともに楽しみましょう。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
レディース&ARTクリニック サンタクルス ザ ウメダ 副院長
〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町8-26 NU茶屋町プラス3F
TEL:06-6374-1188(代表)
https://umeda.santacruz.or.jp/

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