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小森 利絵
フリーライター えんを描く

おてがみじかん ライフスタイル 2020-03-18
お手紙とわたし~東久美子さん編③~

私のまわりにいる「日常の中でおてがみじかんを楽しんでいる人」にインタビュー。4人目は東久美子さんです。お手紙の思い出や楽しみ方などについてうかがったインタビューを4回に分けて紹介しています。

「お手紙は自分とも向き合う時間編」「想像のきっかけに編」とお話をうかがってきて、第3回目となる今回は「気持ちに光を当てる編」です。

東さんがピアノ伴奏をされている合唱団の卒団生からもらったお手紙から感じたことについてお話をうかがいました。
もらって嬉しかったお手紙はありますか?

東さん: 私が中高生時代に在団していた合唱団に、2017年からピアノ伴奏として関わるようになりました。その卒団生からもらったお手紙が、最近もらって嬉しかった手紙です。

高校3年生で卒団となるのですが、卒団生は在団生をはじめ、私たち先生にも一人ひとりに宛てて、手紙を書きます。たとえば、卒団生を除いて50人の団員がいるとしたら、50人分の手紙を書くんです。

在団生も、卒団生一人ひとりに宛てて、手紙を書いて渡しているようで、卒団時に手紙をやりとりすることが、いつの頃からか、合唱団の伝統になっています。

手紙を受け取ってみて感じたのは、手紙を通して一人ひとりと向き合える時間になったということです。

日々の中では練習だけで時間いっぱいになってしまうので、一人ひとりとゆっくりと話す時間がなかなか持てません。手紙を通して「あの時、言ったことをそう感じてくれていたんだ」「こんなふうに思ってくれていたんだ」と知ることができて、とても嬉しかったんです。

たとえば、私が団員に対して、正しいかどうかはわからないけれど、「私はこう思う」ということを伝えてきました。時には、「あんなことを言わないほうがよかったかな」と思うこともあります。それに対して、「先生にあそこでこんなふうに言ってもらえたことで、気づきがありました」と書いてくれた子がいました。

また、関わり始めて1年目はなかなか自分が思っていることを伝えられなかったので、「私って、何かの役に立てていたのかな」と不安に思っていましたが、「優しく見守ってくれていたのがよかったです」と書いてくれた子がいました。

そうした気持ちや想いを持ってくれていても、伝えてくれなかったらわからない、知ることのできないものです。わざわざ「あの時、どうだった?」なんて聞く勇気もないので、こうして手紙をやりとりする機会があり、伝えてくれたからこそ、私の中で救われるものがありました。
お手紙をやりとりする伝統があるなんて素敵ですね。

東さん: もともと合唱は、言葉を大事にします。

歌の指導の時にも、技術的なこと以外に「どうして、この歌詞なのか」「どうして、この言葉なのか」「作曲者は何を伝えたかったのか」を考えてほしいと伝えます。それを意識せずに歌うのと、意識して歌うのとでは、全然歌が変わります。

子どもたちは一言一言の大切さを感じながら歌っているから、言葉に対する感度は高くなるんだと思います。手紙にも、一言だけではなく、しっかりとたくさん書いてくれていたのが印象的でした。

ラインでは短い文章を打つことが多いですが、手紙を書くと、きっちりとした文章を書かなければなりません。手紙を書くことを通して、言葉に対する意識を磨いたり、表現力を豊かにしたりする訓練にもなっているのかもしれません。
(2019年9月取材)
※お話をうかがって

「そうした気持ちや想いを持ってくれていても、伝えてくれなかったらわからない、知ることのできないものです」と東さんがおっしゃられるように、お手紙は「改めて気持ちや想いを伝える機会」「相手の気持ちや想いを知る機会」になると思います。

もちろん、メールでも、ラインでも、伝えることはできるのですが、ラインは連絡のやりとりがほとんど。急ぎの用事を送ることやチャットのような瞬間的なやりとりもしますから、どこか「返事をしなければならない」ものになっていると思います。

一方で、お手紙は、ラインなど便利なツールが多く登場したおかげで、ゆるやかなツールになっているのではないでしょうか。返事必須ではなく、すぐに読まないといけないものでもないものになってきているように思います。

今はさまざまなツールがあるので、それぞれのツールのよさを活かしながら、コミュニケーションを楽しめたらいいなあと思いました。

次回は「相手がいればこそ編」として、バースディカードを手づくりしてプレゼントに添えていたという東さんに、オリジナルでカードをつくるようになったきっかけやレターセット選びなどについてお話をうかがいます。
profile
レターセットや絵葉書、季節の切手を見つけるたび、「誰に書こうかな?」「あの人は元気にしているかな?」などアレコレ想像してはトキメク…自称・お手紙オトメです。「お手紙がある暮らし」について書き綴ります。
小森 利絵
フリーライター
お手紙イベント『おてがみぃと』主宰

編集プロダクションや広告代理店などで、編集・ライティングの経験を積む。現在はフリーライターとして、人物インタビューをメインに活動。読者のココロに届く原稿作成、取材相手にとってもご自身を見つめ直す機会になるようなインタビューを心がけている。
HP:『えんを描く』
 
『おてがみぃと』
『関西ウーマン』とのコラボ企画で、一緒にお手紙を書く会『おてがみぃと』を2ヵ月に1度開催しています。開催告知は『関西ウーマン』をはじめ、Facebookページで行なっています。『おてがみぃと』FBページ

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