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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2022-03-16
いろイロな表現「バースデーカード~その2~」編

思い思いに書いたお手紙には「その人らしさ」が表れるものだと思います。思いをどんな言葉で表すのか? どんな方法で表現するのか? 人それぞれです。

さまざまな人の、いろイロな表現に触れてみたい。そんな思いから、いろイロな表現「●●●●●」編として、テーマを設けてお手紙を募集し、その内容とともに書き手の思いやポイント、工夫のほか、そのお手紙を受け取った感想まで紹介しています。

今回のテーマは「バースデーカード」。かおりさんと私が手づくりしたバースデーカードを紹介します。
<かおりさんから>
HAPPY BIRTHDAY

あなたは
あなたで
あればいい

(マザー・テレサ)
(1)今回のバースデーカードに込めた想いやポイント、工夫などを教えてください。

刺繍が大好きなので、紙への刺繍に初チャレンジしてみました。どこか「手作り感」を出してみたくて粗目にしてみましたが、思いのほか難しかったので、その分心を込めてつくりました。

(2)つくりながら、かきながら、感じたり思ったり考えたりしたことは?

どんな「お祝い」の言葉にしようかな・・・と考えてみたけれど、自分の誕生日って、あえて自分をふりかえる日になってもいいかも。なので、誰かにそっと言われてみたい的な名言を書いてみました。

(3)そのほか、ご自由にどうぞ!

年を重ねると、誕生日の意味も意義も感覚も印象も、変わってくるんだなと実感するこの頃。自分の誕生日も、周りの人の誕生日も、「HAPPY・・・」ばかりじゃなくてもいいから、じっくり心温める日でいたいなと感じます。
かおりさんのバースデーカードを受け取った私より

レースと鍵をモチーフにしたおしゃれな封筒を開けると、ラメできらきら光る、天使の羽がデザインされたカードに、「HAPPY BIRTHDAY」のメッセージとお花が刺繍されたバースデーカードが出てきました。見た瞬間に、思いを込めて刺繍してくださったのだろうなということが伝わってきて、一針一針、見入ってしまいました。

書かれているメッセージはマザー・テレサの名言「あなたは あなたで あればいい」。マザー・テレサはカトリック教会の修道女で、貧困や病気で苦しむ人たちへの奉仕活動に取り組み、ノーベル平和賞も受賞された方です。

そのマザー・テレサの名言というだけではなく、世の中にたくさん溢れているメッセージの中から選び取ってくださったかおりさんの思いもこもっているから、幾重もの思いが宿っているように感じられて、心強く感じられました。

私は日々ささやかなことでもくよくよしたり落ち込んだりしがちで、ネガティブなことを思うと「そうじゃないでしょ」「時は戻せないから~」など打ち消して自分を奮い立たせるようにしているのですが。このメッセージを読んだ時、心の中で「わたしは わたしで あればいい」と言い換えて、「また、ここから」と踏み出す勇気をもらえたんです。

くよくよ、落ち込んで仕方のない時は、このバースデーカードを手元に取り出し、このメッセージを読んで、自分を奮い立たせたいと思っています。
<私から>
お誕生日おめでとうございます!

年に1度のお誕生日。自分のことを見つめる、わくわく考える時間をプレゼントすることができればいいなあと、「7つの質問」を考えてみました。1枚1枚手に取りながら、考えて答えてみていただけたら嬉しいです。裏には、おまけ的に、私の答えを書いています。

質問を書いている紙とこの紙を使って、1つのお花をつくることもできます。どんなお花が咲くでしょうか♪

■1枚目
自分の名前の由来を知っていますか?どんな由来がありますか?


私の名前は「利絵」。「利」は父から一字をもらい、「絵」には「絵を描く子になってほしい」という母の願いが込められています。そういえば、母が漫画みたいなタッチのイラストを描いてくれたことがあったなあと思い出しました。

■2枚目
これまでで特に、思い出に残っているお誕生日は、いつの、どんな記憶ですか?


