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藤田 由布
婦人科医 医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)

婦人科医が言いたいこと 医療・ヘルシーライフ 2021-07-07
婦人科のカーテンの向こう側 第2弾

婦人科って、やはり、なんか行きにくい。

この気持ち、痛いほどわかります。

お股広げて恥部を曝け出すのです。婦人科ほどセンシティブな場所は他に無いのです。男性の婦人科医が診察するとなると、女性患者は身構えてしまうのは当然のことです。

婦人科でデリカシーに欠ける言葉を言われた、自尊心を見失う程の屈辱を味わった、こんな話は日常茶飯事で耳にします。
‘‘デリカシーに欠ける婦人科’をなくしたい!’’ 私も女性として純粋にそう思う一人です。

安心して通える婦人科が増えるよう、私も現場で頑張らねばと毎日の診療で感じます。

‘なんか良く分からん’婦人科を、なんとか身近に感じて頂きたく、前回のコラムで婦人科のバックヤードを見ていただきました。
そして、女性疾患が軽視されている現状を無視するわけにはいきません。

ブルマ世代の女性の皆さん、人生に何度となく生理にまつわるトラブルで悩んだ経験がきっとあると思います。更年期障害でフラフラでクタクタな日々を送っている女性も多いかと思います。

もう我慢しないでください。婦人科疾患の治療はどんどんと進んでいます。

少しでも生活の質が向上するよう、女性が活きいきと過ごせるように婦人科は存在するのです。
婦人科でよく見るモノ
今回も婦人科のカーテンの向こう側の道具たちを紹介します。
おさらいとして、前回コラムで見ていただいたモノを再掲載します。婦人科の診察台、クスコ(腟鏡)、経腟エコー、婦人科検診で使うブラシたちです。
自動でうごく診察台
クスコ(腟鏡)
経腟エコー(超音波)
子宮頸部細胞診で使うブラシ
もっとあります、婦人科の道具たち
鑷子・・・「鑷子」と書いて「せっし」と呼びます。要するにピンセットです。

婦人科で見る鑷子は全て滅菌されています。腟の中の処置で頻繁に使います。綿球で拭いたり、タンポンを詰めたり、異物を取り除いたりします。
細菌とクラミジア の検査キット
青・・・・腟内の細菌培養検査キット
黄・・・・クラミジア PCR検査キット


クスコを使って腟内をきっちり見えるようにし、綿棒を挿入して膣分泌液を採取します。クラミジア検査では、腟の奥の奥に見える子宮の入り口(頸管)の粘液をしっかり採取するようにします。

検体粘液を採取した後は、外注で検査を行うため、検査結果が出るには約1週間ほどかかります。
ペッサリー
子宮脱は、骨盤内にあるべき子宮が腟の下方に降りてきて脱出することです。腸や膀胱が脱出することもあります。

産後に「骨盤底筋トレーニングしてくださいね」、と言われた女性もいるかと思いますが、お産を繰り返すことによって子宮脱になりやすくなります。
写真のものは、「リングペッサリー」と言われるものです。

私が手に持っているのは、直径65mmのごく一般的なサイズのリングです。ペチャっと手で折り曲げて腟内に挿入します。ものの1分そこらの処置です。
クスコ(腟鏡)にはサイズが色々です
もちろんこれらの道具は全て滅菌されていますので、全てのケースで清潔が保たれています。

このクスコにはサイズが色々あって、一般的にどこの婦人科でも3〜4タイプほどの大きさが用意されています(M、S、SS、SSS)。

写真では、向かって左のクスコがMサイズ、右のがSSサイズで、これはよく使います。他にSSSサイズがあり、性交経験がない女性や腟口が小さい女性にも使うがあります。

腟壁の肉厚が分厚い人には、大きめのクスコを使わないと子宮口が見えないので、患者さん側はオシモをぐっと押されている感触があるかと思います。

どうも内診がいつも痛い・・・という人はクスコのサイズを小さいものに変えてもらうのも一つの解決策かもしれません。

殆どの婦人科医はみな、このクスコを痛みなくスッと腟内に挿入できるのです。

内診が痛くない婦人科医は、診察も上手という噂がありますが、これはアナガチ間違いではありません笑。
カーテンの向こうに流し台?
婦人科の診察室には欠かせないのが流し台。手を洗うだけではなく、使用した後の器械を滅菌にかけるための前消毒をしたり、腟内洗浄の特別な液体を準備したり、清潔な環境を保つためには必要不可欠な流し台です。
引き出しには何が入っている?
内診室には沢山の引き出しがあります。診察で使うための器械がぎっしり入っていたり、いろんな種類の腟錠剤や塗り薬を入れています。

戸棚の中には緊急避妊ピル(レボノルゲストレル)が数個常備されています。すぐに内服してもらえるように、ペットボトルの水も用意しています。
使うモノは殆どが滅菌されています
腟内を拭く時や止血の時によく使うのが綿球です。この綿球も1つ1つ滅菌器械に入れて清潔にしています。
経腟エコー(超音波)の気になるサイズ
腟内に挿入されるエコーの先っちょは「プローブ」といって、太さは親指サイズです。

