丁寧に生きるという選択
ライフスタイル 2021-03-10
心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/
私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
Klara and the Sun ~クララとお日さま |
「三寒四温」とはよく言ったもので、もう三月も半ばに近いというのにこちら大阪では寒い日と穏やかな日が繰り返しやってきていますね。だからこそ春の到来が益々嬉しいことだと感じるのかもしれません。
皆様の住む地域ではいかがですか。
先日、カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞後初の新刊、’Klara and the Sun’「クララとお日さま」という感動の小説に触れて以来、生きることにまつわるいくつかの問いが答えをまだ見つけることなくゆっくりと私の心の中でまわっているようです。
力強い小説とは読者の心をずっと長い間その小説の中にとどめさせ、そこでの会話を何度も思いおこさせながら時間をかけて消化されていくものなのかもしれません。
クララはロボットを超えた「人工親友」AF。クララがこの物語の語り手です。
クララの持つのは人工知能というより、人工「感情」知能です。お日さまの光を浴びて充電され、周りの人間の行動、反応、人間関係、それらの全てを細かく観察しながら、クララを親友にと選んだ病弱な女の子ジョジーにとって最高の人工親友になるために努力し続けます。
ジョジーの悲しみをどうやったら避けてあげられるかに試行錯誤し、学んで理解することに全てを捧げているのです。
クララの言葉は人間の本質であろう「共感」という感情にあふれています。
ジョジー、その周りの人間を理解するために、「寂しさや孤独を嫌うために思いもよらぬ行動を取る」人間たちの間で空気を読みながら、そしてそれらの思いもよらない行動を受け入れながら学習を続けます。ロボットであるクララは「多くを観察するほど感情が多くなる」のです。
読み続けていくうちに、人間よりも人間味にあふれているのではないかと思われるクララが人工知能であることなど忘れて、彼女の繊細な観察眼に何度も胸を打たれます。彼女は、「幸せの中にある痛み」を見逃さないほど繊細な心を持っているのです。
私たちの住む社会は、これから、小説の中で書かれているような近未来にどんどん近づいていくのかもしれません。
仮想現実の小説の中に引き込まれる何よりの理由は、主人公のクララをはじめとする登場人物達が、幸せの中にある痛みにできるだけ触れないようにしながらも、前に進もうとしているところに共感を感じるからかもしれません。
時を同じくして、先日、まだ若いティーンエイジャーに「なんか、生きるのって辛いな。そう思わない?」と突然聞かれたとき、私は一瞬、びっくりしてなんと答えたらいいかわかりませんでした。
彼らティーンエイジャーも幸せの中にある痛みを感じているのでしょうか。
精一杯、それでも正直に、「生きるのは辛くないけど、生きる使命や意義を見つけるのはむつかしいことかもね」と答えるのがやっとでした。
答ることはおろか、良いアドヴァイスはずっと見つからないかもしれませんが、カズオイシグロ氏がこのストーリーの中で読者に訴えかけているであろう数々の問題、例えば、親にとっての子供の存在とは。孤独感とは。共感は愛なのか。友情の価値とは。格差社会とは。
それらにゆっくり向き合うことで次には彼らともう少し違った会話ができるかもしれないと思いました。
現実と非現実が交差したところに数々のリアリティがある、そして自分が「そこ」にいる貴重な体験をくれた、Klara and the Sun, クララとお日さま、は私にとって間違いなく大切な小説となりました。
皆様の住む地域ではいかがですか。
先日、カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞後初の新刊、’Klara and the Sun’「クララとお日さま」という感動の小説に触れて以来、生きることにまつわるいくつかの問いが答えをまだ見つけることなくゆっくりと私の心の中でまわっているようです。
力強い小説とは読者の心をずっと長い間その小説の中にとどめさせ、そこでの会話を何度も思いおこさせながら時間をかけて消化されていくものなのかもしれません。
クララはロボットを超えた「人工親友」AF。クララがこの物語の語り手です。
クララの持つのは人工知能というより、人工「感情」知能です。お日さまの光を浴びて充電され、周りの人間の行動、反応、人間関係、それらの全てを細かく観察しながら、クララを親友にと選んだ病弱な女の子ジョジーにとって最高の人工親友になるために努力し続けます。
ジョジーの悲しみをどうやったら避けてあげられるかに試行錯誤し、学んで理解することに全てを捧げているのです。
クララの言葉は人間の本質であろう「共感」という感情にあふれています。
ジョジー、その周りの人間を理解するために、「寂しさや孤独を嫌うために思いもよらぬ行動を取る」人間たちの間で空気を読みながら、そしてそれらの思いもよらない行動を受け入れながら学習を続けます。ロボットであるクララは「多くを観察するほど感情が多くなる」のです。
読み続けていくうちに、人間よりも人間味にあふれているのではないかと思われるクララが人工知能であることなど忘れて、彼女の繊細な観察眼に何度も胸を打たれます。彼女は、「幸せの中にある痛み」を見逃さないほど繊細な心を持っているのです。
私たちの住む社会は、これから、小説の中で書かれているような近未来にどんどん近づいていくのかもしれません。
仮想現実の小説の中に引き込まれる何よりの理由は、主人公のクララをはじめとする登場人物達が、幸せの中にある痛みにできるだけ触れないようにしながらも、前に進もうとしているところに共感を感じるからかもしれません。
時を同じくして、先日、まだ若いティーンエイジャーに「なんか、生きるのって辛いな。そう思わない?」と突然聞かれたとき、私は一瞬、びっくりしてなんと答えたらいいかわかりませんでした。
彼らティーンエイジャーも幸せの中にある痛みを感じているのでしょうか。
精一杯、それでも正直に、「生きるのは辛くないけど、生きる使命や意義を見つけるのはむつかしいことかもね」と答えるのがやっとでした。
答ることはおろか、良いアドヴァイスはずっと見つからないかもしれませんが、カズオイシグロ氏がこのストーリーの中で読者に訴えかけているであろう数々の問題、例えば、親にとっての子供の存在とは。孤独感とは。共感は愛なのか。友情の価値とは。格差社会とは。
それらにゆっくり向き合うことで次には彼らともう少し違った会話ができるかもしれないと思いました。
現実と非現実が交差したところに数々のリアリティがある、そして自分が「そこ」にいる貴重な体験をくれた、Klara and the Sun, クララとお日さま、は私にとって間違いなく大切な小説となりました。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ
バイリンガルライフコーチ
心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/
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