丸いお誕生日ケーキを前に、今にもろうそくを吹き消しそうな私…7歳のお誕生日に撮った1枚の写真を時々思い出します。そのお誕生日の出来事ではなく、後になってその写真を見て、自分がこんなふうに祝われていたということが幸せに感じられたんです。小学生の時に母を亡くしたから、余計にそう感じたのかもしれません。私が毎年、娘のお誕生日に、娘がケーキのろうそくを吹き消す瞬間の写真を撮るのには、そういう理由があるのかなぁと、この質問に答えながら気づきました。

■3枚目
2022年のお誕生日、どんな1日になりましたか?


私はまだ、今年のお誕生日を迎えられていないのですが、昨年2021年のお誕生日は何をしていたんでしょうか?すぐには思い出せなくて…あ!父がプレゼントをくれるというので、メガネを新しくしました。常時つけているメガネを変えただけで、なんだか自分自身も生まれ変わったような、そんなくすぐったさがありました。

■4枚目
今、自分が「喜ぶこと」は何ですか?


自分に嘘をつかないこと。今、自分に嘘をついているわけではないのですが、年々、それが大切だなぁと思います。時々、自分に対してちょっぴり嘘をついてしまう(たとえば…自分はそう思わないけど、相手の意見に合わせてしまう、など)こともありますが、そのしんどさはもういらないかなと思います。

■5枚目
今、自分が「したいこと」は何ですか?


カフェでほっこりすること、娘が行きたいという淡路島に行くこと、「読みたい!」と積んでいる本を読むこと…などです。最近、「したいこと」をフセンに書いて、目に見えるところに貼っています。いっぱいになり過ぎると、「できていない」ストレスが溜まるかと思いきや! そんなに増えもしませんし、書き出すことで気持ちを手放せるのもよいようで。時々見ては、そんな「いつか」を想像して、わくわくしたりするのです。

■6枚目
お誕生日を迎えた今の自分に 「言葉のプレゼント」を贈るとしたら、 どんな言葉を贈りますか?


「まぁ、大丈夫」。自分でこの質問を考えておきながら、一番悩んだ難しい質問です(苦笑)。ぱっと思い浮かんで、何度も反すうしたのが、この言葉。くよくよしたり、「あぁすれば、よかった」といつまでも思ったりしてしまうので、「まぁ、大丈夫=Don't worry」! まずは気持ちを落ち着けてから考えようよと背中を押す感じです。

■7枚目
来年2023年のお誕生日、 自分に何をプレゼントしたいですか?


仕事や用事などのスケジュールが何も入ってない1日です。その時の自分はその1日をどう過ごすんだろうなぁと少し想像。自分は自分なんですけど、未来の自分は今の自分とは違うんだなぁということを、この質問に答えながら感じて不思議な気持ちになりました。
(1)今回のバースデーカードに込めた想いやポイント、工夫などを教えてください。

以前、コラム「バースデーカード。『もうひとり』の想いも加わって」で、雑貨店や百貨店で見つけたバースデーカードを6点紹介しました。その中の1つにあったブック型のバースデーカード。「出会った時の印象」「あなたと私の思い出」「伝えたい『ありがとう』」といった10項目のテーマが書かれていて、それについて書き込んでいくと、「贈る相手と私」のオリジナルブックが出来上がるというものでした。

一つひとつのテーマについて考えながら、相手との出会いから遡り、「あの時は楽しかったな」「そういえば、こんなことで言い合いになって、ちょっとケンカっぽくなったなぁ」と思い出せたり、「あの出会いが、今もこうしてつながっているんだな」と嬉しく思ったり、自然と、相手を思う時間になっていたんです。

