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バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ RumiBaxter

丁寧に生きるという選択 ライフスタイル 2018-11-09
誠とは

カレンダーのページがまた変わり、秋も深まる11月となりました。それでも日中は上着も必要ないほどの気温ですね。

先日、待ちに待った ヤヌッシュ オレインチャック氏のピアノリサイタルに行ってきました。

氏はショパン国際コンクールの審査員でもあり、ワルシャワ国立ショパン音楽院の教授、今存在する最高のショパン弾きの一人と言われている方でもあります。最高のショパンを大阪で聞けるとあり、それはとてもスペシャルなリサイタルでした。

氏は世界的なピアニストでもあるわけですが、2002年アカデミー賞三部門受賞映画、The Pianist ( 邦題;「戦場のピアニスト」)の中でピアニストの「手」として演奏された方でもあります。

この映画は第二次大戦前後の実話を元に作られ、悲哀、人間愛にあふれる作品です。私にとって、観た後に大きく心が揺さぶられた映画でもあり、戦争の残虐さを少しでも知るために私たちが観なければいけない作品の一つではないかとさえ思います。

このストーリーをご存知の方は、戦争の悲劇はもちろん、ホロコースト、ナチスへの強い憤りと悲しみを感じられたことでしょう。そんな作品の中で主人公のピアニストの「手」を演技された氏の演奏をいつか生で聞きたいとずっと思っていたのです。

コンサートの中では、「演奏する」ということについても語られました。

「ある作曲家、例えばショパンは何通りもの演奏家が何通りもの演奏をし、そこに間違いも正解もあるわけではありません。ただ、そこに honesty 誠実さ、誠の心があるかどうかが大切なのです。」という言葉に非常に共感しました。

その言葉聞いて以来、演奏だけでなく、オネスティー「誠の心」を持って何かに取り組むこと、誠があることとはどういうことかを考えています。もちろん誠の心とは嘘、偽りのないことなのですが、それははどういうことなのでしょうか。

もしかしたらそれは「今ここにあり」の姿勢にヒントがあるかもしれません。例えば、体はここにいても他のことを考えながら接していては、「今ここにあり」ではないのです。それはカウンセラーや教師に矛盾のない姿勢が求められることに共通するようです。

カウンセラーや教師だけでなく、もちろん人に接するということはいつも誠の気持ち、「今ここにあり」、の姿勢でなければならないでしょうし、その姿勢は、声に、視線に、言葉に、全てに現れる気がします。

また、他人に誠実に接するためには、自分の感情に誠実であることも大切だと思います。それは自分の感情を「あるがまま」受け止めることから始まるかもしれません。

ショパンの美しい旋律の中には哀しみや、時に怒りさえもが込められています。歓びと悲哀が同時に漂っています。そこにはショパンの生きた時代、祖国ポーランドが地図に存在しなかったという悲哀、祖国を離れ二度とその土を踏むことのなかった悲哀、手に入れることはなかった初恋の相手への悲哀が混在しているのです。

もちろん時代背景も違い、戦争もない平和ボケな現代の日本でそんな複雑な悲哀を感じることも少ないかもしれません。しかし、誠であるためには細かな感情を受け止めなければならないと思うのです。

誠、オネストであることとは細かな感情を感じ、他人のそして自分のそれらの感情を矛盾なく受け止めることなのかもしれません。その感情を「今ここに、ありのまま」嘘偽りなく感じられることこそが誠に近づくことではないかと感じています。

この日のオレインチャック氏の存在には真実の謙虚さがありました。その存在に感動したのです。真のアーティストとして深い感情を音を通し、そしてその存在を通し届けてくれました。そして何より、誠が大切だと教えてくれたことに深く感謝しながら、少しひんやりとした夕暮のコンサートホールを後にした1日でした。
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私たちが「生きる」中で、たくさんの選択をしています。 その選択は、意識したものから無意識に選んでいるもの、とるに足らない小さな選択から人生の岐路に立たされた大きな選択まで、その種類も様々。「丁寧に生きる選択」というライフスタイルは、未来へのキーワードでもあります。
バックスター ルミ
バイリンガルライフコーチ

心理カウンセラーのバックグラウンドをいかし、英会話講師として「コミニケーションレッスン」を展開中。 半生を英国、ヨーロッパのライフスタイルに関わってきたことから、それらの経験をもとに独自のレッスンを提供している。「五感+plus」を使ってコミュニケーション能力を磨くレッスンは、本格的英国サロンで行われている。
RumiBaxter
BROG:http://ameblo.jp/rumi-b/

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