それほど太くないので、痛みを感じることは殆どないのですが、内膜症を患う方にとってはエコーを挿入されるだけで痛みを感じることがあります。

性交渉の経験がない女性は、この筒状のプローブを直腸から挿入することがあります。殆どのプローブはウンチよりは細いので、肛門に挿入されても殆ど痛くありません。

「エコーが怖い、どうしても怖い!」という人は、遠慮なく看護師か婦人科医に相談してくださいね。

このエコー検査は全ての患者に必ず絶対に施行しなくちゃダメ!というわけでもなく、特に思春期の若年層の女性には省略できることがあります。

恥ずかしい事ではありませんし、安心して診察台に上がってもらう方が良いので、不安な事は事前に言ってくださいね。
エコーの先っちょには、コンドーム?!
もちろん、経腟エコーは毎回キレイに清潔が保たれています。

使った後は毎度アルコール消毒できれいに拭き、新しいコンドーム状のカバーを被せます。
スタッフ全員、患者さんが変わるたびに新しいゴム手袋に履き替えます。診察台の椅子もアルコールで拭いて、紙シーツも取り替えます。

これを短時間でササササーっと準備してくれる看護師さん達には頭があがりません!
消毒スティック綿棒は、‘プチッと快感’
これを発明した人、エライです。使用する直前にポピドンヨード液の溜まりの部分を押しつぶすと綿棒の先に消毒液が付いて、袋あけたら即席で使用できるのです。

これは医療者ならご存知でしょうが、プチッの瞬間が気持ち良いですよね。
婦人科検診で使う「内膜細胞診」の器具
診察室内を見渡せば、まだまだあります、いつもよく使う資材たち。

子宮頸がんの検査と違って、内膜の検査は痛いですよね。

子宮頸がんと体がんの検査の違いってよく分からない!という場合は、遠慮なく診察前でも診察後にでも婦人科医に尋ねてみてくださいね。

私が行う婦人科検診では、みんなに説明します。検査中でも説明の続きで喋ってしまうので、時に「あの婦人科医、おしゃべりしすぎ」と怒られる事もあります。これは申し訳ないです。。。

普段は婦人科を受診することが全くない女性も多いので、検診の際には伝えるべき事はできるだけ言いたい、と思ってしまい、ついつい喋りが多くなってしまいます。恐縮です。。。
ヨードホルムガーゼ
これは婦人科では、止血の際に腟内に詰めれるだけ詰めるガーゼです。正確には、創傷や消毒の時に使われる医薬品です。

これを止血目的で腟内に充填された事がある人はご存知だと思いますが、平均1mくらい大量に詰めます。

自分で取り除いた患者さんが「手品みたいに長いのがパラパラパラーって出てきました!」と言ってらっしゃって、上手い表現だなと思った事があります。
ゾンデ、マルチン鉗子
まあまあ仰々しい器具ですが、これらも婦人科ではよく使う道具なのです。

ゾンデは、子宮口(子宮頸管)の入り口が狭くてカテーテルやミレーナなどが入りにくい時に道筋をつける道具です。不妊治療を経験した方は、人工受精や移植の際に使われたかと思います。

マルチン鉗子は、単鈎腟部鉗子などとも呼ばれますが、先端は尖った鈎がついています。これで頸管をつかんで引っ張って、頸管をまっすぐにする時に使います。
生理用品が用意されているところも多いです
診察後に性器出血してしまった、急に生理になっちゃった、など普通に起こりうることです。ナプキンを常備している婦人科も多いので、遠慮なくスタッフに尋ねてみてくださいね。
婦人科を身近に感じていただけたらと思い、婦人科アレコレをあらいざらい見てもらいました。

女性が安心して受診できる婦人科となるよう私も精進して参ります。

女性にとって婦人科がもっと身近であれば、生理痛や更年期で苦しむ女性がもっと減るはずです。

単純なことだからこそ、今の違和感を素直に感じ取り、婦人科診療をさらに向上していきたい。本気でそんな事を日々考えています。
profile
全国で展開する「婦人科漫談セミナー」は100回を超えました。生理痛は我慢しないでほしいこと、更年期障害は保険適応でいろんな安価な治療が存在すること、婦人科がん検診のこと、HPVワクチンのこと、婦人科のカーテンの向こう側のこと、女性の健康にとって大事なこと&役に立つことを中心にお伝えします。
藤田 由布
婦人科医

大学でメディア制作を学び、青年海外協力隊でアフリカのニジェールへ赴任。1997年からギニアワームという寄生虫感染症の活動でアフリカ未開の奥地などで約10年間活動。猿を肩に乗せて馬で通勤し、猿とはハウサ語で会話し、一夫多妻制のアフリカの文化で青春時代を過ごした。

飼っていた愛犬が狂犬病にかかり、仲良かったはずの飼っていた猿に最後はガブっと噛まれるフィナーレで日本に帰国し、アメリカ財団やJICA専門家などの仕事を経て、37歳でようやくヨーロッパで医師となり、日本でも医師免許を取得し、ようやく日本定住。日本人で一番ハウサ語を操ることができますが、日本でハウサ語が役に立ったことはまだ一度もない。

女性が安心してかかれる婦人科を常に意識して女性の健康を守りたい、単純に本気で強く思っています。

⇒藤田由布さんのインタビュー記事はこちら
FB:https://www.facebook.com/fujitayu
医療法人 大生會 さくま診療所(婦人科)
〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-14-14 T・Kビル2F
TEL : 06-6241-5814
https://www.sakumaclinic.com/

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