以後も、雑貨店で「質問に答えていくうちに、相手の気持ちや思いを表現でき、それを贈る」という仕掛けのギフトブックをいくつか見かけることがありました。日頃は当たり前すぎて特に意識しない、相手への自分の気持ちや思いを見つめ直し、それを言葉にして相手に伝えることの大切さ・・・そのことが今一度、注目されているのかもしれないなぁと感じていたんです。

そんなことをぼんやりと感じていた中で、「自分から自分へ」というバージョンがあってもいいんじゃないかな、質問を贈ると相手にとって「自分自身を見つめ直す、労わる時間」になるのではないかな。

そう思ったことが、今回のバースデーカードをつくるヒントになりました。

(2)つくりながら、かきながら、感じたり思ったり考えたりしたことは?

(1)で書いたような時間をプレゼントしたいだけでも十分かと思うのですが、ついつい欲張ってしまうものです(苦笑)。もっとわくわく感を、もっと楽しさを贈ることができたらいいなぁと、つくりながら+αに+αを重ねていきました。

たとえば、相手に答えてもらうだけではなく、私からのお手紙にもなればと、表面に質問を、裏面におまけ的に自分の回答を記入。

質問を書く紙にも何か仕掛けができないかと、「お誕生日→プレゼント→お花」という連想から、1枚1枚を花びらに見立てることにしました。最初はいかにもお花をイメージして、茎をつけようかとも考えましたが、「こんなお花をつくってください」と決めつけるより、その時に思いついたお花を自由に形づくってもらったほうが楽しいかもしれないと思い、「こんなお花も、あんなお花もつくれます」とさりげなく書くのみにしました。

また、お手紙そのものをプレゼントとして見せたくて、封筒を「包装紙で包まれた箱」に、マスキングテープを「リボン」に見立てて飾り付け。切手も装飾の一つとして、華やかなお花の切手を選んで貼り付けました。

(3)そのほか、ご自由にどうぞ!

私にとって手づくりのバースデーカードは「よしっ!つくるぞ!」と気合いを入れて重い腰を起こさなければつくれないものです。でも、つくり始めると、相手を思いながら「喜んでもらえるかな」「楽しんでもらえるかな」という気持ちからの、「こうしてみよう!」「ああしてみよう!」というアイデアがどんどん思い浮かんできて、楽しくなっていきました。

前回、そして今回手づくりしてみて改めて感じたことは、言葉で書いたメッセージだけではなく、その全体を通して相手への思いを表現できるということです。

書いたりつくったりしている間中ずっと、相手を思って「ああしたら」「こうしたら」を形にしていっているので、思いが自然に宿っていくのを感じました。「手づくり=オリジナル=枠や制限がない=自由」だから、(2)で書いたように気持ちや思いに添ってどんどん+αしていけることで、引き出されていくもの、表現されていくものがあるんじゃないかなとも。

「今年はあの人に」「来年はその人に」という感じで、年に1人か2人だけでもこうして手づくりのバースデーカードを贈ることができたらいいなぁと思いました。
私のバースデーカードを受け取ったかおりさんより

バースデーカードをいただくのは、やっぱりいくつになっても嬉しいもの。きれいなデザインだったり、ゴージャスだったり、かわいいキャラクターだったり・・・じゃなくて、やっぱり手書きって嬉しい。

今年は「7つの質問」というリーフカードをいただきました。送り主の方がしたためてくれた7つのメッセージは、7つの扉を開けるように心に響きました。読んだあと、ふと自分の心に問うてみるひとときは、心温まる最高のプレゼントでした。
いろイロな表現「バースデーカード~その2~」編、いかがでしたか? 今後も、バースデーカードのほかに、年賀状や暑中お見舞い、クリスマスカード、旅先・おでかけ先からのお手紙など、さまざまなお手紙を募集していきたいと思っています。

「参加してみたい」「こんなテーマのお手紙を募集してほしい」などありましたら、「loopdraw☆yahoo.co.jp(☆を@に変更してください)」までご連絡をいただけると嬉しいです。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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